チャーリー・パットンのブルースもちょっと見ていきましょう。 http://ja.wikipedia.org/wiki/チャーリー・パットン
この人も古いです。
ヘンリー・スローンという人からギターを学んだらしいのですが、このスローンと言う人の録音はないそうです。
http://en.wikipedia.org/wiki/Henry_Sloan
当時の名人芸が聴けます。1929年の頃と考えておいてください。
先日のコールマンの音楽性(1927)からギタープレイはまさに日進月歩のようです。
よりブルース的で、カントリー的な独特な旋律が印象的です。ギターと言う楽器の伴奏とコードに沿っていて、実に聴きやすいです。 カントリーフォークソングを聴いているような感じもします。 これがデルタブルース、ということになるでのでしょうか。
下記 34 Blue を聴いてみてください。 旋律にブルーノートが絶妙に響きます。ボーカルの音程がカーブを描いていると思います。上の音程に当てに行くような独特なせり上がりがまさにブルーノートです。
下記「Poor Me 」は結構変わった和声的進行をしていると思います。
ちょっと聴き取ってみましょう。 (1934年作品)
D |D | D |D |D |D | D |D |
A7 |A7 | D |C |B A |D | D |D G |
D |D | D |C |B A |D | D |D |D |D |
D |C |B A |D | D |D G |D |D |
ブルースも絶対にスリーコードというわけではありません。
DとA7以外は三度の有無もあまり重要ではないように思います(四度領域音楽の特徴)。
それよりも手近のフォームに移動し、それに伴いメロディも変化し、音楽が出来上がったようにも思えます(床屋和声)。
またA7→Dというドミナントモーションが採用されていますが、こうした文化はキリスト教楽曲から引き継がれているようにも思えますが、W.サージェントの「Hot and hybrid」などでもこうした解決進行は自然と採用されているようなので、あまり黒人音楽だからと言って特異視する必要はないと思います。
また「ドミナントモーションは人種を問わず普遍的な和声進行なのだ」と言ってしまうのも危険です。
こうした変則的な和声の流れを持つ楽曲が初期のブルースには多くあったことでしょう。 当然クラシックのレコードがあったでしょうし、かのジョージ・ガーシュインは1919年には、人気ソングライターとなっていますし、ひと月ほどで書いた「ラプソディ・イン・ブルー」は1924年2月です。ブルースを取り混ぜた作品「アイガットリズム」がでたのは、1930年です。ラベルが「ボレロ」を録音した年です。
アメリカは確かに独自の商業文化を作り始めています。
ガーシュインがラベルに弟子入りしようとして"君に教えることはない"と言われた話は有名です。
ちなみに日本最初の商業レコードも1928年ということです。
アメリカの各地でもさまざまな音楽の融合がすでに起きていたことでしょう。
世界中で過去と未来が同時に存在しているような錯覚に陥りますね。
19世紀後半には、西洋音楽自体は精緻な和声理論が完成していましたから、こうした理論を理解できたアフリカンミュージシャンだって多数いたはずです。
名も知らない庶民の中にだって、きっとストラヴィンスキーに感動するアフリカ人だっていたでしょう。
では、次にまた時代をさかのぼって、"黒人作曲家"と言われたスコット・ジョプリンはどうでしょう。 彼を通して見えてくる黒人音楽の姿勢などを少し復習してみましょう。
(参考)アフリカの民族言語map
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/49/Africa_ethnic_groups_1996.jpg
アフリカ音楽本が少しずつ出ているのはうれしい!