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「学習する」の定義と観察と未来〜音楽制作で考える脳科学43

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David A. Kolb - Wikipedia

デイビッド・コルブ氏(ケースウェスタンリザーブ大学名誉教授)の学習の4ステップの定義は有名ですね。

学習サイクルには4つの段階があります。

 

第1ステージ:具体的な経験をする

第2ステージ:その経験を検証して自分がすでに持っている情報とのつながりを見出だす

第3ステージ:仮説を立てる

第4ステージ:その仮説を能動的にテストする

 

第4ステージに踏み出すことで私たちは新たな経験をします。そこから、次の学習サイクルが始まり、これを繰り返すことで私たちは成長していきます。脳内での働きからいえば、(感覚野を活性化させて)情報を得て、(後連合野のなかで)その情報に意味を与え、(前連合野のなかで)その意味から新しいアイデアを生み出し、(運動野を使いながら)そのアイデアを実行しています。

ここから同書では同大学生物学/生化学教授ジェームズ・ズール博士の論も書かれています。まとめると、本来の学習は

収集→分析→創造→実行

により初めて学習行動が完結される、という話です。

 

これを音楽理論の学習に置き直してみましょう。

第1ステージ:わからない理論を話している人に出会って興味を持つ

第2ステージ:理論書を読んで学習する、理解に務める

第3ステージ:実際の楽曲の中に学んだ法則性を見つける

第4ステージ:自分の作品に落とし込んでみる

でしょうか。

youtube版も作ってみましょう。

第1ステージ:面白いおすすめYoutube音楽理論動画を見る

第2ステージ:内容を完全に把握するまでなんども観る。

第3ステージ:実際の楽曲の中に学んだ法則性を見つける

第4ステージ:自分の作品に落とし込んでみる

となります。

でも普通第1ステージでパソコンを閉じて終わりますよね。わたしもです。

 

四段階やってたら数年すぐ過ぎます。

そういう時間感覚に耐えられないんですよね、現代では。

逆に言えば、これができれば、youtubeでも十分に知識の学習については可能だ、と云えます。

 

youtubeの問題は「再生数が回る工夫」が施されている、という点で情報に対する認知が歪曲して仕舞うことです。

企業案件も絡み、著名人が出演し、信頼しやすくなるバイアスがかかります。人気とともにテレビ的コメントが増え、youtubeの広告メディア化が進みます。だからより平均的な情報を得るには複数の動画を見る必要があります。

 

そうなると、やはり査読を受けた論文や、せめてkindleでない古い書籍などから1次情報を受け取るぐらいの知識体力は持っておかないと自分にとっての真実を構築できない、ということにもなります。

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脳内情報として埋め込まれる日まであと10年、人によっては50年と言っていますね。

少なくとも今生きている人が壮年期まではこのまま進んでいく、わけですから、未来の脳チップ時代に乗れる学習体力をつけておくのは良いと思います。

 

ここからが本題です。

現代版の学習スタンスを考えてみましょう。

第0ステージ:なににどれだけ時間をかけたいか(計画)

ここ1-3日でモーダルインターチェンジについて学びたい、と思ったら「モーダルインターチェンジ」で検索し(最小限の用語で)、再生回数順にフィルターをかけて、上からサムネを眺めみたい動画の合計分数を計算して、理解までの時間も計算して試算します。

検索とサムネ情報判断スキル」も求められますね。

再生数の回ってる動画は皆が共通認識で持ってる可能性が高い知識になっていきます。

それがあらゆる面で正しいとは限りません。

(その他、海外の動画を翻訳して観る、最新の動画で話題性/クオリティの高い動画を発見できるスキルもインフルエンサーは必要とされます)

 

 

第1.2ステージ:

youtube検索→複数内容をブックマーク化(随時変化する)

→動画を見て必要情報をメモ/SNS/ブログ発信シェア

→他の人の学びの機会のスピードアップにつながり→巡り巡って自分の発信力や理解力が強化される。

「覚えなければならないば知識」「紹介すればいい知識」「いつでも見に来ればいい知識」「普遍性の高い情報」という「有益情報種の選別スキル」が求められます。

学習は「覚えなければならない知識」に時間がかかります。

 

 

第3ステージ:

概略を抑えたら、結果も確認できる時代です。

「同じことを思って実行した人の動画」が多数あるからです。

モーダルインターチェンジも実践した楽曲を聴くと「あ、こういう感じなら要らんかな」とか思ったりします。

この段階で「自分には何が必要だったのか」を再考できないと勉強した気になってしまいます。まだ他人の結果だけを見ただけで、自分でやっていません。

コルブ博士はここまでのステージだけでは学習の未完了だ、と述べているわけです。

 

第4ステージ:その結果を創造的に発展させ、能動的にテストし、発信する

無駄だとわかってもここまでやって初めて学習が完了します。もちろん無駄でも学びはあります。さらにそれをアウトプットする必要があります。

 

この4ステージ目のハードルが高いのが現代だと思います。

4ステージ目の実行は0-3ステージ目までとは比べ物にならないほど"面倒"であり、かつ実体験だけは、自分でやらないといけません。

第0ステージ:なににどれだけ時間をかけたいか」で、しっかりと今年一年はこれをやってみる、と決めないとなかなか整理してスタートがきれないと思います。

この0-3と4段階の急な難度の差を知っていれば、学習に対する気合いも変わるのではないでしょうか?

 

またこういう警告も必読です。BBCが出したレポートですら忖度や視聴率に絡んだまやかしが入ってしまう、という例を上げた後の文章。

BBC研究の内容からは「脳トレーニングは役立たない」と言い切れないことは明白だ。BBC研究は、脳に関する質の高い学びを得たいときにはメディアが流すニュースに頼らないほうがよいという、別の意味での学びを与えてくれる。単純に、話がおもしろくてセンセーショナルであればいいだけで、メディアの主要な目的は正しい知識を伝えるところにはないということだ。

新聞、インターネットも同じですのでくれぐれも4ステージ目を怠った経験や知識を安易に用いないほうが良いと思います。

 

こうした引用記事も、ご自身で実際に読んで解釈してください笑。

個人が必要なところ、というのはそれぞれ違うものですから。

 

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