音楽教室運営奮闘記

不定調性論からの展開紀行~音楽と教育と経営と健康と

いにしえのジャズヴォイシング5

www.terrax.site

f:id:terraxart:20211111083959p:plain

音はピアノですが、

(さいごはC6でした、訂正いたします。)

こう書けば良いでしょうか。ただのII-V-Iでも楽器4本で弾くとなれば、それぞれの動きを指定してあげなければ、吹けません。そしてそこにぶつかりやかぶりがなく、厚みを均等にして、流れも均等にしないと不自然になります。

楽器によっては、強弱、息継ぎ、手の動かし方、指の動かし方でタイミングが遅れることもあります。アレンジャーはそういうことを全て加味しないとアレンジできない時代がありました(今でもですが)。

またオーケストラの指揮者も同じように全ての楽器のことを把握しています。

だからマエストロなんですね。

彼らにはあまりに才能がありすぎて、全くそういうことを気が付きませんが、いっそ1年でも指揮やアレンジを学んでみるとゾッとするのではないでしょうか?

で、それで嫌になってしまうのもマイナスですから、簡単なアレンジ本を手元に置きながら、DTMで打ち込んで楽しむ、ということが現代ではできますので、アレンジャー気分でぜひ気軽にトライするところから始めてください。とりあえず、

「昭和のアレンジャー(過去のアナログな作曲家も含めて)はやばい」

と覚えておきましょう。あまりにすごすぎるから、仕事でなんかあったら殴られて当然、なぐらいだったんですね。他の人はほとんど誰もできないんですから。

 

また、先のヴォイシングを、

f:id:terraxart:20211111085053p:plain

テンションを用いて、半音で流れるように組んだら、同じコード進行なのにまるで違う響きがするでしょう。

テンションのマジックです。ジャズ理論はこれらを同じコード進行だ、として捉えましたが、これが解釈の拡大精神になってしまいフリーを生み出しました。

不定調性論では、古き良き時代の慣習を少し持ち込みます。

これらの二つの和音進行は音楽的に異なる、とするわけです。

言われるとはっと気がつくと思います。二つの音楽的進行が述べている"音楽的会話"はまるで違います。前者は、「今日はおだやかな天気ですね」といっていたら、後者は「全くこんなに晴れちゃってどうしよ(ワクワク)」と言っています。アレンジャーはこの違いを感じ取る必要があります。と言っても漠然としているので、不定調性論では「音楽的なクオリア」だと銘打っています。どういう心象を持つか、持てるか、で音楽的表現を積極的に構築できます。後者のアレンジのほうがきれいだからジャズではこれを使う、というだけではいざというとき、適材適所に応用できません。

前者はシンプルな感情を述べるとき、後者は少しうがった気持ちを表現するとき、というかんじで分けることができれば、今からあなたが作る曲はどっちなのか、はすぐわかると思います。

ではホーンサウンドにしてみましょう。

f:id:terraxart:20211111092305p:plain

これはときどき100円セールをやっている、X'pandの音です。DTMerはこれだけで楽しめます。

敷居は高いですし、沼が広がるだけのところに誰も飛び込んだりはしないでしょうが、お時間のある学生さんとかは早めに取り組んでおくと、理論拒否反応とかが後々おじさんになって出なくて済みます。

 

ヴォイシングは知識だけでは活きたものができません。

実際に期日に追われながら吟味してはじめて「ヴォイシングをする」という感覚が身につきます笑。"知ってる"と"やる"のとは大違いです。

 

とにかく何をどうしたらいいか正解はないし、最初はどうしたいかわかりません。

ハーモナイズしない方がいい場合もあるし、ユニゾンの方が良い場合もあります。

「音を厚く太くしたいな」

と思ったらユニゾンやオクターブで十分です。

 

あなたがハーモニーの専門家でなければ(私もハーモニーの専門家といえるかどうか)、ユニゾンでカッコよくなる音楽を中心に組み立ててやれることでカッコよく鳴る音楽を作る方が良いです。理論に寄せるのではなく、自分に寄せます。

 

その過程で

「君、曲がかっこいいんだから、ホーンやオケはアレンジャーさんにやってもらいなよ、絶対良くなるから」

と言われたらアレンジャーさんにやってもらい、その曲を聴きながら自分もハーモニーを勉強する、のが良いです。というか優れたアレンジャーは皆、そういう感じで仕事の中で勉強する機会を与えられます。

 

また誰かに師事した場合、その先生のやり方に従ってください。

「僕はこっちのほうがいいです」とかっていうのは卒業してからか、破門されてから言ってください笑。

伝統を引き継ぐ、のと不定調性論的思考は別次元です。

 

そうしたロジックを把握した上で、ジャズ理論は、まずは教科書の通りできるようになるのが最も"誰でもわかるようになる"秘訣です。

 

しかしながらここでは、もっとフランクにお付き合いください。私はすごい先生でも教科書でもなんでもありませんので。

 

f:id:terraxart:20211105115856p:plain

上記のようにc,d,eというメロディがあったとします。これをCM7に辻褄を合わせるように(なるべくクローズドで)ヴォイシングしてみます。

 

 

f:id:terraxart:20211105115436p:plain

こんな感じで全部上がっていくタイプにしてみました。

このときEm7はCM7(9)のcの省略ですね。

 

 

f:id:terraxart:20211105115810p:plain

こちらも上がっていくタイプ。でもここではCM7に不協和なBm7(b5)が使われています。この場合スピーディなメロディでむしろ尖ったイメージになり、アップテンポの曲などではしっくりきます。

 初歩では禁じ手だ、という先生もいるでしょう。

 

 

f:id:terraxart:20211105123001p:plain

こちらはもうクローズドでなくなってきています。外声(トップとボトム)が広がるタイプ。ここでも各和音の流れに機能性を持たせています。

G7系を挟むことでドミナントモーションを作っています。

 

ヴォイシングを広げると縦の響きはおおらかになりますが、横の音楽的な脈絡や印象が散漫になりやすいのでここでは内声のg,aを統一しています。このように「残す音」が横の連鎖に意味を当ててくれたりします。

もちろん機能的に成り立てば、半音ずつ移動させてもいいですね。

C  |CM7  |C7  |C6  |

といったクリシェもそうした半音移動のテクニックです。

 


また、最後のC6,9はcが鳴っていません。

これはアンサンブル全体ではcは誰かが弾いてる、という発想、または聴感上感じることができる、という性質を用いて省くことがあります。省いたほうがサウンドが洗練される時もあります。

C6(9)omit1とかomitRtとかですね。

これは音で聴いていただきましょう。

どうでしょう?人によっては「??」でしょうか?

cによる解決とは違う少し不定調性的な印象も感じるのではないでしょうか?

わざわざEm7(11)/Dとかって書く必要はありません。わかりきっているからです。わかってる人になってください笑。

 

クローズドヴォイシングは「厚みを持った単音」というイメージですので、あまり激しく動かすとどれがメロディだか分からなくなる場合もあります。DAWで打ち込む時はtopの音の強さ=ヴェロシティをあげたりして聴感上メロディがよく聞こえるようにしたりします。強調したいラインをどうプレイヤーに弾かせたいか、というのはオーケストラので音を全てコントロールする指揮者のように、「君この音強く」「君たちはこのライン優しく」と指示してあげる必要があります。

 

さきの音源のトランペットが頑張っちゃった例です。

誰かのバランスが崩れると、音楽的にもまるで表情が変わります。このトランペッターは実力あるソロイストかもしれません。

集まった人たちも「このトランペット生かさないと今回はあかんやろ」ぐらいに思っている時、こういうことが心理的作用で起きます。

昔、50年代の田舎の指揮者はこの"今回の演奏のために招聘した"トランペットの「すいません、音でかいです」とはなかなか言えなかったかもしれません。

そうするとアンサンブルが壊れたまま本番を迎えます。

また伝えたとしても、うまく説得できていないと本番結局音がデカくなってしまったりします。

結局音楽も人と人との関係性です。

DTMはこれら全てを乗り越えていきました。もちろん生演奏には勝てませんが、音楽への理解を新たに超越したと言っても良いと思います。

 

それはともかくヴォイシングを作る作業は、何よりジャズ理論の楽しさ=ヴォイシングに浸れます。

コード進行を極めて飽きてきた人は、一時期ヴォイシングに凝ってみてください。

www.terrax.site

私は凝りすぎて拗らせたタイプなので、1年ぐらいいろいろやったら、どんどん先にゆきましょう笑。

この先に非機能的アプローチがあり、さらに混沌とした後、不定調性の無重力バランスがありますので、それぞれ音楽の面白さを楽しんでいただきたいです。

www.terrax.site

<参照>