音楽教育活動奮闘記

不定調性論からの展開~音楽思考の玩具箱

<不定調性論教材紹介66>トーナリティの拡張が新たな機能感の連鎖を生む

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調性という世界観の拡張が完成した今、皆さんは段階的に非機能進行を意図的に利用する方法を得ました。

ここではその体系をまとめてみます。これは第三章までで示したlevel4までの和音体系のさらなる拡大された不定調性のまとめとなります。

 

Level 0-1

倍音列の簡単な数比で現れる音のみで、音楽を作り上げる。

もちろんこれだけで音楽を作る、というのは困難ですが、モチーフの起点として発展させることはできると思いますので、あえて使用音の制限等は設けません。

 

Level 0-2

等比数列音階を用いて音楽を作り上げる。

これはオクターブレンジで発生した音程を基盤にした各種の音階を作曲に用いる、ということです。

オーグメントスケール、ディミニッシュスケール、ホールトーンスケール、クロマチックスケール等になります。

これもクロマチックスケールはあらゆる音階の元になってしまうので、半音階での移動によりクロマチックな展開を表現する、というようなイメージです。あまり細かい規定を設ける必要はないと思います。

 

Level 0-3

基本和声単位/その他の和声単位を用いて作曲する。

これはXu5、Xu4、Xl5、Xl4の四つの和声単位を用いて作曲します。

最初はXu5だけを連鎖させて、自由にメロディを載せたりすることでこの作曲法の意図や雰囲気をつかみ、慣れてきたら、四度領域和音や下方領域、またはその他の複合領域などを用いて作曲してみましょう。

 

Level 0-4

和声単位に伴う手法、領域変換、階段モデル図の移動、コロイド音、ベルトチェンジ、和声分子構造モデル、完全領域変換などを用いてマザーメロディを作り、編曲する。

これはすなわち、機能和声論そのものではなく、きわめて類似しているが調を伴わない展開が可能になるため、意外と難しいと思います。学習段階で、4~16小節のテーマ作成などで実験的に用いてみると良いでしょう。

 

Level 0-5

各種領域進行

各種進行を用い、回帰性不定調性進行/非回帰性不定調性進行/不定回帰性不定調性進行などを用いてマザーメロディを体系的に作る。

これも下記Level 1~よりもはるかに困難ですが、実験的音楽習得に向けたレッスン楽曲として作成してみると良いでしょう。

 

Level 0-6

「原始的響きの表」に基づいた和声群の調的連鎖を楽曲制作に用いる。

表を再掲示します。

連関表II※I=Cとして(IV=F、V=G)を追加した表。VII別表記を省く)

 

下方七和音

下方三和音

基音

上方三和音

上方七和音

C(F,G)m7-5

E♭(A♭,B♭)m

b♭(e♭,f)

B♭(E♭,F)∇

B♭(E♭,F)7

F#(B,C#)m7-5

A(D,E)m

e(b,a)

E(A,B)∇

E(A,B)7

A(D,E)m7-5

C(F,G)m

g(c,d)

G(C,D)∇

G(C,D)7

D(G,A)m7-5

F(B♭,C)m

c(f,g)

C(F,G)∇

C(F,G)7

G(C,D)m7-5

B♭(E♭,F)m

f(b♭,c)

F(B♭,C)∇

F(B♭,C)7

B♭(E♭,F)m7-5

D♭(G♭,A♭)m

a♭(d♭,e♭)

A♭(D♭,E♭)∇

A♭(D♭,E♭)7

E(A,B)m7-5

G(C,D)m

d(g,a)

D(G,A)∇

D(G,A)7

A♭∇以外確立

Bm以外確立

G♭∇以外確立

G♭∇以外確立

G♭7以外確立

           

少しずつ調性感覚が宿る流れにはなっていますが、この表の和音だけでは違和感のある作曲技法となるかもしれません、他の作曲段階で合わせて参考にしてみてください。

 

Level 1

モード/メジャースケール内

コード/メジャースケールダイアトニックコードまたはナチュラルマイナースケールダイアトニックコード

キーをCメジャーとすると、Aマイナーが平行調となる世界

CM7  Dm7  Em7  FM7  G7  Am7  Bm7(♭5)

キーをCマイナーとすると、Ebメジャーが平行調となる世界

Cm7  Dm7(b5)  EbM7  Fm7  Gm7  AbM7  Bb7

 

Level 1α

モード/規定なし

コード/メジャースケールダイアトニックコードまたはナチュラルマイナースケールダイアトニックコード

キーをCメジャーとすると、Aマイナーが平行調となる世界だが、これらのコードを持つあらゆるモードが使用可能になる世界。

CM7  Dm7  Em7  FM7  G7  Am7  Bm7(♭5)

キーをCマイナーとすると、Ebメジャーが平行調となる世界だが、これらのコードを持つあらゆるモードが使用可能になる世界。

Cm7  Dm7(b5)  EbM7  Fm7  Gm7  AbM7  Bb7

 

Level 2

モード/メジャースケール、ナチュラルマイナースケール

コード/メジャースケールとナチュラルマイナースケールのダイアトニックコードを混合して用いる。

キーをCメジャーとCマイナーとしたダイアトニックコードを混合する。

CM7  Dm7  Em7  FM7  G7  Am7  Bm7(♭5)

Cm7  Dm7(♭5) E♭M7  Fm7  Gm7  A♭M7  B♭7

 

Level 2α

モード/規定なし

コード/メジャースケールとナチュラルマイナースケールのダイアトニックコードを混合する。

キーをCメジャーとCマイナーとしたダイアトニックコードを混合するが、使用する音階は独立して自由。

CM7  Dm7  Em7  FM7  G7  Am7  Bm7(♭5)

Cm7  Dm7(♭5) E♭M7  Fm7  Gm7  A♭M7  B♭7

 

Level 3

モード/規定なし

コード/メジャースケールの各モードにおけるダイアトニックコードを全て用いることができる世界。使用する音階は独立して自由。

 (level3)

 

 

 

I

II♭

II

III♭

III

IV

CM7

D♭M7

Dm7

E♭M7

Em7

FM7

Cm7

 

Dm7(5)

E♭7

Em7(5)

Fm7

C7

 

D7

E♭m7

 

F7

Cm7(5)

 

 

 

 

 

 

IV#

V

VI♭

VI

VII♭

VII

F#m7(5)

G7

A♭M7

Am7

B♭7

Bm7(5)

G♭M7

Gm7(5)

A♭7

Am7(5)

B♭m7

Bm7

 

GM7

 

 

B♭M7

 

 

Gm7

 

Level 4

主要モードのダイアトニックコードを含む。

メジャースケール、ナチュラルマイナースケール、ハーモニックマイナースケール、メロディックマイナースケール、ハーモニックメジャースケール。

(level4)

 

 

 

 

 

I

II♭

II

III♭

III

IV

CM7

D♭M7

Dm7

E♭M7

Em7

FM7

Cm7

 

Dm7(b5)

E♭7

Em7(b5)

Fm7

C7

 

D7

E♭m7

 

F7

Cm7(b5)

 

 

E♭augM7

 

FmM7

CmM7

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IV#

V

VI♭

VI

VII♭

VII

F#m7(b5)

G7

A♭M7

Am7

B♭7

Bm7b5)

G♭M7

Gm7(b5)

A♭7

Am7(b5)

B♭m7

Bm7

 

GM7

A♭augM7

 

B♭M7

Bdim7

 

Level 5

主要モードのダイアトニックコードも含める。



この表により、ほとんどのコードが事実上使用可能になります。

 

Level 6

セカンダリーコードの機能拡張表を用いてコード使用の幅を広げる。

この表は、たとえば、CM7-Gm7(♭5)-G7-CM7といった和音進行を、従来の機能和声的解釈を施すための表です。

上記、最初のCメジャーダイアトニックコードの表をご覧ください。その表の中にGm7(♭5)がいくつか記載されています。Dm7の列のミラーサブドミナントとされているものです。

ミラーサブドミナントとは、この表のために設定した用語ですが、その上の列のサブドミナントがサブドミナントメジャーである場合は、ミラーサブドミナントはサブドミナントマイナーとなり、サブドミナントの欄がサブドミナントマイナーであった場合は、ミラーサブドミナントはサブドミナントメジャーとなる、という欄です。

さて、このGm7(♭5)は、CメジャーキーにおけるDm7を仮トニックIとした場合のIVであるGm7のサブドミナントマイナー化したものである、と言えます。つまり、CM7であれば、本来のサブドミナントがFM7であるとしたら、ミラーサブドミナントはFm7になります。これらを使って解決進行を作ると、

FM7-Fm7-CM7

というような流れになります。このGm7(♭5)はCメジャーキーのIIm7のセカンダリミーサブドミナント、またはセカンダリーサブドミナントマイナーコードである、と言えます。このように広義な機能解釈によってアナライズも可能ですが、旧態システムの発展形において楽曲を理解したいという場合に限ったアナライズとも言えるでしょう。

セカンダリー概念を拡張した機能拡張された和音によって、ノンダイアトニックコードもほぼ用いることができます。これらを用いて、トーナリティモーション、モーダリティモーション、ハーモニックインターチェンなども使用して楽曲を構成します。

 

Level 7

マトリックスの利用による楽曲制作。

「マルチファンクショナル コードマトリックス」や先の「モードマトリックス」を参照しながら和声進行から調性を奪っていきます。

C∇ → G∇

という変化は、全ての条件を排除したとき、c,e,gを持つ集合からg,b,dを持つ集合への変化を暗示しており、モードの変化の可能性、コードへの追加音による色彩感の拡張の可能性があります。

たとえばC∇には、Cアイオニアン、Cリディアン、Cミクソリディアンなど様々なモードの使用が可能です。それを以下「モードマトリックス」の表として、機能和声論から発展理解できる和音とモードの関係性の集大成として、機能解釈を最大限に拡大した和声とモードの関係表を掲載しておきます。

 

Dm7 G7 D7(9)、

Dm7 G7 Em7(♭5)(♭13)、

Dm7 G7 A#M7(9,#11)…etc..(厳密には♭5がよりトニック要素を高める)

これはSD-D-Tといった進行で、それらの機能を確定する音を持つ和音を連鎖することで、非機能感と機能感の両方を演出することができるでしょう。

機能の条件をより緩やかにすれば、

SD・・・IV、VIを持つ

D・・・IV、VIIを持つ

T・・・I、IIIを持つ

とした場合、センタートーン=Cとして、擬似的なKey=Cを作り出します。

SD-D-Tの順で例を挙げれば、

 

①G♭altM7(#9)  Bdim7  B♭mM7(b5)(9)

②Gm7(b5)(9)  DM7(#9,13)  Ealt7(b13)

 

ちょっと見ただけでは、そのコード進行に機能があるようには見えませんが、これは拡大解釈した不定調性論的"Dm7 G7 CM7"になります。

もちろん使用モードが異なるので、ある種の転調感があるのですが、機能を与えている音を中心に浮き立たせるような旋律を作ることで、進行感と連鎖感の名残を与えることができます。

これらの進行を「不定調性希機能進行」といいます。これは“作り手が感じる”極めて薄い機能感の連鎖という意味です。和音形成の条件はご自身で再設定してください。

モードマトリックス

これは一般にトニック機能を示す構成音の法則を代表的な七音スケールの各コードに当てはめ、同じトニックコードとして導き出した和音を列挙したものです。

解釈のきわどいものもありますが、非機能的な和声の響きの連鎖の一つの事例として参考にしてください。

 

これらを踏まえれば、一見未解決な進行にも進行感の起承転結を作ることができるでしょう。一つ例を挙げると、SD-D-Tという進行において、

B♭M7  BM7(#11)  CM7

という進行を作ることができます。これに不定調性進行を加えます。

CM7  DM7  FM7  A♭M7  B♭M7  BM7(#11)  CM7 

もちろんBM7(#11)をBM7という形にし、同型和音による不定調性の動進行として進行感を作ることももちろん可能です。

 

「So What」のテーマは、D DorianとEb Dorianを行き来します。

これをDマイナーとEbマイナーのキーがチェンジする、と考えてしまってはモード音楽の解釈を誤ってしまいます。

このDm7→Ebm7を考えてみましょう。それぞれV7を置きます。 

A7→Dm7

Bb7→Ebm7

これが混ざるわけですから、この二つが切り替わるときに、

Ddorian |Ddroian |E♭dorian |E♭dorian |

という切り替え個所において、

A7 |A7 |Ebm7 |Ebm7 |

というようなことも起きるわけです。

これはDm7に行くと見せかけて、Ebm7に移行する意外性、スリリングさ、楽しみがあります。

 

つまり、コード進行として、

A7→Ebm7

が成り立つ状況が生まれている、と解釈することができます。

 

つまり、

あるキーのV→別のキーのI

という進行が音楽的に生み出せるわけです。

「複数のキーの間の機能コードを連鎖させる進行が一つの方法論として展開できる」

ということになります。

 

Cメジャーキーのスリーコード(I,IV,V)

C F G

Aメジャーキーのスリーコード(I,IV,V)

A D E

Bbメジャーキーのスリーコード(I,IV,V)

Bb Eb F

 

ではこれをI-IV-V-Iで自在に連鎖してみましょう。

 

C |D |E |C |

これはCメジャーキーのIとAメジャーキーのIV,Vを用いた例です。

 

C |Eb |F |C |

これはBbメジャーキーのIV,VをCのIと組み合わせた例です。

 

まるでビートルズ進行ですね。

 

では、マイナーキーも入れてみましょうか。

Cメジャーキーのスリーコード(I,IV,V)

C F G

Aメジャーキーのスリーコード(I,IV,V)

A D E

Bマイナーキーのスリーコード(I,IV,V)

Bm Em F#m(またはF#7等)

 

C |D  |F#m |C |

これはAのキーのIVとBマイナーキーのVm用いた例です。

 

<参考>

www.youtube.com

 

マルチファンクショナル コードマトリックス

上記の例をご覧ください。

矢印に沿ってコードを並べると、

CM7 GM7 AM7 F#M7 E♭M7  DM7  GM7  E7  CM7

となります。

これはそれぞれのキーで並んでおり、

トニック→サブドミナント→トニック→サブドミナント→ドミナント→トニック

という流れを作っていることがわかります。

個々の和声の原始的な機能は、おそらく機能していません。しかし全く目安のない状態で音楽を作ろうとするとき、これらのチャートによるコードタイプの変化は、一つの作曲の指標になると思います。

またこれらの機能はいつでも起動し始める可能性(同一キーの中での機能変化の利用による一時的なキーの発生)を持っており、弱い重力の連続を作り出すことも可能でしょう。和声の進行感を、ある種の機能重力の連鎖として感じてしまう方は、こうした考え方で作られた表を独自に作り、不定調性的和声進行を作られることを提案します。

 

Level 7α

モードマトリックスの12音拡張化による希機能複合作曲法

さらに,

Cメジャーキー解釈の希機能トニックコード

→Abメジャーキー解釈の希機能サブドミナントコード

→Eマイナーキー解釈の希機能ドミナントコード

→Bマイナーキー解釈の希機能トニックコード

という流れで、T-SD-D-Tという進行を作ることができます。ヴォイスリーディングに注意して、より機能感、調性感の薄いが曲を制作してみます。

 

Level 8

動和音と静和音、動進行と静進行という解釈でコードをさせて楽曲を制作する。

存在する機能性をスルーして、和声の形態にもこだわらず、自由に響きの印象のままに紡いでいきます。

個々人の潜在的音楽性をフルに発揮できる分、連鎖のセオリーがないため、楽曲の形式のバランスに注意する必要があるでしょう。また旋律の利用については次の第六章において紹介する「エクスプレッションノート」の概念を組み合わせることにより完成します。

 

Level 9

ハーモニーユニット表を用いて、よりオリジナルな機能性や感覚でオリジナルに様式化(自分にしか分からない形式論でも良い型で構築)された和声進行を用いる。

ほとんど完全即興に近い作曲法です。響きだけではクオリアを生みづらい和声については、個々の和音の構成音による希機能性を活用して和声の領域を接続しながら、マザーメロディを作るなどして、楽曲を制作します。

本来三和音の組み合わせはこれだけ成り立つはずですが、重複をわかりやすくするために音名にすると、

このようになり、5 5 種類が浮き立ちます。これをそれぞれ

i # _ 1〜1 0 i i _ 1〜9

i i # _ 1〜8 i i i _ 1〜7

i v _ 1〜6 i v # _ 1〜5

v _ 1〜4 v i _ 1〜3

v i # _ 1〜2

でわかるなら簡素にこれらの行列で表現してもいいでしょう。上記表は下記の

ような意味です。c を1音目にして、

これは和声単位の別の表現になります。

ここにはメジャーキーの機能解釈とマイナーキーの機能解釈も併記

しておきました。

※和声単位の制作例

この和声単位を例に考えてみます。

4 2 というのは先に分類した三和音の序列番号です。4 2 番目の和声単位と理解してください。この和声の名前が「オーグメントメジャートライアド4 2」です。そしてその上に斜体太字でT , ( D ) , S D などという機能記号が書いてあります。これは機能和声論の名残で、和声進行の際のバーチャルな展開を作成するときに役に立ちます。

ここではC , F # , G #が基本構成音で、この三つの音は、T =トニック、F # = ( S D )=弱サブドミナント性、G # = S D m=サブドミナントマイナー性です。この和音はもともとサブドミナント属性を強く持った和音、と表現することもできます。この機能性が何かを引き起こすわけではなく、あくまで「含有量」といった程度で理解してください。

この基本三和音に、たとえばD音を加えた和音を作ってみましょう。これにより構成音は、C , D , F # , G #となります。すると、この和音には、「インクルードホールトーントライアド1-1 4α」が含まれます。ではどちらの和音なのでしょうか??

これは不定調性の考え方からあまり重要ではなくなることはもう理解いただけると思います。

なお、

このトライアドタイプには、左にギリシャ文字で序列が作られています。三和音の和声単位を作っていく過程で、できる同一タイプのバリエーションの和音をどこかに振り分ける必要性から、任意に振り分けられた場合の序列はcを中心にしたものをαとしてκまで序列を作って区別しています。表記の際に活用ください。

ギリシャ文字読み方

α=アルファ

β=ベータ

γ=ガンマ

δ=デルタ

ε=イプシロン

з=ゼータ

η=エータ

θ=テータ

ι=イオータ

κ=カッパ

さて今できあがった四和音、c . d . f # , g #におけるdは機能性がSDとなっています。つまりこのc , d , f # , g #という和音はより強いサブドミナントメジャー性を帯びた、と言えます。

機能区分けについては異論もあろうかと思います。といってこの割り当てが変わったから響きの解釈が変わることはありませんから、ご自身で新たに機能割り当てを行って分類してみるのも良いでしょう。なぜなら、これはどの音を中心にするかによって当然機能性も呼び名も変わってきてしまうからです。ここでは全てc が中心になっていますが、和声ごとに中心音を変えれば、全く違う解釈が成り立つのは当然です。

つまりこのc , d , f # , g #という和音をg #を中心に考えれば、また音程関係が変わるので、和音名が変わることになります。それでも響きは同じです。

( D ) =弱ドミナント性、T m =トニックマイナー性、TM =トニックメジャー性(通常のトニックの事を指します)、D / SD というのはドミナントサブドミナント性で、中間色というイメージです。subD というのは代理ドミナント性、この音が響くことにより副次ドミナント的な響きになる、と仮定しています。

ここから究極の無調性機能進行ができあがります。

インクルードクロマチックトライアド3-2 0 の構成音はc . d # . e で強いトニック性を持ちます。そこから、ハイブリッドマイナートライアド2 2γ のd , f , g #のトライアド、すなわちサブドミナント性の強い和音に移行します。そしてインクルードホールトーントライアド1-1 6ε のc # , f , g という和音でドミナント性を表現し、また最初の和音に戻ります。ヴォイシングを作ると、

このような形でしょうか。機能論を極大に解釈した先にはこうした、非機能進行ともいえる複合和音の連鎖があるのではないでしょうか。この進行のそれぞれの機能性をさらに高める音を追加して旋律も添えてみます。

こうした進行をアナライズする新しい手法の提供こそが不定調性という考え方であるといえます。そこまでこうしたチャートに従うか、直感に従うかは作曲者が自由に判断していろいろな音楽的実験を行ってみてください。また、この希機能性は、次のような進行の可能性を解説してくれます。

C | C | C | C |

という進行を、

k e y = C のC = I|k e y = E m のC = V I b|k e y = F のC = V|k e y = C のC = I|

とします。すると同一のコードであるにも拘らず、ハイブリッドな機能進行ができあがってきます。

T o n i c = C | S D m = E m | D o m i n a n t = F | T o n i c = C

そして、この解釈からメロディを作ることもできます。

これにハーモニーユニットで類似する機能性を持つ和音に代理します。先のkey別希機能表を参考にC , E m , F , C の各T , SDm , Dの機能を持つ和音に代理します。

たとえば二小節目のCはE mのVIbですから、上記表のEの列のSDmに該当するf # , a などを持った和音を作ります。ここでユニット1 3-ε を用い、同様にFのドミナントを持つf #とd を持つユニット1 6-ζ を用いてヴォイシングします。

ハーモニーユニットは希機能性を作曲の一つの判断基準に用いていきます。

 

不定調性論という独自論を通して新たな自己感覚で皆さんそれぞれが、より自由なクオリアを駆使して音楽を感覚的に作るヒントが見つかることを願います。