音楽教室運営奮闘記

不定調性論からの展開紀行~音楽と教育と経営と健康と

いにしえのジャズヴォイシング6

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クロマチックアプローチ

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ノンコードトーンがメロディに現れたときのヴォイシングのセオリーもがっつりあります。

ここからはもう飽きてしまうので笑、ボーッと読んでください。

頭の中には入りますので、これから先、アプローチヴォイシングをする羽目になったら思い出してください。

 

ここでは次につながるEm7の半音下からEm7に接続させています。

クロマチック、というのはあくまで大体の名称で、全てのヴォイシングの連鎖がクロマチックになる、とは限りません。

 

特にこのクロマチックアプローチはギターなどが得意ですね。押さえたフォームを半音ずらすだけで、なんかスリリングでカッコいい感じになるので多用されます。

 

ここでのD#m7のような挿入されたコードを「アプローチコード」などと呼びます。

 

基本的には弱拍に置かれますが、わざとアプローチコードを一拍目や目立つ強拍に持ってきてさらにスリリングに、躍動感を強調したりもできます。

これも楽曲のタイプ、演奏される場面、などで変わります。

 

曲の頭でやったら変な和音でも、盛り上がってきたところで一発目にやったらすごくエキサイティング!とかってなる物ってあります。理論書はそれを平均化して書いてあります。

 

 

ダブルクロマチックアプローチ/パラレルアプローチ

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またテンションメロディからノンコードトーンを経てコードトーンにリゾルブするようなメロディは二つのクロマチックアプローチコードまたは並行アプローチ「パラレルアプローチ」という人もいます。

 

ディレイドリゾルブ

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ジャズにありがちなリゾルブするメロディの半音上と、半音下からアプローチするような場合を「ディレイドリゾルブ」と言ったりします。

 

 

ドミナントアプローチ/ダブルドミナントアプローチ

 

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またコードトーン以外の音をたくさん音が使えるドミナントコードでヴォイシングすることもできます。

同様にダブルドミナントアプローチといって、

C6→D7→G7→C6

C6→Ab7→G7→C6

C6→D7→Db7→C6

C6→Ab7→Db7→C6

でヴォイシングも可能です。要は小さなコード進行を作るわけです。不定調性論では、これを機能で結びつけず、「音楽的な脈絡でつなげる」な表現をしたりしますが、最終的にジャズがたどりつくヴォイシング連鎖のコンセプトもそうなります。

ジャズ理論の中で声部連鎖を行う場合は、より理論的なコード連鎖を作るわけです。

それらの技法を使うことで伝統的なサウンドになります。

50年代のビッグバンド風にお願いします、と、あなたがアレンジをお願いされたらそうしてみてください。

 

 

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上記のようにII-Vにすることもできますし、ドミナントコードをつかって、

Db7→G7→Cとかディレイドリゾルブもできます。

 

 

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上記のようにメロディがCのコードトーン(e→c)であっても

G7→C

という流れを造ってヴォイシングする、というアイディアも思いつくでしょう。

 

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こうした譜例を見せ、

"このeをドミナントアプローチ、クロマチックアプローチ以外でヴォイシングしなさい"

みたいな課題も生まれるわけですね。

これやっていると授業はすぐ終わってしまう、という悪魔の問題です。

さらにここにはコードがCM7と指定されているのでFM7(サブドミナント機能の和音)とかG7(ドミナントの機能の和音)を一拍目に置くと、全体で違和感が起きるかもな、ぐらいに考えてください。

 

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たとえば、ドミナントアプローチを避けるためにはG7が生まれないようにすれば良いので、gにとっての7thであるfを避け、f#にすることでG7の意図は完全に否定できます。そこでEadd9にしてダイアトニックではなくしてみます。

 

それでも、このライン、なんとなく音楽っぽさがあると思います。

するとあなたはこう考えます。

「なんでこれでも音楽っぽさを感じるのか?」

です。そこでジャズ理論では、これが成り立つ理由を理論の拡大解釈によって捉えてゆきます。これはもう法を曲げる為政者のように巧みに理論を展開して解釈します。

 

たとえばこれを

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(音源ではバスにe→aの流れを加えています。)

こう考えると平行短調のドミナントモーションが生まれていることがわかります。

先の進行は、この進行感を音が持っているから、音楽っぽさを感じるのだ、という解説ができてしまうわけです。半数以上の音が類似していれば、機能が似ている、という発想がジャズ理論にはあるからです。

 

ジャズ理論は拡大解釈を非常に自由に活用できました。

それをひっくり返したのが、オーネット・コールマンでした。

「フリー」すら理論の拡大解釈論理の中に入れ込んでしまうと、基本的なことが矛盾してくるからです。

美意識から全て開放される、のは究極なのか、ただの怠惰なのか、その音の配置が理論的に説明できたり、できなかったりしたので判断できなかったわけです。

そこで不定調性論的な価値観が必要になります。

つまり音現象の連鎖自体に人間が決めた理論は当てはまらない、ということです。400年かけて音楽理論を作って頂いておいてこう云うのはなんですが。

 

理論がある一方で、そのサウンドをただあなたが好きか、嫌いか、意味を感じるか、感じないか、という視点の引き出しを持っておきます。

もし好きで、意味を感じるなら、その文脈は、あなたにとって意義のあるものだ、となります(その理由などはよくわからないけれど)。

もし正しいことが一つなら、こんなに音楽のジャンルが生まれたりしません。

 

ぜひ理論でヴォイシングを覚えるのではなく、すきな作家がCM7でどんなヴォイシングをしているのか、から音楽を吸収していただきたいです。

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<参照>