音楽教室運営奮闘記

不定調性論からの展開紀行~音楽と教育と経営と健康と

創造性が生まれる四段階〜音楽制作で考える脳科学28

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前回

芸術的創造は脳のどこから産まれるか? (光文社新書)

今回は「創造性」の核心に迫る回です笑。

 

創造性とは?

ノースカロライナ大学のキース・サウアー教授の50年以上にわたる研究成果をまとめた著書のなかで、創造性を生み出す共通のプロセスモデルとして、社会心理学者グラハム・ワラスによる「創造性が生まれる4段階」が用いています。

 

準備期・・・問題設定/情報収集/解決策立案

あたため期・・・問題から一度離れる/答えの羽化を待つ

ひらめき期・・・答えが舞い降りる

検証期・・・精査⇨解決<創造的発想>

 

これは誰でも経験はあるのではないでしょうか?こんなことまで学者はまとめているのですね。

 

トライアンドエラーを繰り返すことで徐々に最適な選択をとれるようになってきます。

(中略)こういったモデルでは、トライしなければ学習できないことになります。(中略)ヒトの脳内では、トライしている時以外にも無意識に記憶情報を処理し続けています。

(中略)この無意識の内に起こる潜在的な情報処理がうまく機能した時に、学習者は「突然答えが降ってきた!」と驚愕し、内発的報酬を得るのかもしれません。

もうこれが答えですね。

内発的報酬とは、金銭報酬などの外発的なものに対して解決策を得た時の心の喜びなど自ら作り上げる報酬です。

 

故に作曲を学ぶなら作曲自体をどんどんやってください、とこのサイトでも述べ続けています。やり続ける習慣と情報の流入が脳の処理を拡張させます。

だからあとは作曲時に迷った時「ああ!!どうしよう!」って迷いつつも、リラックスしてしばらく寝かせておくと、翌日に急に「あ!」って気がつく、というわけです(これを「ワォ!効果」(Wow effect)というそうです=「アハ体験」とも)。

悩んでいる私たちを傍目に脳は着実に処理をし続けてくれます。

だからその問題を諦めなければ、必ず解決策は降ってくるんです。

 

毎回すごく焦るけどね笑

 

今回の話は以上です。問題に悩んでもうまいこと他のタスクを片付けながら解決策が降ってくるまで辛抱強く付き合ってみてください。できないからといって問題を投げたり、人に任せ過ぎたり、諦めたり、適当にやっつけたりするのはこの脳のタスクの神秘を体験できません。

優れた人材が周囲にいる経営者などは別として、学生さんとかは、自分の脳の機能をある程度知ってから人に頼んだり、任せたりしてみるとそれこそ適切に任せる、頼めるのではないでしょうか。

 

===

 

ヒトは、外部のエピソード的情報から確率的に高い情報や確実な(安定した)情報を潜在学習します。そして、なんども学習を繰り返すことで高確率情報の塊を一つの情報(情報の最小単位)としてみなし圧縮します。いわゆる「わ」、「た」、「し」という3つの列情報を頻繁に開くことで、「私」という一つの情報に圧縮されるような流れです。

 

もちろんそのアイディアを得たあとリラックスして、カッコつけすぎて失敗したりもしますが現実には笑。だから問題は解決するけど人に嫌われる、とかはまた別の問題なのでしょう。

 

(真にあなたがすごいと思う)作曲家に出会う機会があったら聞いてみてください。

(真にあなたがすごいと思う)アレンジ、曲を書いた人が、どうやってそれを思いついたかを。

 

意味記憶=知識、ペンがペンだと認識するような記憶データ

エピソード記憶=ある時間と場所で起きたストーリーを記憶する。「夕方、虹を見て感動した」

自我はこのエピソード記憶を自ら作り出すような状況から生まれたのでは?と同書は述べます。

自我ってなんでしょうね。

 

フレーズは意味記憶で、それらのパターンがたくさん記憶されると、それらがチャンクされ情報の集積となると、そこから自らエピソード創造を行うのが脳の特徴のようで、それが音楽の創作につながるようです。

覚えた単語から自分の文章を作るように、覚えた音楽から自分の音楽を作るようになるわけですね。

 

・低次の潜在記憶が表現を収めようとする表現意欲・・・他者と芸術を共有するための意味記憶

・高次または深い潜在記憶が逸脱しようとする表現意欲・・・自分だけのオリジナルを生み出すためのエピソード記憶

 

このバランスが創造性には大切なんだそうです。

脳は単純すぎず、複雑すぎない情報にある種の報酬を感じるのだとか。「脳は簡単なものが好き」っていうのは言い過ぎなんでしょうか。それとも創造的な観点に対しては、そうしたバランスを好むのでしょうか。

 

筆者のこれまでの神経生理実験から、ヒトの脳はメロディから音程の潜在記憶を獲得できることがわかっているからです。この機能により、我々はメロディを容易に転調できたり、自分の声とは別のピッチや音色を持つ他人の会話を復唱することもできたりするのだと考えられます。

なぜヒトはメロディを聞き分けるか?みたいな疑問て、音自体を感じ取る解釈が人間の一時的な満足行為である、とするとスッキリします。音を聞き分けているのではなく、そういうことしかできないのが脳の機能、だからです。

 

 

あと睡眠時はやはり、脳の情報のデフラグ中なんですって。トイレ行った、電話かけた、ご飯食べた、みたいな日常の短期記憶のバラバラランダムなデータを必要なものの順にチャンクわけし、圧縮して長期記憶に保存しているのだとか。

そうして「空き」ができることで、またチャンクが分類され連結することで、新たな計算が可能になり、新たなアイディアもそこから生まれやすくなる、とか。

睡眠は大事!

www.terrax.site

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