音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

不定調性論の方法論的展開 その1

2019.6.20⇨2020.1.26更新

<不定調性論を用いて作った楽曲事例集を下記にまとめました>

www.terrax.site

 

あなたに役立つところをご活用いただきたいです。

前提 

■最初は平均律12音を用います。

■既存理論が意識にもたらす思い込みを一度フラットにする作業をします。

■結果としてあなたの思い込みや嗜好は簡単に否定できないことに気がつきます。

■削ぎ落としても残るあなたの嗜好を、現状のあなた自身の感覚、とします。

(マナー教室に何年通っても、お酒を飲んで酔っ払うと田舎っぺがぬけない、みたいなことってありませんか?本当の素のあなたを主体にする、という考え方です。自然体。)

■V7→Iがあなたに解決感を自然に与えるなら、それを使います。テンションコードにオシャレさを感じるならそれを使います。不定調性論では、あなたが「こう思う」「これは美だ」「この感覚だけは消せない」という「自分の意思の衝動」に従うことがスタートラインです。

(結局機能和声音楽が好き!、となれば逆に最高の社会順応性だと思います。)

 

これで純度100%のあなたの音楽を提示する準備が出来ました。

また普段の仕事音楽には当然相手(依頼者)があり、「相手の意思の衝動」も認めねばなりません。あなたにとっての最高が必ずしも相手の最高ではありません。双方のクリエイティブな歩み寄りが必要です。

こうしたやりとりが一切存在しないのが、あなたにとっての芸術音楽と言えます。

12音が等価値であることを自分なりに理解する

最初に教材では12音が平等であり主音も属音も元々は存在しない、ということを確認します。

 

自分にとっての「音の許容範囲」を決める

オクターブレンジという考え方を使って一つの音がどこまで関係するか、を自分で定めます。

例えばcという音に対して、g音は完全五度だから響く、関係している、となんとなく学習成果から信じていると思います。

拙論的思考ではそこから疑います。

様々な尺度をみなさんに与えて「あなたはどの許容範囲までを許容しますか?」という問いを投げかける段階を設けたのです。これが決まると、現状での自分にとっての音の序列が見えてきます。

教科書が「この音とこの音は協和します」と決めてしまう前に自分で決めるんです。

またこの協和度は生涯自分の進化によって変わってきます。

自分の音の親和範囲を決めることを「反応領域を定める」といいます。

 

 

決められたモデルで音集合=和音を作る

上下の倍音列の8倍音までを組み合わせて、あらゆる和音を構築できます。

 

12音の関連性に序列がないことを知る

V→Iに解決感を感じるでしょう。それは教育の賜物です。

それを否定する事はありません。

大切なのは、それが宇宙の真理ではなく、自分の脳が判断していること、と理解してあげることです。その他の全ての音楽理論的法則の強制力も同様です。

それが理解できることで禁則を守ることが「ルールを守るスポーツマンシップ」であることだったのだと理解できます。ルールを守ることがあなたの意思になれば守れます。

 

段階的に自由に和音をつなげる

不定調性論の核心です。

最初のレッスンとして12個のメジャートライアドをビートルズのように自由につなぎ、音楽的風景を作ることに慣れます。このとき、あなたの意識が既存理論的進行を求めるなら自由に使用できます。

しかし「このコードはトニックに行かなければ」等と思う必要はありません。

全て自己責任で音を扱うことに慣れます。

原則として"和音を弾きながら、メロディをある程度創れる"といった初期能力が要求されますので、そこまでは先生方の力を借りて能力開発してみてください。

 

 

別の歩幅の音楽も同じフィールドに立たせよう

教材では第六章でブルースを扱っています。

不定調性論が上方と下方の倍音列の8倍音までを扱うことで、伝統な七音音楽と、各種民族音楽的な七音以下の音楽を同じ土俵で扱うことができます。

 

その後は、あなたの体系に委ねる

○○○○理論を勉強していて、それを活用したいと強く願っているなら、それに基づいて自分の音楽を作ってみてください。 

○○○○というアーティストに心酔していて、その人のようになりたい、と思ったら、必死にカバーして、研究して真似してみるところから入ってください。

凄く尊敬してる先生、本、教材から新しいコンセプトを学んだからそれを信じる、なら、その体系に従って音楽を作ってみてください。

その代り、その途中で、それらの教義に反するけど自分はぜひこうやりたい、という渇望のようなインスピレーションが生まれたら、教義に反しても迷わずやってみる、というのが不定調性論的思考です。

インスピレーションは脳の信号です。

なんらかの情動と欲求と"そうすべきだ"という潜在的欲求があなたを突き動かします。そうなった時の思考状態こそが「不定調性論的思考」になった状態です。

そうやって、あなた自身のやり方が完成すれば、やがてそれを教えて欲しい、という人が現れ、伝統になり、後継者に受け継がれていきます。

 

不定調性的和音進行の方法論例

下記にいくつかの和音連鎖法を列挙します。

簡単な練習曲を作りながら、常識、伝統、自己の欲求と向き合い、自分なりのTPOをコントロールしてください。

最初から音楽制作は全て自己責任です。

 

①オクターブレンジ内から~同音程連鎖

ex1.短二度同一音程連鎖

C C# | D  D# |Em Fm |F#m  F7  |E7 D#7 |D7 Db7 |C7 | 

Cm   |Dbm   |C     |Bm7    |Bb7    |AM7    |

これは、主音が短二度で連鎖されています。そういうコンセプトで曲を作ってみるんです。同様に、様々な連鎖が可能です。

C  D E  F#(全音での連鎖)

Cm  Ebm  F#m  Am(短三度の連鎖)

C7  E7  G#7 C7(長三度の連鎖)

CM7  FM7  BbM7  EbM7  (完全四度での連鎖)

...etc

 

イメージができるなら組み合わせてもいいです。

C  DM7  Fm  AbM7  C7  E7 Am7  DM7 

この進行のサウンドはこちらで聞けます。

rechord.cc

機能和声論やジャズ理論に慣れている人は、「進行感」を感じてしまうはずです。調性進行感覚の名残ですね。

不定調性論では、その「進行感」を感じた時の感覚こそが音楽を作る動機になるので、どんどん自分が感じる情動のままに非機能進行に意味を与えていく習慣を拡大してみてください。あらゆる音の連鎖が音楽表現になることが分かる、と同時に、自分が何をしたいか、も感じるようになります。音楽スクールで最も先生から教わりたいのはこの「自分は何をすれば良いのか」だと思います。

 

②モーダルハーモニー

これはコンポジットモード(独自に作った音階)の構成音からダイアトニックコード的を作って和音連鎖を作る方法です。

f:id:terraxart:20190620115811p:plain

この音階は、上方倍音をあえて16倍音まで用いたものです。

ここからは下記のような和音が作れます。

これを作ってコード進行を作るわけです。

C△ Caug Em E△ Edim Eaug G△ Gm Gsus4 A♭aug B♭aug Bm 

 C   |Em   |Gm   |Abaug  |

この場合、元の音階を使ってすべて弾きとおせるので便利ですが、モードにこだわらず使用して構いません(不定調性論にはモードはありません)。

   

③ペダルポイント

c音を持つ和音には以下のような和音があります。

C|Cm|Csus4|Caug|Cdim|CM7|Cm7|CmM7|C7|Cm7(b5)|B7(b9)|BbM7(9)|Bbm7(9)|A7(#9)

|Am7|AbM7|Ab7|G7sus4|F#M7(#11)|FM7|Fm7|E7(b13)|EbM7(13)|Ebm6|D7|Dm7|C#M7|

 

上記はc音を共通音としてクリシェやペダルポイントのように連鎖させています。

:C  |G7sus4 |F#M7(#11)  |Ab7  :|

最もポピュラーな不定調性的進行の作り方です。当ブログで扱っているアーティストも得意な和音連鎖方法です。

 

④マテリアルモーション

<不定調性論用語/概念紹介19>上方と下方のマテリアルモーション1

これは機能和声におけるサブドミナントマイナー終止のことです。

論拠はリンクを参考頂き、基音cでいうと、

C⇔Fm、C7⇔Fm、C⇔Dm7(b5)、C7⇔Dm7(b5)

またはDm7(b5)ではなくFm6など、解釈自由。

などです。これはどちらにも進行出来ます。

機能和声はFm→C7では解決とは考えないでしょうが、それも刷り込みです。

基音は等しいが集合の数理が異なる集合です。

C   |G   |C   |G    |....

というとき、

:C   Dm7(b5) |G   Am7(b5) |C  Fm |G   Cm :|

などと挟むことで「基音に基づいた領域をぐるぐる回転させる進行」と拙論では解釈できるようになっています。

 

応用として「負の和音」という考え方も導入すると見栄えもしっくりきます。

基音cの上方領域和音C△に対して、下方領域和音Fm/Cを「-C△」と表記するというアイディアです。これは表記感覚状のアイディアですのでこのような考え方にピントきた人は研究してみてください。教材でも詳しく掲載しました。

 

⑤単音概念的アプローチ

和音のトップノートをメロディにして、全体の流れをシンプルな和音で組み立てるやり方です。

ドレミファソラシドにコードを付ける~機能和声から不定調性へ

次の例は、ドレミドレミドレミとメロディが進んでいく時、メロディオンを持つ和音を自在に連鎖させたものです。

C  Cadd9  Dadd9     |D7  C7(9)  Bb7(b5)  |Am7  Abm7(b5) G7(13)  |...

これは和音の塊の響きを単音(音色)、と捉えて作曲していく方法です。

 

 

⑥調向階段モデル内アプローチ

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これは「調性システム」が含んでしまう音を拡大解釈して和音連鎖に活用する、という発想です。

不定調性論では長調的な流れ、短調的な流れの二つを「反対方向への流れ」として視覚的に理解できる「調向階段モデル」の図を作りました。

 

例えば、拡大した長調的進行としては、

C  |Bbm    |Am7(b5)  |C  |

などが創れてしまいます。

短調的進行には、

C  G7  F7  |C  |

というブルース的進行もみられます。

機能和声でもG-Fの流れは抵抗なくなってきたようですが、これを「向きの違い」と理解するわけです。

 

下記は応用編です。なんとなく読んでください。

f:id:terraxart:20190620130046p:plain

これらの領域を交差させながら、トニックに向かう、という進行感を作ってみます。

A♭augM7(13) ⇒ C△

こういた進行は逆に直感で作りづらい時があります。

 

その2に続くよ!

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当ブログの一般楽理関連記事目次はこちら

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==コーヒーブレイク〜M-Bankのロビーの話題から==

これとこれは内容をなるべく理解した上で進んで頂きたいです!似たような本でも良いです!ご自分が読みやすそうな本を選んでください!!この二冊は内容が完璧で退屈です(褒めてます)。

楽典―理論と実習

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