音楽教室運営奮闘記

不定調性論からの展開紀行~音楽と教育と経営と健康と

あなたは短三度移行に心象を感じますか?~ビートルズ楽曲topic

2017.12.27→2020.3.16

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オー!ダーリン - Oh! Darling
ポールによる"ハチロク"です。

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Bメロ
D |F |A |A |
B7 |B7 |E7 F7 |
E7 Eaug |

 

このアルバムはこのブルージー7thが連発して出てきますね。
この頃の作曲マイブームだったのでしょうか。

 

キーはAですが、コードが激しく動きます。

DのあとFを持ってくる、っていう思考はどこから来るのか

という話になると思います。

これは 

D→Fにいく心象的イメージが浮かぶ、からです。

つまり、この進行を普段から使っていて「この流れには何らかの音楽心象を刺激される」と本人が思っているかどうか、です。

 

もしあなたが「明日の朝、何食べたい?」と言われたら、あなたは何をイメージしますか?何か食べたいものがあるかどうかを考えますよね。そのとき、今場所の千秋楽の相撲を思い出したりしないはずです。

イメージと連想がリンクしていれば、Dまでたどり着いた流れの中で、次どうなりたいか、という音楽の訴えを聞いた時、この手の進行がふっとでてきて弾いてしまう、というのが作曲家です。音楽理論はそれらの習慣が蓄積され、音楽理論家によって分析され、箇条書きになったものです。

過去の作品が全て頭に入っているような作曲家に音楽理論は必要ないかもしれませんが、人類の叡智への一般教養として音楽を特定の方向から俯瞰しながら理解をするために音楽理論が役に立っていることは間違いありません。

 

作曲家が考えていることは理論的用語ではなく、もっと感情的な曖昧な言葉、、当ブログで言う「音楽的なクオリア」というようなニュアンスで感じとっているかもしれません。

---ここはダイナミックに変化したい、とか

---もっとぎゅっと詰め込んだ感じにしたい、とか

---ここでガーンと広がった感じにしたい、といった想いを瞬時に脳が判断して、そういう響きの流れを見つけていける、というのが作曲家のスキルです。これは脳のスキルであり、科学的に解明されていませんから、なぜそれが思いついたのかということについて、方程式のようなものは出せません。歴史的傾向が統計分析されるのみです。

 

こうした感情と方法論のリンクを鍛えるには、和音に対して、音楽に対して、そういう実践的な思いで接していないと自分に入ってきません。理屈だけを入れるのではなく「自分はどう感じているのか?」に正直になれれば、一般音楽理論と不定調性論で自在に個の価値観と社会のニーズを行き来できます。

こういう時、どうしたいんだということを音に置き換える作業を膨大に繰り返している作曲家は、そのための脳の回路ができています(脳内ネットワークの強化、よく使う情報は引き出しやすくなっている)ので、汎用化された音楽理論をいちいち必要とはしない訳です。概念で考える前に音でどうしたいか、が頭に浮かびます。

 

この曲のD→Fは展開部での盛り上がるところで出て来ます。

がつーーーんときたかったのでしょう。

これは私にはここでは「がつーんのコード」です。理論的な用語で言えば「短三度上げ」。。

短三度の連鎖は二音同音二音反行ですか自然とヴォイシングはダイナミックになります。ユーミン氏の「ひこうき雲」の"あの和音"です。

もちろん別にダイナミックだって感じなくてもよいです。あなたの感じかたを大切にして使ってみてください。あとは、あなたが既存の慣習をどのくらい応用できるかという才能にかかってきます。

知っていても使えないのはこの応用の才能がないからです。ヒット曲は真似してもヒット曲のようにならないのは模倣の才能がないからです。

音楽理論も分からなくても、それっぽいものができてしまうのはこれらの才能があるからです。

 

理屈を考える、というのはジェットコースターに乗っているとき、

「ああ、いま重力がかかっている、私にはこの程度の重力がこの角度から来ると気持ちいい」と感じるようなものです。これでは「キャーーーーーー!」と叫ぶ心情にはなりませんし、他のみんなと同じような楽しみ方で楽しめません。ジェットコースターでそういう人がいるとちょっと気に障ったりもします。スタートレックのデータやアベンジャーズのドクターストレンジが乗っているようなものかも。

ジェットコースターで心置きなく騒げる人、って私は人の気持ちに添える良い人間だと思います。 これもまた才能だと思います。人間性といってもいいでしょう。

音楽は過去に聞いてきた音楽を感じながら聴いていますが、作曲家の気持ちや周囲の人と同じような気持ちになれることも一つの才能です。逆に他の人と同じように感じないというのも、才能だと思います。

最初に自分がどういう才能を持っているかを知らないと、人に共感できないのにヒット曲を目指すような音楽活動をしてしまうかもしれません。音楽教育では、個人の特性をいかに把握できるかが鍵です。

 

それにしてもポールの声色って本当に千変万化しますね。

この人は、声も楽器的認識でエフェクターをかけて楽しめる天才、ですね。

 

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