音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

M-Bankスティービー・ワンダー楽曲(コード進行)研究レポート公開シリーズ(最終回)★★★

スティービー・ワンダーの和声構造

~非視覚的クオリアを活用した作曲技法~

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~おわりに~

 

“憲兵さま、おらは、いま、あなたさまがいうさかい目がわかりませぬ。世の中に、いったい、どげなさかい目があるのかわかりませぬ……”

『はなれ瞽女おりん』 水上勉

 

瞽女(ごぜ)とは、三味線を携え農村・山村を、門付け謡いをして巡ることを生業にして旅をした盲目の女性芸人のことです。文言集の最後にも紹介しました、小林ハルさんは105歳まで生きた、最後の瞽女と言われています。

 

夜と昼の区別、色の区別がない概念を通してみる世界が、彼女らにとっての世の中の真理であるならば、スティービー・ワンダーがいう、人間みな同じ、という概念も少し見えてきました。そのために人種にも、国にも、当然音楽の中にも“さかい目”を見出す必要がない、というわけです。そもそも自分の中にそうした概念が存在しないのですから。

 

スティービー・ワンダーの音楽というのは、天才であるがゆえに悟っているような崇高な音楽が作られていなければならない、とどこかで思っていたのですが、結構単純に“彼の中では当たり前”が飾らずに表現されているだけなのかもしれません。そしてそれゆえにこそ、わがままな子供の様な天衣無縫な音楽の展開、が時折存在する理由なのかもしれません。

 

ユーミン~スティービーとつたないレポートにお付き合い頂いた方の中で、これらの「音楽の自由」「自分であることをただひたすら表現することへの追及の面白さ」への言及が、なにか一つでも皆さんの創作のエネルギーになったとしたら大変嬉しいです。これは私自身の感性の成長の記録でもありました。

自分で読み返しながら、まだまだ音楽の最初の部分を勉強し始めたばかり、という印象を持ちました。果たしてこれだけの才人があふれる世界で、自分がやるべきことなどあるのだろうか、何か役立つことができるだろうか、と自問する日々です。

 

音楽を勉強し、様々な技巧を学び、実査に作曲や編曲をさせて頂きながら、「自分が何の役に立つのだろうか」と考えるのは愚問だと言います。とても悟りの境地など開けませんから、こうした程度の憂いは自分のような人間には避けられません。

それでも辞めたらそこでただ終わるだけ、なら、迷いながらいける先のその一歩先まで腕を伸ばし、指で探りながら何かを掴んでいくしかない、と感じます。

勉強が足らないのか、方法が誤っているのか、迷いも恐れもないですが、逆にそれらはある日急に襲ってきます。それに慣れるのがこの職業なんだな、と感じます。ぶつかってルートを変え、ぶつかって乗り越え、自分も盲目だな、と感じました。

  

最初の淡い疑問に戻るのですが、 

結局、彼に肩書きをつけるのは意味がないと思いました。

 

スティービー・ワンダーは、人間、スティービー・ワンダー。

 

それしか言いようがありません。

 

勉強は一生終わりそうにもありません。

「全て出来るようになってから書く」は拙論で大切な「矛盾と向き合うこと」から逃げています。やはり自分は、

出来ないけど作る、

無理だけどトライする、

しかできない人間であり、それが一番胸がスッとします。矛盾してるのに。

だから日々足らない自分に折り合いをつけて、堂々と進んでいくしかないようです。

それがきっと勇気を生む、と信じます。

お付き合いいただきありがとうございました。

これは結論ではなく、課程の記録です。

ここから私自身もさらに精進してまいります。

   

 

参考文献         

■UNIVERSAL MUSIC JAPAN公式バイオグラフィー 

http://www.universal-music.co.jp/stevie-wonder/biography

■スティーブ・ロッダー著 大田黒泰之訳 ブルースインターアクションズ『スティービー・ワンダー ある天才の伝説』(2006)

■三浦憲 著 立風書房『スティービー・ワンダー我が半生の記録―冷たい鏡の中に生きて』(1976)

■デニス・ラヴ&ステイシー・ブラウン著 丸山聡美訳 東京書籍 『盲目の信念』(2003)

■ウインスロップ・サージェント著 湯川新訳 りぶらりあ選書『ジャズ―熱い混血の音楽』(1990)

■穴澤雄介 著 株式会社KADOKAWA『見えなくなったら、希望が見えた-盲目の音楽家が教える!「逆転」のための授業28-』 (2014)

■和波その子 著 音楽之友社 母と子のシンフォニー-盲目のヴァイオリニスト和波孝禧を育てた母の手記-(1991第10版-1977-) 

■先天性全盲者の臨死体験、人間文化研究7、1998,123~147 斎藤忠資

http://home.hiroshima-u.ac.jp/tadasi/ronbun-10.pdf#search=%27%E7%9B%B2%E7%9B%AE+%E8%A6%96%E8%A6%9A%E7%9A%84%E3%82%A4%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%B8%27

■“いろ”を楽しむ視覚障害者|特集まるごと|NHKニュース おはよう日本

http://www.nhk.or.jp/ohayou/marugoto/2014/09/0904.html

■「色」はどうして分かるの? - 学びの場.com

http://www.manabinoba.com/index.cfm/8,18363,21,113,html

■下重 暁子 著 集英社文庫『鋼の女―最後の瞽女・小林ハル』(2003)

■梯剛之 著 株式会社角角川書店 いつも僕のなかは光(2005)

■川畠成道 著 株式会社集英社 耳を澄ませば世界は広がる(2011) 

■高橋竹山 著 株式会社 新書館『自伝津軽三味線ひとり旅』 (1997)

■桑田圭祐 著 新潮社『桑田佳祐言の葉大全集 やっぱり、ただの歌詩じゃねえか、こんなもん』(2012)

■株式会社リットーミュージック編 『最新音楽用語辞典』(2002)

■松平頼則 著 音楽之友社 『新訂 近代和声学』(1993-第11版-) 

■蔵本由紀 著 東京大学出版 『リズム現象の世界』(2005)

■2011年度 独立行政法人 理化学研究所 科学講演会 人類社会と科学~脳とこころ~(2011年11月26日開催)【演者】田中 啓治(理化学研究所 脳科学総合研究センター 副センター長 認知機能表現研究チーム チームリーダー)レポート

http://www.riken.jp/pr/press/2015/20150421_1/

■日本リズム協会第33回全国大会(2015年11月3日(火))

【研究発表】スティービー・ワンダーの楽曲~リフとハーモニックリズムが持つ音楽的クオリアによる作曲技法研究  寺内克久(M-Bank講師)

■寺内克久 編 music school M-Bank 『不定調性音楽論~和声の心象とその作曲体系~』 (2016年度版)

■寺内克久 編 日本人の心の情景を変えたシンガーソングライター(改訂版)

―研究レポート;ユーミン楽曲の和声分析事例集と音楽的クオリアが紡ぐ作曲の手法―

(2015版)

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