音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

M-Bankスティービー・ワンダー楽曲(コード進行)研究レポート公開シリーズ11★★★

スティービー・ワンダーの和声構造

~非視覚的クオリアを活用した作曲技法~

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アルバム13;「Sighed,Sealed & Delivered(1970) 

 

事例45Never Had a Dream Come True (CDタイム0:00-)

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イントロ

B♭ |Dm |Cm  F  |B♭ |

B♭ |Dm |Cm  F  |B♭ Cm Dm |

Aメロ

E♭ |B♭/D |D  |Gm  B♭7 |

E♭ |B♭/D |D  |Gm  B♭7 |

Bメロ

A♭ |E♭ |A♭ |E♭ |

A♭ |E♭ |F  |F  B♭7 |

Aメロ

E♭ |B♭/D |D  |Gm  B♭7 |

E♭ |B♭/D |D  |Gm  B♭7 |

Bメロ

A♭ |E♭ |A♭ |E♭ |

A♭ |E♭ |F  |F  G5 A5 |〜イントロへ

=degree=

イントロ Key=B♭

I |IIIm |IIm  V  |I |

I |IIIm |IIm  V  |I  IIm IIIm |

Aメロ  

IV |I/III |III  |VIm  I7 |

IV |I/III |III  |VIm  I7 |

Bメロ Key=E♭

IV  |I |IV |I |

IV |I |II  |II  V |

Aメロ  key=B♭

IV |I/III |III  |VIm  I7 |

IV |I/III |III  |VIm  I7 |

Bメロ Key=E♭

IV  |I |IV |I |

IV |I |II  |II  III5 IV5 |〜イントロへ

この曲は、ユーミンもよく使う、近親調への転調感が用いられた楽曲である。スティービーがメインでクレジットされている。

BメロのA♭はB♭キーではVII♭に相当する。VIIbへの進行感を知っていれば使えるだろう。そしてA♭-E♭を繰り返すことでシークエンスを作り新たにできた音楽的脈絡を印象づけ、転調を意味あるものにしている。

またそのあとのFはE♭キーでのIIであり、戻るべきB♭キーのVであるから、少し間を持たせてニュアンスを作っている。これもIIへの進行感となっていて自然である。

 

Bメロの最後の小節は仕掛けになっていて、転調感が無理なく移行できるようブレイクなども印象感のスムーズな移行に活用されている。

またイントロに戻る際の5をつけたコードは不定調性音楽論における不完全和声単位であり、三度のない五度のコードである。これにより、B♭への呼び水としてイントロのラインに戻る。この時に不思議な感じがするのは、E♭からB♭に転調している移行感ではないだろうか。こうした「違和感」も作者本人が活用できるようになってしまえば、進行感になるので、「違和感」ではなく「個人にとっての音楽的脈絡」になっていく。

音楽的背景の有る無しに関わらず、必ず何らかの進行感は生まれてしまうので、それを「違和感」に放置せず、自分の理解そのものを曲に寄せて作成してみていただきたい。

また各位で制作途中に現われた違和感も、じっくりそれと向き合うことで、意外と自分の創造している範囲を超えて使用可能な進行感に変化してくれるかもしれないので、自分が持っている価値観だけを過信せずに可能性を広げると思って、今発している音に向き合って頂きたい。これについては私自身への諫言としても適切である。

   

同アルバムの「Heaven Help Us All」における、CDタイム1:19-からブレイクで、ボーカル先行で半音上げて転調するテクニックが用いられている。

スティービーの歌唱面での音楽的なクオリアによる旋律的指向性が垣間見える。旋律そのものも調の中で動くのではなく、自在に動けるからこそ、こうした和声面での変化が音楽制作の上でも自在に可能になっているのではないだろうか。

 

事例46Joy(Takes Over Me) (CDタイム 0: 06-) 

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Aメロ

Bm  (BmM7) |Em7 |Bm  |Em7 |

G  |A  |B   |B   |×2

Bm7 |Bm7 |

Bメロ

E7  |E7 |B7  |B7 |

E7  |E7 |B7  |B7 |

D  |E  |F#  |

=degree=

Aメロ  Key=Bm

Im  (ImM7) |IVm7 |Im  |IVm7 |

VI♭  |VII♭  |I   |I   |×2

Im7 |Im7 |

Bメロ  key=B blues〜Bm

IV7  |IV7 |I7  |I7 |

IV7  |IV7 |I7  |I7 |

III♭  | IV |V  |

ブルースとロックのハーモニーが活用されている。こうした7thコードの変幻自在な利用については、ビートルズ研究の際に分類し言及をしてきたので、ここでは割愛するが、ブルース和音は、ブルージーな印象をオートマチックに取りこんでくれる。またI,Im,VII♭,VI♭,III♭という和音もロックミュージックでは表現しやすいエモーショナルな和音である。IとImの使い分けによるいわばピカルディの三度も伝統音楽や教会音楽からの引用もあろうが、ロックミュージックの伝統でもあるので、これも何かからの引用というよりも、作曲者の感覚が「これを良し」としたのではないかという理解で良いだろう。

何となく並んでいるように思えるが、AメロでGからF#、すなわちV7には向かわず、VII♭に流れ、Iに帰着している。これは理論ではなく選択とする、ことで思考はスピーディになる。

これは伝統楽理を否定するのではなく、その方法論がいずれかの方法論に落とし込まれるかを考慮しない、という考え方である。

歩き方は歩きながら学べばよいと思う。先端の商業音楽の世界はまさに盲目のまま歩かねばならないぐらい難しい世界だと思うのだが。

 

事例47I Gotta Have a Song (CDタイム 0:11-)

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Aメロ

F# B  |G#m C#7 |F#m F#m/B  |E  |

F# B  |G#m C#7 |F#m F#m/B  |F#m7/B  G#/A# |

Bメロ

D#  D#/C# |B   |F#  F#/E |D  |

Cメロ

D  DM7 |Bm7 Bm7/A |G#m7(♭5) |F# |

G#m7(♭5) |F# |G#m7(♭5) |F# |G#m7(♭5) |〜A メロ

=degree=

Aメロ  Key=F#

I IV  |IIm V7 |Im Im/IV  |VII♭  |

I IV  |IIm V7 |Im Im/IV  |Im7/IV  II/III ||

Bメロ センターコードD→F#のシークエンス

I  I/VII♭ |VI ♭  |I  I/VII♭ |VI ♭  |

Cメロ Key=D〜F#

I  IM7 |VIm7 VIm7/V |(key=F#)II#m7(♭5) |I |

II#m7(♭5) |I |II#m7(♭5) |I |II#m7(♭5) |〜A メロ

巧みな転調が多少乱雑に配置されている感もあるが、こうした楽曲作りが次の傑作を作る余熱になるのは間違いがないだろう。スティービーもクレジットされている。

Bメロのシークエンスのシークエンスなどは、ビートルズなどが作ったメジャーコードの連鎖の発展、応用形といってよいだろう。

Aメロは、F#がセンターコードであるがC#7からF#mへの進行感を用いて、Eへの流れが出来たことで、E→F#がまた新たな進行感になるため、これを良しとしたようなイメージを私は持つ。奇妙ではあるが、大変面白いアイデアあると感じた。

   

事例48Something to Say (CDタイム 0:04-)

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1コーラス

B♭ B♭/A |Gm7  Gm7/F |Em7(♭5)  |A7 |

B♭ |Dm7  |E♭M7 |E♭M7 |

C7 |C7  |F7sus4  |F7  E |

E♭M7 |C7sus4 C7  |F7sus4 |F7  |

=degree=  key=B♭

I I/VII |VIm7  VIm7/V |IV#m7(♭5)  |VII7 |

I  |IIIm7  |IV♭M7 |IV♭M7 |

II7 |II7  |V7sus4  |V7  V♭(経過和音) |

IVM7 |II7sus4 II7  |V7sus4 |V7  |

 

展開部1 (CDタイム 1:18-)

B♭ B♭/A |Gm7 Gm7/F |Edim7  |Edim7 |

Fm7  |B♭7 |E♭M7  |E♭m7 A♭7 |

展開部2(CDタイム 1:36-)

D♭ D♭/C |B♭m7 B♭m7/A♭ |Gdim7 |Gdim7 |

F#m7 |Cm7(♭5) F7 |B♭M7  |B♭M7 |

〜1 コーラスへ、その後展開部1がkey=B、展開部2;Key=Dで展開。

=degree=

展開部1 (CDタイム 1:18-) key=B♭

I I/VII |VIm7 VIm7/V |IV#dim7  |IV#dim7 |

Vm7  |I7 |IVM7  |IVm7 VII♭7 |

展開部2(CDタイム 1:36-) Key=D♭

I  I/VII |VIm7 VIm7/V |IV#dim7 |IV#dim7 |

IVm7 |VIIm7(♭5) (key=B♭)V7 |IM7  |IM7 |

1コーラスにおいてIV#m7(♭5)-VII7を持ってくることで、続くB♭M7がIVM7的に、またはII♭M7的に響く。ここに穏やかな転調感がある。前曲で見せた転調感を進化させたような楽曲に思えてくる(どちらが先に作られたかは定かではない)。スティービーもクレジットされている。I Gotta Have a Songよりも明確な音楽的脈絡を私は感じた。

同曲ではユーミンレポートの際に紹介した、同様のメロディでコード展開を変えるというコンセプトに近い方法論が採られている。展開部のほうではdim7が用いられているのだ。

この場合はどちらかというと、dim7が用いられた状態に順じてメロディが変化させられているので、全く同じ、というわけではない。

さらに曲の後半では、展開部2がDに半音上がった状態で、その最後の二小節をBM7 |CM7 ||として、さらに転調すると(半音上がると)みせかけて、そのままDのキーで転調せずにエンディングへと進んでいる。

このCM7はVI♭M7のように響かせ、またDに戻るわけだが、これもなかなか精密な調性感がないと表現できないのではないろうか。たしかに「転調しないこと」で、できる“転調未実施進行感”という印象がある。不思議なミスディレクションを感じ斬新である。

例)

CM7   |Dm7  G7  |A♭7sus4 |A♭7 |

CM7   |Dm7  G7  |A♭7sus4 |A♭7 |

 

というような流れを作っているようなもので、これはどうなんだろう、という気もするが、使えない、と思ってるのはこちらの勝手な先入観であるから、こういう手法によって何かが生み出せる可能性もあると信じここに事例として記載した。

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==コーヒーブレイク〜M-Bankロビーの話題== 

ちょっと!これこれからめっちゃいるやつじゃん!!

 

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