自分なりに年代別のアレンジ感覚をまとめておきたいな、と思っていました。
クライアントが求める”あのサウンド"を理解し解釈できることがアレンジャー業としては重要です。それになるべく応えたいな、という想いからやってみます。
参考はBillboard
音源はyoutubeでご覧ください。
1970年
ピアノサウンド
Simon & Garfunkel - Bridge Over Troubled Water (Audio) - YouTube
低音をゴーンゴーンと打つタイプ。くっきりとダイナミック。
「サイモン&ガーファンクル」っぽくと言われるとき、まず歌がソフトで伸びやかでないとピアノは映えません(ピアノに負ける)。
「エコー深めで」というのはこの手の深めエコー。
歌が安定していないとカラオケエコーになってしまうので、歌の技量によって。
[They Long To Be] Close To You - YouTube
タンタッカ、タンタッカリズムの代表曲
アンニュイ、けだるい午後。
(バカラックの同じ系統で雨にぬれても)
ソロの管楽器のほんわかした雰囲気。
ライトなピアノ70年代初期四つ打ち。
カレンのようにどんな楽器の音も負けない太さを持つボーカリストは人類史になかなかいないので、大抵はピアノに負けてしまいます。
70年キラキラサウンドのポイント
ピアノ+鉄琴/木琴/ベル
そしてウインドチャイム、ハープです。
この曲0:55にハープの駆け上がりで次のセクションに入るのですが、これ打ち込むのが面倒です。バランスを取るのも大変。
ハープの駆け上がりがソフト音源化されたものもあります。
ただしハープは70−80年代サウンドを具現化しすぎてしまうので使いすぎに注意。
ハープは最初実際の音を聞いて打ち込みました。
弦の長さによってアクセントが変わり、指が弧を描くのでアクセントがつきます。使う音よりも「圧」が大事です。スクリーンに風景がブワッと広がるような感じにしたいですね。
IK Multimedia - Miroslav Philharmonik 2
ミロスラフでもそれなりにグリッサンドはあるのですがやっぱり自分で作ってしまいますね。
四つ打ちピアノ
Nilsson Without You Harry Nilsson
静かに入ってくるユニゾンストリングス、サビから盛り上がるボーカルとリズム。
エンディングまで刻まれていくリズム。9thをぶつけるヴォイシング。
木管楽器が思い出感、幼さとか清楚感を出します。
語り調ピアノ
Don McLean - American Pie (Good quality)
冒頭に語り調的なピアノのニュアンスが特徴です。
サロンピアノサウンド
Wayne Newton - Daddy Don't You Walk So Fast (1972)
少しコーラスが効いた(チューニングの悪さを再現したような)サロンや安酒場のピアノサウンドがアメリカ人のノスタルジーを誘うのでしょう。この曲は全編にストリングスとホーン、女性コーラスがかぶさっており、人生賛歌的雰囲気を作っています。
ブフォ!!っていうバリトン・サックス
冒頭の決めで裏で入るブフォ!!って入るバリトンサックスのスタイルを覚えておきましょう。いかにも泥臭くてファンクを感じます。
普通のホーンセクションを少し悪びれさせたい時はバリトンを目立たせるに限ります。
ファンクのリズムは日本の民謡に似ていますので、日本人なら、モロ民謡調の曲を作って、それをファンクアレンジしていくといい感じになります。無理にファンクを作ろうとしないほうがいいです(しょぼいR&Bになります)。
この曲もズンタッタ!ズンタッタ!ウンウンズンタッタ!という漁師の歌のようなリズムがどことなく笑ってしまいますが、魂をゆさぶられます。それはファンクがかっこいいのでなく、我々にも盆踊りや、お祭り、民謡のリズムやかけ声で一体感を重んじる感性があるからだと思います。邦楽ダセぇ、って言ってても最後はここに戻ってくるので一通り突っ張ったら故郷に帰ってきてください。
日本のFunkも悪くねーべ。
初代竹山の文章の引用