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音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

仕事をしようとするとなぜ掃除をしてしまうのか〜音楽制作で考える脳科学20

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前回

参考書は「自分では気づかない、ココロの盲点 完全版 本当の自分を知る練習問題80」です。

 

セルフ・ハンディキャッピング-Self-handicapping-

もしあなたがボーカルグループのセンターであったとして、練習のしすぎで喉を枯らしてしまい、持ち味の透明感のある歌唱が十分にできない状態にあったとして、あなたは事前に、またはライブ中、お客さんに「実は声を枯らしてしまって」とカミングアウトしますか?

 

これ、その人のキャラクターや、現在の自身のシーンでの勢い、持ち味、そういう雰囲気、上手にツっ込めるメンバーがいること、ファンの気質、上手なメディア報道の傘下にいる、などの様々な条件がその決断に絡んでくるでしょう。

 

例えば、ユニークなキャラクターが売り物ならメンバーが「今日はおじいちゃん(おばあちゃん)みたいな声やん!!」みたいに突っ込んで「今日のお客さんはラッキーですよ?彼の弱みを握って帰ってくださいね?」みたいなお得感を演出したり、または自分で巧みに告白したりもできるでしょう。フォークシンガーなどは本当に巧みにトークに織り込んで、その声すら「今日の特別」にしてしまいます。

 

しかし完璧を求める気質がファンの中にあったり、メンバー同士がギクシャクしていたり、直前や前日にそれなりの別のミスをしていたり、タイミング悪くそれが発覚して隠すようにマネージャーから説得されたり(契約上)すると、本人もそれを黙って追い詰められてにんにく注射でもしてパフォーマンスしなければなりません。

この場合、もし完璧なパフォーマンスができれば後日オフ会などで「実はあの時はちょっと喉を休めなさいって言われたんですが、にんにく注射して乗り切ったんですよ」とカミングアウトして"英雄伝"にすることもできます。

また逆に先方から先に「この間は調子悪かったでしょ?」などと指摘されても、言われるまで黙っていることで「実は疲労で喉をやられていまして、もう大丈夫です!」となれば、"我慢して人に言わずにやりきった感"を相手に与え、やはり英雄伝になります。

 

これらは「それぞれの自尊心が満たされる」という一点に関わっているそうです。

指摘する方もそっと呟けば「守ってあげた」感が出せます。

指摘された方も「実は。。。」と言葉をにごぜば「我慢して戦った感」が出せます。ミスや失敗がアプローチによってはアドバンテージになる、のは結果そのものよりも「自尊心」が満たされることでうまく回っていくためです。

大失敗して損失を出しても「誇り」「結束力」「爆発的な努力」が副産物として生み出せれば、その後の映画のような挽回のストーリーに向かってチーム一丸となることすらできます。

 

これらの自尊心は、「将来への自分の配慮」に関わっているそうです。

自らわざと成功しにくい状況を設計することで、将来の自分の立場を守っています。

大事な仕事の前に"景気付け"のように掃除を始めて大切な制作時間を削るのも、そのためなのでしょうか。「完璧にこなしたかったが時間が足らなかった」という未来の言い訳が意識の奥底に生まれているのだそう。これを本人は「景気付けに部屋を掃除」という言い訳に変えるから脳は厄介ですね笑。

そういう言い訳に変わっていることすら当人はわかっていません笑。

もし誰からも邪魔されず、100%24時間創作に当たれる状況で大した作品ができなければ、自分の才能の乏しさを認めることになります。

そうなりたくないために無意識に、制作時間を削ろうとしてしまうのです。

 

さらに掃除をしてしまうのはもう一つご褒美みたいな状況を心に作り出しします。

 

だから、何かしらの理由をつけて、全力を出さない状況を作りだすのです。外的な理由があれば、失敗したときに責任を転嫁できます。逆に成功したときは、不利な状況を克服した自分のプライドを満たす材料になります。(中略)

これは、自分に期待するほどの能力がないという事実に直面することを避けるための工作です。

 

そうか、掃除しちゃうのは、もしそうやってうまくいったら「この少ない時間でよくやった!」って後で自分に言うためか!!笑

可愛いと言うかなんと言うか。

中には無意識に本番前に怪我したり、常に大舞台の前に体調を崩す人もいます。

そんなこと、まさか意識が引き起こしているはずはない、と誰でも思います。足をくじいたり、喉を痛めたりする人もそう言う意識の働きがあるのかもしれません。周囲も「毎回彼は運が悪い」で片付けることもあるでしょう。

自信のなさの裏返しとはなかなか気づけません。ある意味ではサインなのかもしれませんね。

 

こう言うことも知識がないと、ただ本番に弱いやつ、 と思ってしまいそうです。

逆に淡々と成功を叩き出す人こそが生き残る、というのもわかります。

しかし知識として、人というのはそういうことをしてしまうのだ、と知っていれば、ケアもできると思いますし、いざという時メンバー間で、スタッフ間で補い合えるコミュニケーションを作っておくこともできるでしょう。

この辺りはリーダーシップ論というより、脳科学を勉強すれば済む話です。

それぞれに個人差があるからこそ、その人の加減を上手に理解してあげられればいいだけです。

 

掃除を始めたら「手伝いますよ!!!」なんていったら嬉しいけど怪訝な顔をするでしょう。それは掃除をすることで時間を使いたいのに、それが短縮される妙なストレスからだと思います。

 

なにぶん自尊心に関わることですので、「あ、それは逃げの行動だよ」なんて指摘したら逃げることができなくなります。お互いにそういうものだ、と理解しあっていつでもカミングアウトできる状況を作る、ということもチームカラーの一つだと思います。

 

実力があっても、こういう演出だけ下手な著名人もいます。

また徹底して完璧主義結果主義で勝負できる真の実力者もいます。

様々な気質の人の中で自分も戦うわけですから、勝ったり、負けたり、逃げたり、挑んだり、悲喜こもごもです。コントロールできないことなのかもしれません。

 

足を痛めてもゲームで戦う選手や、家族の不幸を隠して仕事に臨む芸能人、など後年そういう裏話を聞くと、妙に心を打たれるのも、その人への共感、というよりも、自分も普段からそういう心構えで仕事に当たろうとしている、その自尊心をくすぐられるからかもしれません。

デッドボールを受けても立ち上がって怒りもせず、ファンに手を挙げて一塁に進んだら英雄です。

これも英雄なのではなく、脳がそういう行為とやりとりをいつも自分の中に理想として持っているから、と考えると面白いです。

その理想に反した行動をする人がいると、そういう人を問答無用で責めたりします。

 

これって色々考えても全部自尊心がガードしてしまいますね笑。

仕事は「数値的には結果が全て」であり相手の自尊心を動かせるなら「数値的結果が全てではない」となります。

 

これ、考えてできそうにありません笑。

やはりオーディエンスを巧みに盛り上げる才能、ハンディキャップを生かせる運/素養、というものがあるようにも思います。それが自然とできちゃう人がセンターを張るのでしょう。

そこはやはり才能か??

 

もしあなたがバンドをプロデュースするとき、個々人の自尊心がどのような動きをするか見ていると、どうプロデュースして行けばいいかわかるのかもしれませんね。

 

掃除って行為自体が自尊心と関わっている、と思うと作務としての掃除、修行としての掃除って、自己の自尊心と向き合う行為なのかもしれませんね。

 

まー、しかしよく自分も忙しい時に棚の整理してたなぁ...

そういうことこかー笑。

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