音楽教室運営奮闘記

不定調性論からの展開紀行~音楽と教育と経営と健康と

休息とコンディションの調整〜音楽制作で考える脳科学52

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導入

おそらくこれが現状の脳科学と音楽シリーズの最後のトピックだと思います。

 

結局どんなに勉強や研究成果を持っていてもその知識とスキルを最大限に現場で活かせるかどうか?にかかってます。1日わずかな時間しか音楽に時間が割けない場合、いかにその時間に集中するかにかかっています。

 

心配事や個人的な悩みなどに囚われて集中できず実力が発揮できない、自信を失って作業が進まない、そうやって潰れていく人は本当に多いです。

競争社会だからそういう人は人生に敗れたから仕方ない、として社会も放っておきます。

しかし、どんな挫折が起きても人生は続いてゆきます。もちろんノリにノッている時も自分を大事に。

だから続いてゆく人生において、自分のスキルを十分に活かす毎日にするために、「考え方の切り替え」「思考のコンディション」作りが欠かせません。

ポジティブに人生を生きられれば、あとは自分なりに頑張るのみです。

 

人が何かに集中する際には、脳内にノルアドレナリンと呼ばれる物質が必要になります。しかし、それがあまりにたくさん生み出されてしまうと、逆に体が緊張してしまい、本来の能力を発揮できません。(中略)人が本来のパフォーマンスを十分に発揮するためには、緊張をほどよく保ちながらも、リラックスしている状態が欠かせないのです。(中略) 覚醒したクールな意識と研ぎ澄まされた注意力が共存する状態を目指すのであれば、マインドフルネスに勝るものはないでしょう。

 

もしあなたが

・どうも集中できない

・なんか本調子じゃない

・頭疲れた、体疲れてる

・やる気が出ない

というような時、どう対処すればいいか、を医学の見地から考え(上記参考図書著者は医学博士で日米で医師免許を持ち、ロスで開業している精神科医)引用してゆきます。

(私個人のアレンジも書かれてます。興味のある方は是非ご自身で少し勉強してみてください。)

(極力シンプルに描きたいので、細かく知りたい方は同書をお読みください。両冊情報は同じですがCD音源付き(=サイトから音源ダウンロードも可)の方をお薦めします。CD付きでないほうは同じ内容で物語形式ですので苦手な人は、理解するのに一手間増えるかもしれません。)

 

これまでの話で、学んだスキルは思い返さなくても必要な時に稼働できるように脳は働く、となれば、現場で教科書を開く必要はありません。

つまり最適な直感が現場で起動するようなリラックスした集中状態が必要です。

しかしいつもベストコンディションなどオリンピック選手でも無理なのですから、自分なりにトレーニングを重ねてゆくしかありません。

もし二人の実力が拮抗した人物がいて、成果に差が出るとしたら、本番のその現場で集中/リラックスした状態で作業に当たれた方が結果を出せるでしょう。

十分に練習し、勉強してきたあとはスキルを100%活かすための工夫が必要になります。

 

集中とリラックスを作るために海外では「マインドフルネス」が現状主流のようです。

ある実験結果では投薬とマインドフルネスをそれぞれ行っても得られる成果は似たような感じだったそうです。投薬と同様の効果があることに驚きます。

「マインドフルネス」というと坐禅を持つ文化である日本人はスピリチュアル要素が強くて距離を置きたくなるでしょう。日本人には神道に対する畏敬の念があるために座禅や瞑想をファッションや健康のため、社会的利益のためとすることをよく思わないためだと思います。

だからまずは自分がちゃんと成果を出せるまでは一人で実践してみて、ちゃんと成果が出せる自分なりの方法を見つけた上でそのアイディアを誰かにシェアすると良いのではないでしょうか。

ギターだって弾き始めて2ヶ月の人が、誰かにギターを教える、と言ってもうまくいかないでしょう。

 

マインドフルネスの著者の定義は、

評価や判断を加えずに"いまここ"の経験に対して能動的に注意を向けること

これを著者はさらに言い換えて

瞑想をベースにした、脳の休息法

としています。

思い悩まず次の1歩に集中できるリラックス出来るスキルを身につける方法、と言い換えればいいでしょうか。

海外は多宗教なので、日本の瞑想よりもさらに宗教性を排除して実践されているようです(企業施設の一室にそういうスペースを作るほど)。

 

「過去や未来からくるストレスから解放されることが、マインドフルネスの目的です。」

これはUCLAにあるマインドフルネス研究所拠点MWRCの教育ディレクターの言葉だそうです。

過去と未来を感じるのは「時間」という概念の持つ人間独自の感覚ですから、消しようがないですが、それに煩わされない時間を持つ(過去と未来もことを忘れる=忘れるスキルを使う)ことで相対的にちょっと楽になる、ということでしょう(マインドフルネスと脳内物質の変化についても詳細に書かれています)。

マインドフルネスは「休息」というよりも相対的な安堵感を得ることで、それを元手に脳内を整備し、結果として自然治癒力や免疫力を上げて、元気を取り戻す行為、だと読み取りました。瞑想して仏様があなたを整えてくれるのではなく、全部自分の力で取り戻す行為です。

 

何もしなくても脳は働く

以前紹介した、ディフォルトモードネットワークは人間が生きていれば常にエンジンがかかりっぱなしの自動車でアクセルを空ぶかししているようにずっと働き続けています。

脳内の60-80%のエネルギーがこれに費やされ、人間全体の1日の全消費エネルギーの20%に相当すると言われているそうです。

ストレスの原因もこのDMNの働きかも、と言われています。

 

これには諸説ありますが、米ワシントン大学セントルイス校の神経学者マーカス・レイクル教授が提唱したデフォルト・モード・ネットワーク(Defaul Mode Network)の存在が大きいのではないかと言われています(01Raichle,etal.(2002))。(中略)

DMNとは、内側前頭前野、後帯状皮質、楔前部、下頭頂小葉など、複数の脳部位から構成される脳回路です。この部分は、脳が意識的な反応をしていないときにも働くベースライン活動を担っています。

 

脳はとにかくすごい器官なんですね。アクセルの空ぶかし、って言われるとちょっとすごく無駄なイメージですが、元々がそういう器官で、これを全て止めようと思うと、こちらの記事で述べたように、生ける死人になるしかありません。

脳はとにかく空ぶかしで人を80年生かす器官です。すごい。

 

 

過去と未来にとらわれない行為をいくつか探してみる

集中できる作業といえば、音楽家は音楽をやっていること自体がマインドフルネス(意識を無にするのではなく、一つのことに集中的に注意を向ける)です。

音楽を作る時、過去や未来の特定の悩みに惑わされたりしません。

音楽制作で思い悩むこともありますから、その他にもいくつか意識を過去と未来から離れさせる方法を見つけておきます。

下記は全てマインドフルネス行為と言って良いと思います。

・庭の花に蝶が次から次へと飛んでくる様を眺める

・波打ち際の波を眺める

・空の雲を眺める

・遠くの景色を眺める

・猫や犬を撫でる、一緒にあそぶ

・恋人とデートをする、気の合う仲間とまったり飲む

・買い貯めた音源サンプルを視聴しながらフォルダ分けする

・散歩する、軽い運動をする

・食事の味を一人で思いきり楽しむ

・楽しむために音楽を聴く、悩みから離れるために映画を観る

・ちょっとキツめの柔軟体操(ストレッチ=イタタタタ...って感じるくらい)をする

いかがでしょう。

これらの行為をしている時、過去や未来の悩みに頭を抱えながらその時間を過ごせるでしょうか(友達飲みとかで逆効果になるものは排除して笑!)。

 

これらの行為は1分でもいいそうです。人によって合う合わないがあるので、自分なりに探してください。これらの行為の中で何かを数える=ラベリングも効果的なのだそうです。呼吸を整えて呼吸の数を数える、犬を撫でる回数を数える、蝶が飛び上がるのを数える...

椅子に座って目を閉じて呼吸を整えながら、雑念をポイッと投げる、みたいなやり方がマインドフルネス瞑想としては基本、ということですが、それはかなり単純化したマインドフルネス行為だと思います。

やはり自分にとって意義のあるやり方を自分で見つけないといけないと感じます。

これらの習慣こそが「flow」とか「zone」というリラックス+集中状態を作る素地となるようです。

すでにこうしたことをやっている人は、うまく活用し意識してみてください。

 

毎日行う行為の中で活用できる時間を探す

あとはいつマインドフルネス行為を行うかですね。

・家から出て駅に着くまで/会社から駅まで

・朝起きて朝食を食べるまで/夕食の片付けタイム

・寝る前の五分間

・入浴時

・パソコンの電源を入れてプロジェクトを立ち上げるまで

などの「無の行動時間」?を集中リラックスに充てることをマインドフルネスでは「ムーブメント瞑想」というそうです。

これらの行為で数をゆっくり数える、歩数を数える、呼吸を数える、行為を口に出す(左手、右手...)などの「今起きていること」に注意を向けることで同様の効果が出るそうです(でも数を数えるだけって日本人嫌いそう笑)。

 

また逆に駅に着くまで今日何をやるか決める、という人もあろうかと思います。

そういう人はきっとその行為がマインドフルネスの代替行為になっていると思います。その時上司への気持ちとか、人間関係の煩わしさを取り除いて静かな思考の整理に重点を置いてやり方を色々工夫してみると良いのではないでしょうか。

 

中には人を朝から怒鳴りつけることで、自分に勢いをつけて結果を出す上司、みたいな困った人もいます笑。それはあなたが怒られているのではなく、仕事の成果を出すためんその人なりのマインドフルネスです。いい迷惑ですが、そういう特殊な人についてはそれぞれの現場で対処法を考えるしかありません。成果とやり方の吟味ですね。会社の満足のために社員を殺す社員は減ってほしいです。

 

 

ストレスは脳から改善

ストレスは脳内の現象ですが、慢性化すると身体に様々な影響及ぼします。じんわりとした体のだるさや肩こりのような症状から、激しい腹痛、胃腸の炎症まで。

ストレスでの体調不良を感じたら、逃げるように映画をみるとか爆食いする的ストレス解消をするより(仕組みをわかってやるならOK)も、その場で深呼吸して思考で爆速になる脳自体を休ませるほうが効果的、のようです。

ストレスで体がやばい時は、ゆっくり呼吸して、どんどん呼吸に集中して、呼吸の数を数えてリズムとペースを掴んで、ざわざわとした心境が少しでも落ち着くような状態を作ると良いそうです。

そのあと、気持ちをポジティブに切り替えて爆食い!でも最初は良いのではないでしょうか。脳が整ってくれば爆食いの機会も減るはずです。

 

扁桃体は数億年前の魚類も持っていた、最も原始的な脳部位です。外部の脅威から自分の身を守ることを最優先する動物的な本能の役割を担っています。

外部から一定の刺激を受けると、この部位が不安とか怒りといった感情を生み出します。これがストレス反応です。こういう場合、通常は理性である前頭葉が感情である扁桃体を上から押さえつけて沈静化を図ろうとします。 前頭葉が抑え込めないくらい扁桃体が過剰に活動すると、交感神経に作用して、激しい動悸や過呼吸などの身体症状が引き起こされます。これがいわゆるパニック発作という状態です。

マインドフルネス行為を行うことによって理性によって一方的に抑え付けることなく前頭葉と扁桃体、つまり理性と感情が そしてストレス対応に当たり、ストレスに強い精神状態を作るようです。そこには呼吸が非常に大きな役割を果たしているようです。

 

忘れがちな呼吸。不安に駆られた時、呼吸を整える、と思い出し習慣づけるだけで、パニック発作にまでなってしまう未来を防げるわけですね。パニック発作経験者としてはすごくよくわかります。

頑張りすぎる人ほどゴールを見据えすぎて今現在を見失うそうなので、「真面目で立派な社会人」の人は要注意です。

 

 

「脳の可塑性」を目指す

これは「脳が自らを変化させる性質」のことで、そう簡単にはできませんが、長年かけて習慣づけてゆくことで、脳は少し疲れにくく、ネガティブからポジティブになってくれるそうです。パニック発作になってしまうような脳になってしまうのと同様、うまくマインドフルネス効果を得られれば、強い脳回路も作れる、というわけです。

 

 

反芻思考の軽減

DMN(ディフォルトモードネットワーク)の問題点に、反芻思考癖があります。過去の悔恨や未来の不安を繰り返し考える癖がついてしまい頭が疲れる状態のことです。

最先端医療ではこれは薬物療法ではなく、TMS磁気治療という治療方法で改善が見られるそうです。

TMS(TranscranialMagneticStimulation:経頭蓋磁気刺激)とは、磁気を発生させる特殊な装置を用いて、脳をダイレクトに治療する方法です。日本ではまだごく一部でしか導入されていませんが、薬物中心の精神医療に取って代わる技術として、世界的に注目を集めています。

しかしこうしたことを行わずとも同様な効果が「マインドフルネス」で得られることが研究でわかってきたので注目されているようです。

医療保険大手エトナでは、マインドフルネス慣習を取り入れた結果

従業員の医療費が大幅に減り、一人当たりの生産性が年間約3000ドルも高まったと言うから驚きです(gelles (2015))

ということだそうです。

 

その他にもストレスに強くなる、記憶力アップ等の文言が同書には並んでいますので研究成果とともに同書を手にとってみてください(CD音源付きのほう)。

 

 

欲望だらけの人生と第三者的視点の習慣づけ

スマホ見たい、お菓子食べたい、外行きたい、メールしたい、SNSしたい...音楽制作をしていてもこうしたふんわりとした願望が常に入り込んできます(こうした願望をクレーヴィング=Cravingというそうです)。

こういう時「あ、またスマホ見たいと思ってるな自分...」という自分を作っておくと良いようです。

自分はこういう時、目的を口に出します。「とりあえずあと5分だけ作業しよう」「ここを集中してやって依頼者に喜んでもらわにゃ!」そう言うだけで脳はふんわりした欲望の視点が消えます。元々の目的である音楽制作にもどってくれます。もちろんいつまでもこれが効くわけでもないすが、3回のうち2回制御できたらかなり効率上がる感じしませんか?これもトレーニングだと思います。

納期の設定や、無理のないノルマ設定習慣を日々考えてゆく事で上手にクレーヴィングと付き合ってゆきたいものです。

最初は気が付かずにスマホ開いていた、ハッと気がついて閉じた、でも良いと思います。それだけでもだいぶ違いますよね。

 

 

ジャッジメンタル不安の低減へ

例えば、絶対これでは未来は悪くなる!とあなたが確信したとしましょう。

でもこれは事実ではありませんね。まだ未来は来ていないし、状況証拠だけで決めつけています。

このように「決めつけ(脳はハッキリするのが好き)」は答えが見える安心の一方で、不安や疑念まで確定します。

過去の失敗の後悔も未来の不安もこの記事最後に述べるように「灰」にして意識から飛ばしましょう。記憶を書き変えるのもおすすめです。

「決めつけない!」は大事(ジャッジメントしない)。

 

 

運動も大事

平均60代後半の人たちが、40分ほどの有酸素運動(速歩)を1年続けたところ、記憶を司る海馬の容積が2%増加しました。運動によって脳年齢が1から2歳は若返ったわけですから驚きです。

わお。

 

 

働きすぎない

一説には認知症やアルツハイマーなどの症状が、脳疲労の蓄積や、必要な物質が枯れてしまう??こととも関係があるのではないか、ともされています。

社会人は我慢して貯金するよりも、仕事の不安から解消される方法を元気な時に見つけておくことが老後の可能性を伸ばす行為なのかも、と感じました。

 

 

「なんとかなって、それを受け入れられますように」

あの件についてどうしよう!!!とは考えず、呪文のようで恐縮ですが

「あの件については、なんとかなるだろう、そしてそれを自分が受け入れられるように」的な自分なりの言葉を自分いかけると良いそうです。

同書には

「どんなこともありのまま受け入れられますように」

というセリフが書かれています。こういう覚悟の仕方で人生歩んで行きたいですね。

手放す覚悟、大事。

 

 

 

やはり自分にはクオリア感覚が重要

実は、私は呼吸に意識を向けるとパニック障害の時のことを思い出し逆に呼吸が荒くなってしまいます。だから上記のようにあまり呼吸に集中するとまずいんです。

また私の性格から興味もないのに毎日遠くの景色ばかり見ることもできません。

そういうことに意義を感じないんです笑。これはおかげさまで健康だからでしょう。

 

そこで私は寝る前の5分から10分をリラックスの時間に当てています。

眠くなるまでスマホを見るのではなく、仕事を終えてバタっと倒れるように寝込むのではなく、 電気を消したらスマホも閉じます。

そして雑念を得たらイメージで蒸発させます。アイアンマンがサノスを指パッチンで滅ぼした時のように雑念を灰にして飛ばすように。

十個もそうやっているうちに寝てしまいます。雑念も探そうと思うと大変です。

これが自分にはマインドフルネス行為になっています。

 眠りが深くなって、朝少し気持ちいいです。

 

私は気持ちや感情、心象や身体的反応が音楽を作り出すので、変に全ておやだやかにしてしまうと激情が音楽に反映されません。苦悩のクオリアを音にできません。

悟りを開くわけでもないので、感情も大事だし、もやもやしたクオリアも自分にはとても大事です。

「クオリア」とは自分にとってはとても大事な感覚感です。だから不定調性論の方法論内でも連呼しているのだと思います。

これは私だけのやり方ですから、皆さんは皆さんなりの「脳を休ませる行為」を作り、いざという時力を100%発揮できる自分を作ってください。

そうか、やっぱり自分のことは自分で作るんだ、やはり自分はそう感じました。

 

あとは作品作るだけ、仕事するだけです。