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M-Bankユーミン楽曲(コード進行・歌詞)研究レポート公開シリーズ16~ユーミンの名作詞

日本人の心の情景を変えたシンガーソングライター(改訂版)

―研究レポート;ユーミン楽曲の和声分析と音楽的クオリアが紡ぐ作曲の手法―

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7歌詞の音楽的風景 その6

ユーミン楽曲はこちらから

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アルバム『acacia』より 

<Age of our innocence>

「横に きみがいてくれる限り 決して よごれはしないと

動物のようなおびえた目をした きのうの自分を許せる気がする」

 

<哀しみを下さい>

「さみだれの空を 便箋にして 故なき哀しみ つらつら綴る」

「さみだれの雲は 墨色流し うち消す想いに 沈んでゆくの」

「あきらめたあのひとよ いちばん好きだった頃が 今もまだ 今もまだ 心しめつけるの」

「あきらめたあのひとよ どこかで変わらずいて いつまでも いつまでも 哀しみを下さい」

※「あきらめたあのひとよ どこかで変わらずいて いつまでも いつまでも 哀しみを下さい」こうした歌詞はユーミンの面目躍如であると思う。悲しみを持ちながらこれだけポジティブな歌詞というのはとても不思議である。"哀しみに溢れた喜び"を得ることが人の強さと優しさになることを知った人が求める、得られなき愛を求める姿、とでもいおうか。世上の争いは、悲しみを無くすために行われているのかもしれないが、こうした「悲しみ」の先の「哀しみ」という美学がある。争っても争わなくても得られるものが同じなのだ。

それが言いたかったのかもしれないし、別にそれは付属のメッセージだったかもしれない。それが大切ではない。

メロディに対して感情のリンクを貼るように綴られた歌詞の向こうにある、言語にならないメッセージの重要性を感じる。これにより抽象性が際立ってしまったジャズ的鑑賞感覚の先にある、より具体的で色彩感豊かな物語を得ることのできる先端の和声の世界がここにあり、それがポップ化されたミュージックエッセイとなり得ているのではないだろうか。

Aメロのメロディの乱高下がなんとも呪術的で、まじないのように響く。このメロディの入りに「さみだれ」という響きを聴いた瞬間にユーミンはそのあとのストーリが浮かぶタイプなのではないか。

さみだれの空に綴られる哀しみの言葉が、とても人の意識で読めるようなものではなく、それは音楽を聴いて感じる無意識しかその言葉の真意を汲み取れないから、この歌詞をヒントにメロディを各位読み解いてみて、と言われているようである。

 

<110°F>

「探さないでよ 私のゆくえを 見つけないでよ そのわけを わからないでよ 何もかも 深い深い海に消えるまで」

「いつか二人で見てた 燃え尽きてゆく夕陽 あれから私のドアは 固く閉ざされた」

 

<acacia (アカシア) >

「銀の花が散ってる 風と陽ざしの中で 知らない町に来てる 目を閉じてかすかに響く列車の音に 心はゆられているの」

「やっと出逢えたときは きっと Do you love me? なつかしすぎる未来が たったひとつの探しもの」

 

<Summer Junction> 

「明日は人ごみに戻って 読みかえす余裕もない1ページにいるのね」

「今のあなたと 今の私と 今のふたりが 消えてゆくの気づかないまま」

「家までの信号機 どこかで寄り道したいね なんてことない場所でいいから あと少し」

「今のあなたと 今の私と 今のふたりが 消えてゆくの気づかないで見送っていた」

 

<TWINS> 

「こんなに広い地球上の中から どうしてふたりが出会ったんだろう

気づいてみれば あなたはとなりにいて 私はなんにも見えなくなった」

「幸せすぎるとなんで涙が出るの 幸せの次に何が見えるの

いつか伝えたかったわけもない哀しさ 胸の奥にしまったまま言葉にできず」

「出会いと別れは TWINになった運命(さだめ) わかったときから 心をきめた」

 

<Lundi>

「窓たたく雨の音 突然のモーニングコール それ以外 何もかも同じ 月曜の朝

いつもより目がはれて 疲れているわけは きのう二人が別れたせい」

「読みかけの小説を少しだけ読みましょ コーヒーが入るまで 何も思わぬように

テーブルのあちこちに 散らかった残骸が 今度こそ終わりと言っている」

「止まる時間と流れる時間が まるであやとりしているみたいね」

「いかなくちゃ いかなくちゃ そろそろいかなくちゃ 私を待ってる私がいる」

「恋は去り雨は止み 後に残ったのは 意外にも平気な私と 変わらぬくらし

あなただけあなただけ そう思った頃が なんだか自分じゃないみたい」

「思い出さなきゃ苦しくはないなんて 誰も教えてくれはしなかった」

 

<7TRUTHS 7LIES~ヴァージンロードの彼方で>

「天使のようにやさしく近づき 悪魔のように ハートを盗んだ」

「だって私はあなたに会って 運命を感じてしまったから

どんな卑劣な手を使ってでも 手に入れなきゃいけないと思った」

「天使がよそ見しているあいだに 悪魔がそっと 耳打ちしてった」

 

PARTNERSHIP

「あなたの目に 明日の空が映るなら 私はきっと どしゃ降りの中ついてゆこう ふりかえらず」

「気づいたとき もしもひとりになってたら 約束して 私の分も幸せに 生きてゆくと だから今」

「あなたと手をとり合い 時の川を越えてゆこう 誰も知らない虹を渡り」

 

アルバム『Wings of Winter, Shades of Summer』より

<Bonne annee>

「恋は突然 終演のアナウンスで 電波の届かない エリアにいるというの

もしかして フラレたの それなのに 2幕目の開演のベル待ちつづけている」

「気の抜けたジェラシーを 飲み干せば ほろ苦く 思い出すのは楽しかったこと」

 

<Wings of Winter>

「会えなくなって気づいた愛もあることを 私はひとりの部屋で迎えるはずのクリスマス」

「窓には冬の翼が白いダウン降らせている」

「oh,Wings of winter 包んで oh,Ring on,ring bells うたって 無口なまま別れた天使たちのため」

「忘れかけてく素直な気持を 指先だけが勝手につづるの 窓には冬のメールが白い文字積もらせてく」

 

<雪月花>

「昔会った頃とは もうちがってる 私達」

「口に出して 言わなくても 微笑み合えたなら いいの」

「満ち欠ける 月のように 日々に姿が変わっても いつも あなただけは 私のことわかると信じていた

吹きすさぶ粉雪に ひとり閉ざされていても きっと 私だけは あなたのことわかると思った」

 

<Painting the sea> 

「おろしたての絵の具 深いブルー 筆に含ませ ただ 海に向った

小さな岬から もう誰もいない砂浜を ひとりで抱きしめてる」

「澄んだ光を 追いかけて キャンバスに集めてゆくの 済んだ哀しみ見送って あなたのいない景色を描くの」

「無限のたてがみが あらわれては砕けてゆく まだ 台風を残し 今まででいちばん 晴れわたった水平線 あなたに見せたかった」

「ほんのわずかなまばたきで 風は色彩を変えるの こんな痛みが気づかせる あなたがくれた世界を描くの」

 

 

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