音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

TEENAGE RIOT/米津玄師 (コード進行あり)モーダルインターチェンジと質感とか構造とか ★★★

言葉のうねりがグルーヴになった、ラップミュージックの先にある先端の音楽性の研ぎ澄ましを感じた曲、という印象でしたが、良く音を取ってみるとやっぱり仕掛けがあった、みたいになって勉強になりました。

コード進行とか、楽興構造とか小ネタになるような話を含めて書いてみますね。

音楽分析とかは今はがっつりやっていないので、何かこれからの(AIではなく人が作る)音楽表現を考える材料が提供できればいいな、と思います。

後は皆さんそれぞれの音楽に膨らませていきましょう!

(原曲は高校時代とかに作ったものを何回か展開して作ったんだそうです。。)

 

米津玄師 MV「TEENAGE RIOT」 - YouTube

 (これ読んだ方が早いぞ↓)

natalie.mu

   

洪水のような言葉を聞き取れないぐらいのスピードで展開して進んでいきます。

言葉が聞き取れないから良い作品ではない、などと感じる人は時代に置いていかれています。もう音楽はそこにはないのです。古い作品のスタイルが好きだから新しい作品が馴染めない、という人は古い作品を聞けば良いのです。

音楽は無限に再利用が可能な、人類が生み出した最も素晴らしい資源なのだから、黙って古い作品をずっと聴き続けても年齢に応じていつも新価値を生み出してくれますから安心してください。

 

新しい音楽に刺激を感じる人は、どんどん自分の感性を刷新していきましょう。 

言葉を意味ではなく、もっとふわっとした質感で、またはもっと鋭利な呪文のように発していくことでグルーヴを作り出し、雰囲気を作っていく、という感じのことはRADの時も書きました。

www.terrax.site

ああ、もう言葉はこんなところにまでなっているんだ、と感じました。

本当はこの先にインストゥルメンタルがあるわけですが、音楽的素養のある人は、言葉より先に楽器でのコミュニケーションをしてしまうので、一般にはなかなか「オケ」は理解まだまだされていません。これはバッハの頃からそうですから、楽器人は楽器の楽しさをとことんメディアで発信していけばよいと思います。。

 

まずこの曲は使用音の特徴で見ていきましょう。

イントロの上物のギターのリフがm7th音から入るところで、カッケー!!って思いました。開始0:00秒です。

<TEENAGE RIOTのコード進行> 

TEENAGE RIOT/米津玄師

 

Intro

【B_Aeolian】

Bm7  Bm7(9) |Bm7(9)  Bm7  |×4

 

Sec_A

【B_Aeolian】

Bm7   |Bm7   |Bm7   |Bm7   |

Bm7   |Bm7   |Bm7   |Bm7   |

 

Sec_B

【B_Dorian】

Bm7(9,11) |Bm7(9,11) |Bm7(9,11) |Bm7(9,11) |

Bm7(9,11) |Bm7(9,11) |Bm7(9,11) |Bm7(9,11)/D(最後、多分ベース抜きの普通のBm7だと思います。) |

 

サビ【B_Minor】

G    |A     |Bm    |D    |

G    |A     |F#/A#(またはA#dim7)    |Bm    |

G    |A     |Bm    |D    |

G    |A     |F#/A#(またはA#dim7)    |G  A  Bm  |

 

Interlude

【B_Aeolian】

Bm7  Bm7(9) |Bm7(9)  Bm7  |×4

 

Sec_A'〜サビ'

Sec_A〜B繰り返し

 

Sec_C

G   |A   |Bm  |Bm  |

G   |A   |Bm  |Bm  |

G   |A   |Bm  |Bm  |

F#   |F#7/A#  |Bm  |Bm  |

G   |A   |Bm  |Bm  |×4

 

サビ''(サビ繰り返し)

 

Ending

【B_AeolianM7=B_Harmonic minor】

Bm  BmM7 |Bm BmM7 |Bm BmM7 |Bm BmM7 |

Bm  BmM7 |Bm BmM7 |Bm BmM7 |Bm BmM7 |

 

(コードはちゃんと聞き取れていない部分もあります。また昨今はコードを混ぜたりわざと崩して音を作っているので、何でもかんでもコード表記に収まるものではない、という不定調性論的価値観で書いています。ご了承ください。)

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Bをセンター(軸音)にした「旋法変換」で質感を変化させています。

コードは同じBm系ですが、旋律に使われている音が変化します。

エンディングにはおまけのようにエオリアンM7がまたエスニカンな感じを出しています。米津氏の楽曲でのIII7やII7は、ある種の異国情緒、異界情緒を想起させるようなテイストで使われているように私は感じてしまうので、このハーモニックマイナーをインスト部分で最後に持ってくることで、聞き手を「異界」またはそれに似た別の次元に吸い寄せようとしている感を感じます。ぐっと迫ってくるスケールです。

使いすぎると飽きるのでここぞ!!っていう時に自分がどこで使えるのかを考えてみてください。それだけ見つけるのだって我らオジさんは何十年もかかったのに(見つけられたんだろうか...)、サクッとドンピシャのところに当ててくるところがサイコーですよね。

モードというよりも質感で選んでいると思うので、こういう感覚をどうやって学べばいいのかどこかで話していただきたいですね。

「どうやって、今自分が必要な音を選ぶのか??」

これには答えがないので、アーティストさんの言葉を聞くだけでも、おおおオォォォって思うネタですね。

 

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モードの明暗

これはいちいち書かないので皆さんで勉強してみてください。

Bエオリアンと、Bドリアンではどちらが暗いか、明るいか。

個人差があると思いますが、通例はBドリアンが明るいと感じるんじゃないかと思います。

これは科学的に云々ではなく、短調という概念をエオリアンから学んでいるからです。

 

で、ドリアンはただ「明るい」のではなく、

「エオリアンより締まった感じ」

とか

「エオリアンより黄色みが増える」

とか、そういう感じに見つけられると思います。

これをわかっていないと、モード変換を使用することはできません。

で、音楽ができる人は、なんとなく身についていってしまうので、

「意識してない」

という答えしか返ってきません。

 

この曲、Aメロで鞭打つように迫ってくる感じが、Bメロでふわっと一段上がります。

意識が一段浮いて、覚醒したか、または逆に冷静になったのか、そんな感じを覚えませんか?ドリアンの13thの役割です。浮くんです。ドリアンは。

これは個人の質感です。皆さんが感じるように感じればいいです(不定調性)。

そういう風にしたいから、そうしたのだ、と言われて終わりになる場所ですが、普通は、こんな風に作れないのです。普通はね。多くの人が今やできますが、音楽をやらない人にはまるでわからない話です。

これがモードの知識とか関係なく、サクッとできるであろうひとだから、この手のアーティストは皆すごいんです。きっと話が合う人が少ないでしょう笑。

ハチさんが動画サイトに戻ってきてくれたら、今は優れたアーティストさんの曲をいつでも聞けるようになって、おかげさまでみんなそういう質感についての話がわかってきていると思いますよ?

 

モードの特性音

Bm7(13)

これがドリアンの主和音です。エオリアンだと、

Bm7(b13)

になります。

また

Bm7  E7だとドリアンの進行であり、

G  A  Bmだとエオリアンの進行です。

これがわからないとモードがわからないので、この辺ぐらいまでは学校とかで勉強していただければ嬉しいです。

よしドリアンを使うぞ!!って思ってドリアンを使う、というよりも、ドリアンの13が欲しいなぁって確実に思えるようになってから使っていただければ、モードは怖くありません。すみません、急に先生口調になってしまいました。

サビはたまたまエオリアン進行みたいになっていますが、この形式はどちらかというとEDM的な形式を盛り込んでいるだけだと思うので、偶然の一致かと感じました。

そしてサビで名刺がわりのマイナーキーのV7がきます。F#ですね。

これによって、ここはモードではなく、調性的構造がある、と考えて、Bマイナーという理解で良いと思います。

これらの質感を感覚で分けられるような人が今は学生さんにもバンバンいます。

わからない人は一生わからないので、いえ、でもわからなくていいです。

この曲では一つの色合いを微妙に変えながら、一気に畳み掛けてくるところが"ファッショナブル"だと感じさせる印象を聞き手に残すのではないか、と思います。モードとかわからなくても「中性的」「ジリジリとした停滞感と疾走感」みたいなものを感じると思います。これは声質の役割もありますが、モーダルな音使いにもあると思います。

 

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ラップミュージックからオルタナティブの先に向かって

言葉が心を抉っていく音楽がラップでした。それまでのロックではできなかったことでした。

「それならメロディいらなくね??」

なんて思ったものです。

でもそこから、オルタナティブロック、スリーピースロックなどが新たな「言葉の洪水」によるさらに質感を追求した表現が生まれました。

ラップに疲れた訳ではないのですが、

"もっと楽に生きよう""愛し合おう"

ってこんなに歌っても、人生が相変わらず困難に包まれていることに気づいた人たちが音楽を作り始めてそれらは強烈なコードのシンプルな響きや、激しいビートが作り出す感情の方が、言葉よりも一人一人に一人一人の意味がストレートに伝わるのではないか?と感じるようになったからなのかな、なんて感じてます。

(ラップそのものも現在進化していますので、そちらが好きな方は是非最新ラップ研究を!!)

 

だからこの曲のように呪文のように脳裏にこびりつく言葉を発していけば、人は必要な言葉をそこから聞き取り、勝手に「意味のフラッシュバック」を作り、印象を感じ取る、ということがわかったからです。意味のフラッシュバックそのものは、ライミングがやってきたことです。

 

でそこに繰り返されるメロディと、喪失感のあるような和音の響きやギターの刻みがあることで、「喪失感+言葉」を聴き、そこに、その雰囲気に共感します。

一つ一つの言葉は意味よりも「質感」を届けます。

最初に飛び込んでくるのは「ノタレジヌンダ〜」という言葉です。

「だ」の音は、明るい音なのでよく伸びて耳に残ります。

作詞では

○○○○○○○○○○だー

で作りたいなぁ、なんて作詞することもあります。これもライミングの文化を通例の作詞に応用したものです。または

○○○○○○○○○○死ぬんだー

で歌詞作ろう、、なんて考えることもあろうかと思います。

すみません、米津氏の作り方とは関係ありませんので悪しからず。

で「野たれ死ぬ」っていう言葉が耳に残りますよね。

 で、すぐ心の奥底ではこう感じます。

「野たれ死にたくないなぁ、自分」

って。この時、ある種の焦燥感とか、悲壮感とか、逆にかっこよさ、とかを感じます。

そう、瞬間的に知覚するんです。脳の裏側で。それができる人はバンプやラッドはたまらないことでしょう。ニュータイプですね。

いずれ01だけでも感情が書けるんじゃないかって思っちゃいます。

つまり、一語だけで人は「良さ」を感じてしまうわけです。これもラップミュージックが作った言葉の意味感を汲み取る感覚からの文明人の能力の進化かもしれません。

 

Bメロで「サイコロフルヨウニ」という言葉で、床の上をふわっと浮くサイコロをイメージが浮かんだ人。それはドリアンの13thが作ったイメージです笑。

この関連性がわかることがこれからの音楽知識として大切ですし、不定調性論での音楽理解もそういった感覚を研ぎ澄ますことを目的としています。

なぜって、それがわかれば音楽表現ができてしまうからです。

(もちろん歌詞自体がちゃんと書かれた上で、という話です。)

 

こうやって言葉の持っている意味のフラッシュバックと音楽を絶妙に組み合わせることは、難しい人には難しいし、簡単な人には簡単にできます。そしてこの分野は未開発で、まだ飽きられていません。若い人たちによって確立されつつある部分もありますが、まだその雰囲気が作り出す、感じたことのない感情の洪水はラップミュージックがもたらしたものよりも複雑で、まるで未来の深夜の工場地帯でも眺めているような意味不明なカッコヨサを体感出来ます。

 

あ、これってモードジャズ聴いてるみたいだな、なんて一瞬感じました。

モードジャズは当時はまだ新しすぎたのかな。技術に走り過ぎたのか。逆にジャズメンには自由過ぎてパンチがなかったか。わかりません。

 

この質感を自覚してる感受性を対象に発信されているような音楽だな、と思いました。

でも、実はみんなこの質感を聞き分けられているんですよね。超能力までもう少しかもww。アイドルソングもあっていいと思うし、こういう脳の奥で聴く音楽があるのも良いと思います。

 

この感じ、この後どのレベルに持っていってどんな音楽で表現していくのかゾクゾクしませんか?自分にはできないことをできる人はただただ素晴らしいと感じます。自分なりに価値を見つけて発信し、未知のすごい才能を応援したいと思っています。

 

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もう誰もわかんなくっていいや、っていう書き方で書きました。

この曲だけが新しくて素晴らしい!」という意味で取り上げたのではありません。ただの尊敬からです。皆さんも自分が好きなアーティストさんの曲をとことん詰めてみたら良いです、ということしか言っていないつもりです。

 

折を見てリライトしていきます。リライトできるのがブログメディアのいいところですね。

 

ラジオで彼の言葉でまとめてくれてるから、みんな聞こうな。

米津玄師 F / T RADIO - YouTube