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思春期の脳は全てをシミュレートしたがる?〜音楽制作で考える脳科学24

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前ターム

芸術的創造は脳のどこから産まれるか? (光文社新書)

 

思春期の脳

線条体は、未来の事象に対する期待や意欲に関係していると考えられています。例えば、何らかの問題を克服し、その対価として金銭的報酬をもらった時に線条体の感受性が高まることがわかっています。また、音楽演奏への意欲や期待にも関与していると示唆されており、音楽の創造性を高めるためにも重要な部位です。一方、大脳辺縁系と同様、線条体の成長スピードも思春期の感情変化と関連しているようです。

芸術的創造は脳のどこから産まれるか? (光文社新書)

 

図引用;線条体 - Wikipedia

理性を司る前頭前野に比べて、線条体は急激に思春期に活発になるのだとか。だから思春期は理性より欲求が先にくる、と考えても良いと思います。

脳は自分がこれから生きていく社会の中でどういう感情を持つことが、どういう行動パターンを取ることが自分に適切なのか試しているのだ、といつも感じます。

 

線条体の働きで「やり遂げる」「相手を打ち負かす」「報酬を獲得する」「優越感に浸る」みたいな感情への喜びが増すが故に、スポーツも、いじめも、テストの高得点も、先生から褒められるのも全て"刺激的"なんでしょうね。理性を上回ってしまうほど。

 

だから中学生、高校生とかのレッスンはそういった感覚感がどうしても話題の中心になります。内容に中身がなくても本人が興奮するのは、脳が人生をシミュレートしてるためなのでしょう。

 

先生よりすごいんじゃね?俺!!って思った時とか笑、大した達成ではないことに興奮したり、悩んでいたことが解決された時とかの喜びようは、「そんなことにこだわるの?」って大人から見ておかしな時もあります。

 

あの先生もういいやって思った時とかも「もういいや、と思うことで自分を満たしている」だけで事実関係は先生の方が適切だったりします。

だから学生に嫌われてもあまり気にしないでください。それは本人にとっての脳の報酬を作り出して線条体を刺激している、とかって思っておけば良いのでしょう笑。

どういう気分になるか試しているんです。結果を知らないので笑

全てが初めての「欲望満足ベクトル爆発期間」笑。

ある意味では本当に危ない時期ですね。

 

だからレッスンではわざと学生の得意なところで先生が勝負してみたり、自尊心を導いたり、プレゼントをしたり、させたり、といった脳の報酬系を刺激するやり取りを時々(思わぬところで)すると効果的だったりします。

大人からすると冷めて見てしまうようなことも今の本人が大切だ、と感じているようならそこに乗ってあげても良いと思います。

後で後悔することを伝えましょう。その後悔までが勉強です。

 

どこかでさりげなく「思春期の脳はこれこれだ」と教えてあげることで冷静になれる時もあります。本人の責任とは言えないレベルでそういった行動をしているような子もいます。

それらの行動と言動に対して大人と子供が双方がどう取り組むかで思春期の問題が表面化するかしないかが決定されるのではないでしょうか。

 

事が大きくなる前なら良いところは伸ばせますし、悪いところは脳の仕業だ、と自覚と身体(脳)の勉強を促す、ぐらいの余裕を持ちたいです。

一人一人対応が違うのでなんとも言えませんが。

 

悲観は「悲観したいから悲観する」のであって現実はそこまで絶望的なものではなく、

怒りや悪意も「それを感じて扱いたいからそれを扱う」のでしょう。

まさに思春期は「自分試用期間」だと思っています。

人もいじめてどんな反応をするか脳は知りたがっています。

その反応経験をもとにその後の人生が作られます。社会的悪になる自己満足/快感にならないようにしたいものです。

 

実際にこれからの人生で、悲観的なことにも向き合うことになるし、悪意を抱くこともあると思います。その時にどう対処できるかを、思春期は学んでいるのだと思います。思春期に何をして、周囲にどんなことを言われたか、されたか、がその後の人生の価値判断に影響を及ぼすのかな??

 

 

またこれが難しいです。

親は勉強させたい、遅刻させない、という観点でしっかり育てようとします。そういう親の態度が気にくわないと、先生に相談してきます。

基本は「親は人生最初のプロデューサーだから、その人一人満足させられない人は芸の道は厳しい」と伝えます。もちろん最後まで親が反対したままだった一流人もいますが。そう言う事例を探し当ててこられる子は優秀なのでこの話は通用しません笑。

常に同じ答えをするわけではないですが、文句を言う、と言うのは自分で解決策が考えられていない証拠です。

 

大人であれば

・親の立場を理解する

・勉強しなくても得られるものもある

・遅刻をしてわかることもある

・親の言うことが全てではない

・何より自分で学ばなければならない

と理解できます。それらが分かっていれば「文句」にはなりません。

 

「文句」はやはり想像力が未熟であり、視点が足らないから起きるので、一緒に視点を増やす相談をするといいです。その時には「そんなのくだらない!」って言われてもいいと思います。大人が「視点を増やそう」と言った、と言う経験を知ってもらうだけでも脳にとっては学習だと思います。

逆にその文句に同意したり、子供の挑発をまともに受けると厄介です。

挑発⇨喧嘩⇨やり込める/やり込められる

みたいな経験も必要なのでしょうが、どちらになっても傲慢/卑屈にしからならないのでは?と感じてしまうので、できる限りクリエイティブな相談をしたい、と私は考えています。

 

互いの立場を理解することで、双方が成り立つ解決策を自ら提案できる

 

大人になってほしいな、と思って日々指導しています。

 

自分の子供時代にうまくできなかったのでなおさら、慎重に考えますね。

 

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