音楽教育活動奮闘記

不定調性論からの展開紀行~音楽と教育と経営と健康と...旧音楽教室運営奮闘記。

不定調性論的な音楽理解~ビートルズ楽曲topic『The Night Before』

2019.9.1→2020.2.24更新c

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26、ザ・ナイト・ビフォア - The Night Before

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イントロ
D7 |% |F7 |% |
G7 |% |A7 |% |
Aメロ
D |C |G |A7 |
D |C |G |A7 |
Bメロ
Bm |Gm |Bm |Gm |
D |G |D |F G |
(×2の最後はD |G |D |D |)
Cメロ
Am |D7 |G | % |
Bm |E7 |A7 |% |~Aメロへ


まずイントロ、弾いてみてください。どんな印象を感じますか?
どことなく腰が落ち着かなく、何か「前の印象をひきずるような(Help!から続いてる感じ...とか)」または「その前にあるストーリーがあったような」印象を持ちませんか?
D7→F7は、まさに私にとっては「疾走感」です(個人が好きに感じてもらって結構かと思います)。

いきなり目の前をスポーツカーが凄いスピードで横切っていった感じです。

 

こうした音楽への勝手な印象を「音楽的なクオリア」「不定調性論的な音楽理解」といいます。便利ですよ。

理論的学習、音楽の歴史の学習はきっちりやって頂き、今のあなたの思考感性フィルターが導き出す言葉や印象を「ちゃんと」感じて認めてあげれば、音楽はプライベートで本当に楽しめます。

 

そして音楽の価値など他者とは共有できないことを認める事も大事です。

価値の共有はエンターテインメントであって、それ以上のものではないと思います。

 

このコード進行を聴いて、なんらかの「印象」「感想」をあなたが持てた、としたら、その感覚を自分の曲で、音楽演奏で、そうした印象が欲しい時に用いれば良いわけです。

何も分からず、なんとなくコレ、カッコいいからオリジナルで使おう、とすると単純に「ビートルズっぽく」なるだけです。その先にある自分だけの表現や想いをとらえてください。


ビートルズっぽくなるのを避けようとしているユーミンや、ビートルズの自由を拡張したスティービーワンダーなどもご参考ください。特にVIIbはビートルズっぽさを出すので特に要注意です。

大抵はビートルズを越えられないので、変に逃げるか、戦うのをやめてしまうところです。でもそこで自分の道を見つけた人は、やっぱりそれが「それまでになかった音楽性」として確立されます。

 

 

 

これを、頭のD7がブルーストニックで、F7はDmの平行長調のブルース7thだ、なんて機能和声的に解説をしても、あなたの頭の中に浮かんだ「疾走感」についての説明にはならない、と思います。なぜでしょう。

機能和声はあくまで形態分析論のための道具だからです。

カレーの味の秘訣を知りたいのに200種類の原材料をリストにしたものをもらっても困ります。「あなたのカレーにちょっとバターを小さじ一杯入れてみて?」と言われた方がイメージが湧くし、やってみてあんまり変わらなかったら「なんかまろやかにならないのだけど」と再度質問する意欲が湧きますし、違う手を試してみよう、というイメージも湧きます。

 

大事なのは「あなたがやるべきこと/考える方向性のイメージが湧くこと」です。

「どうして君たちは質問しないのかね」という先生が問題あり、というのと同じです。

生徒は手を上げて問います。

「なんで先生の講義はこちらが質問したいと思えないのでしょう?」

あなたにインスピレーションを与えてくれるものと一緒にいてください。

 

この曲では7thコードですが、これをm7で全部連鎖したらどうでしょう。

例;
Dm7 |% |Fm7 |% |
Gm7 |% |Am7 |% |

 

ではmM7だったら?
DmM7 |% |FmM7 |% |
GmM7 |% |AmM7 |% |

二つの音源はこちらで聞けます。

ブログトピック参考コード進行1 | rechord - 演奏もできるコード進行共有サービス

 

いかがでしょう?
こんな曲は,今後未来永劫一切存在する可能性がない、とあなたは言い切れますか?

つまり存在可能なものは、意味を与えられ得る、と思うのです。

前例のないものは悪だ、と言い張る人生がいいか、否か。

 

この曲は、Aメロも
D |C |G |A7 |
で、
I |VIIb |IV |V7 |
です。VIIbを含むメジャーコード連鎖のビートルズらしい進行です。

Bメロでは今度はIVmが出てきます。
Bm |Gm |Bm |Gm |
D |G |D |F G |
これって、

Bm |G |Bm |G |
D |G |D |F G |
でも弾けます。これもBm-Gmのクオリアがまた最初の疾走感を受け取るように疾走しています。
これはこの曲でポールが抱いたコンセプトなんでしょうかね。

F-Gの流れも同じ印象を持ちます。

こうした進行の印象をポールは、声の出し方のイメージ、コーラスの色彩感で見事に「疾走感、またはその時彼らが感じた音楽的印象を」表現しています。

 

これだけ1曲1曲違う雰囲気を作ろうとするバンドも珍しいですよね。

ビリー・ジョエルなんてアーティストも似ています。全曲違う。

 

売れた曲のタイプだけ作っていればいいのに。こ

どこか純粋で、貪欲で、決して守りに入らない。

 

 

 

さらにおまけはCメロのAm。


Am |D7 |G | % |
Bm |E7 |A7 |% |~Aメロへ

 

これってVmです。Vmはやりすぎだろ!!!?
と感じるくらいスリリング。 

そしてBmでVImに行き、II7-V7と調のイメージをうまくとらえてきます。

 

これは理屈云々で考えるのではなく、つじつまを合わせていくだけです。

「いずれBmをつかうんだから、どっかで戻っとかんとな?」

と思って曲を作れるかどうかです。

 

で、そういうのを打ち破ってpivotを使わない「いきなり戻る」を自在にやってしまったアーティストとして自分が衝撃だったのが、小室哲哉氏だったとおもいます。

 

えーーーー???みたいな?戻れないじゃんを戻した―――!的な。

 

半分笑っっちゃったけど、やっぱり凄いなぁ天才だなぁって感じました。

常識を破るってこういうことなのだな、と。自分にはできません。

 

でもきっと「これでいい」って作者が思ったからそれが出来たのであって、やはりそこには、セオリーではなく作者の圧倒的感性の選択があったのではないかな、と感じます。

 

夕陽を見て「綺麗だなぁ」って思える日もあれば、落ち込む日もあります。

だから自分がどう感じたかを表現できるように、矛盾してもいいと思います。

周囲からはひどく叩かれますが、自分が今表現したいことを表現できなくなるのだったら音楽なんてやめて、社会の歯車にでもなって動かしてもらった方が楽でしょう。

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