2018-11-22 和音の機能変調利用について 音楽コード考 楽理関連記事目次はこちら www.terrax.site 不定調性論の応用でもあります。 ああそれ知ってる!っていう感覚はあるかと思います。 そもそも機能和声論の概念そのもの(マルティン・ルターが作ったディフォルトの機能和声論)はハリボテに過ぎないものである、と誰もが知っているけど、初学者はそれによって逃れらない和声の学習や、常識的進行の習得に長い年月をかけさせられている、という事実もあります。 現代の講師は「概念」をどうやってきれいに無視させるか、を工夫して教えなければなりません。 ===== まず次の流れを聴いてみてください。 ex.1 Bメロ Dm7 |G7 |Dm7 |G7sus4 G7 | サビ FM7 |G/F |Em7 |FM7| 音源はこちら rechord.cc 聴いたことある感じと思います。 この進行ではキーがCであることがなんとなくわかります。 でサビ前にG7sus4 G7と流れてきています。通例ならサビ頭でCM7でパーっと広がるようなサビになると予測されます。それを裏切って、IVM7であるFに行って、少し涼しげでクールなサビとなります。G7がトニックに解決しないで次のセクションに向かうパターンです。 ex.2 次です。 Bメロ Dm7 |G7 |Dm7 |Dm7(b5) | サビ G7 |Am7/G |Em7/G |Am7 |Bm7 |C#m7/B |C#m7(b5) |F#7 |Bm7 〜|| Bメロでサブドミナントを引っ張ります。音はこちら。 rechord.cc そうなるとサビ頭でCM7を置くことで「サブドミナントマイナー終止」になるわけですが、それだと普通なので、こう考えるわけです。 「Dm7(b5)から進めるコードなら進んで良い」 としてサビ頭にドミナントが来ています。 最近はこういうのがナウいんです。V7から始まることで、V7はドミナントの名残を持ちながらも独自の「バーチャルトニック」として"機能"するため、変幻自在なことができて、いろんな調に行けます。サビですから、華やかに変化することは好まれますし、単純に「今っぽい」としてOKになります。 少しでもその二つの連鎖に関連性があれば、それはなんらかのテクニック的にそうしたんだろう、と不定調性論的にいう"脈絡"を聴き手に与えるんです。 それゆえに、 ex.3 次です。 Bメロ Dm7 |G7 |Dm7 |Dm7(b5) | サビ G7sus4(b9) | |FM7 | | Fm7 |Bb |Em7(b5) |A7 | G7sus4(b9) | |FM7 | | Em7(b5) |EbM7 |Dm7(b5) |Am6(11) |CM7 || 音源はこちら rechord.cc というような感じにしても、なんか意味ありげなサビになってしまうわけです。 これをさらに発展させると、 ex.4 次です。 BメロDm7 |G7 |Dm7 |G7 | サビC#7 |C#7(b5) |CM7 |C7 | FM7 |% |AbM7 |Ab7 | C#7 |C#7(b5) |FM7 |Fm7(b5) | Em7 |% |A7 |% | みたいになっていきます。 音はこちら rechord.cc サビの頭がC#7になっています。これはその後五度が変化し、CM7への裏コードになっていきます。 つまり伝統的な「解決遅延」を起こしているわけです。サビ頭から。 しかも2回目のC#7(b5)は解決遅延コードからさらに解決遅延を起こしてIVに行ってしまいます。 そうです、そもそも「解決遅延」というのは結果論です。 和音は 「そうつながれば、それに呼応した印象を聞き手に与える」 というわけです。 いわゆる「小室転調」と言われた、サビでいきなり半音上がるような、つまり。。 Bメロ Dm7 |G7 |Dm7 |G7 | サビ C#M7 |D#m7〜 というようなものをより緻密につなげたのがこれらの機能変調の用い方です。 そこからさらに、概念が拡張されれば、 Bメロ Dm7 |G7 |Dm7 |G7 | サビ トニックコードに結びつくコード |CM7〜 という形で良いので、USTコードを使ったり、 www.terrax.site GiantStepsのようにUSTを独立させても良いでしょう。 www.terrax.site また、先日も提示しました、 www.terrax.site に現れるようなコードを置いてもいいでしょう。 Dm7 |G7 |CM7 におけるドミナントG7は Dm7 |F#6 |CM7 とできるかどうか、それはあなたの思考次第、というわけです。 F#6の構成音は、f#,a#,c#,d#です。これらは、 f#→半音上がる→g a#→半音上がる→b c#→半音下がる→c d#→半音上がる→e でCM7に全て半音で結びつきます。 これでF#6は安定しすぎている、という場合は、不定調性論でいう「和音の動和音化」 を行えば良いと思います。進行が半音でなくなる場合もありますが、 例えば、 Dm7 |F#m6 |C6 などで「機能和声感」を出していけば良いかと思います。 この辺は個人の「和音に対するイメージ感覚」がどういうものか? ということに起因すると思いますので(それも年々変わる)、特に機能和声の理屈が原因で、ということはないと思います。 もしソリッドな作曲を目指す場合は、ちょっとした和音をメロディに合わせて挟んでいくことであっと驚くコードが見つかると思います。 【国内正規品】MOTU Digital Performer 9 (DP9) クロスグレード 限定シリアルダウンロード版