日本人の心の情景を変えたシンガーソングライター(改訂版)―研究レポート;ユーミン楽曲の和声分析と音楽的クオリアが紡ぐ作曲の手法―
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9.参考文献抜粋資料8
文献(インターネット)7 松任谷由実 “ひこうき雲”から40年--NHK 特集まるごと(2013)
松任谷由実さん
「曲によって違うけれど、おおかたメロディを先に作る。アレンジが仕上がっていく時に、温度とか肌触りが見えてきて、そこから詞を紡ぎ出す。メロディが呼んでいる、言葉の響きを一生懸命探る感じ。通訳をするような作業で、どうしても訳せない、というような。日本語と格闘する。」
大越
「『情景をどうぞ見てください』と言われている気がする。そういったところは意識している?」
松任谷由実さん
「雨の様子、風の様子をその時にしか吹かない、その時にしか降らない、一度きりのにおいみたいなものを写し取れれば、感情は、あとからついてくる。そうすると、同じものを見たことのある方とか、全く同じではなくても、記憶が改ざんされて、体験したかのように聴く人が思って、体験や思い出と歌をリンクさせることができた。」
大越
「40年以上にわたって走り続けて、日本を代表するアーティストとして、自分の役割は?」
松任谷由実さん
「日常をきらきらさせてほしい。そういうことができたら、私の役目が果たせているかな。当たり前のいつもの出来事が特別に見える魔法を、私の歌でかけられたら。
文献(インターネット)8 ZIP 松任谷由実×鈴木杏樹 対談(2014.9.12)
松任谷由実;「死」というものがあるから、今を大切にしよう、出会った人と貴重な時間を過ごそう、過ごせたんだっていう、、、私の曲は必ずね、いつかは別れる、いつかは恋は終わるというのが根底に流れているから、切ないと思っていただけるんじゃないか、
鈴木杏樹;なぜ100%ハッピーよ、という曲にしないのか。
松任谷由実;私自身の好み、思考(嗜好?)がそうなのかもね。影があるからこそ輝くというか、、
松任谷由実;(作詞の参考で)人の失恋話とか聞く時も、気持ちがどうだったかはね、私にとってはどうでもよくて、その別れのときに、どこで、何飲んでたの?とか、電話だったの?とか、そういうディテールのほうが大事なんですよ。感情のほうは、できるだけ歌には出さないんですよ。「愛してる」もその言葉を使わずにそういう気持ちにたどり着くのが、日本人の良さなんじゃないかな。
文献(インターネット)9 NHK SONGS Yumi Matsutoya (2009.4.15)
(ナレーション;松任谷由実)
“私は別荘がある長野県のこのあたりを(長和町)20代の頃から曲作りのためによく訪れています。”
松任谷由実;海よりも、どちらかというと山派なんですよ。晩秋の高原とかね、山小屋の中で冬の訪れを感じているような歌は、初期の頃から結構あります。荒井由美時代の「旅立つ秋」っていう曲とか、「残されたもの」っていう曲なんかは…(後略)
松任谷由実;季節と季節の間が好きで、自分の気持ちだけが、先に行っちゃうとか、逆に自分の気持ちが、取り残されていて、まわりがどんどん移り変わっていくっていうギャップが悲しいなあ、実際自分でも思うしね、季節感に敏感なので。そういう移ろいを歌にするときには、季節の風景が欠かせませんね。
松任谷由実;まあ「春よ、来い」はねぇ、どこともない、でも日本ならどこにでも見られる春になった歌かな、結果。私なりの春よ来い、という、言葉に込める気持ちをさがしていたんですけれど、子供の頃に「春はどこからくるかしら」って言う歌がね、まるで春っていう擬人化された、妖精とか女神様みたいな存在が、山の向こうからやってくるような、そう、春はやってくるっていうイメージですね。で、くるまえに、いろいろ暖かい雨を降らせたり、あ、冬とは違うなっていうサインをね、ちょっとずつ送りながらほんとに春がやってくる。
ずーっと歌われる歌だったらいいな、っていうのは作ってるときから思いました。文語にしたところもあって、なんか忘れかけてるみんなの中の日本的なものがね、呼び覚まされるんじゃないかなってできたときには思いました。
“実はこの曲はフォルクローレやサンバなどいろいろな国のサウンドが混ざりあってできています。歌詞が変わればどんな国の曲にも聴こえる不思議な歌だと思っています。そんな曲に付けた日本独自の歌詞が上手く溶け合ってこれまでにない日本の春を感じさせる曲ができたのだと思っています。”
“私は宇宙にとても興味があります。”
松任谷由実;人類とかね、博愛とかすごいひろーい安心感、包まれている気持ちと真逆に孤独、それは孤独だから、求める気持ち、その求める気持ちがラブソングになる、と思う。
“広大な宇宙を感じると私は孤独な気持ちになります。人間はとても小さな存在、そんな深い孤独と向きあっったとき、私は誰かに何かを伝えたい想いがあふれてきます。その伝えたい、という気持ちが私に曲を書かせるのかもしれません。”
■ZIP 松任谷由実×鈴木杏樹 対談(2014.9.12)(動画サイト)
■NHK SONGS Yumi Matsutoya (2009.4.15)(動画サイト)
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