音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

Flamingo ・ 米津玄師(コード進行あり)Lemonのその先の質感を考える★★★★

Flamingo / 米津玄師_Lemonのその先の質感を考える(コード進行あり)

 

米津楽曲は、ボーカルもオケも楽器なので、最近好きになった人が氏のオケの感じをどのくらい聴けるかが鍵ではないかと。オケにこそ動画文化発祥の凄みとか独自性とかが散りばめられてあるのだから。ここに来てもそれを削らないからこそ僕らの星なのだと思う。けど。どんどんそういう期待も裏切って欲しいし、まだ見ぬ音楽を僕らの知らない音楽を手に入れるためにも、僕らも氏へのイメージを手放していきたい。

。。。みたいなこと言いたくなる人です。

 

Lemonの次の模索とも解釈できる本作についてもちょっと書いてみました。

TEENAGE RIOTについての話はこちら

奇っ怪なことを書きますが、褒めるだけなので安心してください。 

米津玄師 MV「Flamingo」 - YouTube

(これ読んだ方が早いぞ↓)

natalie.mu

 

   

"Lemon"で異物混入事変を起こしたわけですが、この新曲では華麗な再犯がなされています。より質が高く巧妙です。より悪質になった、というと分かりやすいのですが、適切な表現ではありません。異物混入自体がそもそも前世代的な云い方で、はじめから氏の表現の方法であり、異物情緒と言った方がいいかも。

www.terrax.site

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不定調性論も音楽理論的犯罪を擁護する悪徳代議士みたいなところがあるので素直に、正統派伝統派の方、ごめんなさいと今のうちに言っておきます。
氏の作品はその最初期から拙論的思考を完全に凌駕したところにありました。

 

恒例のコード書きをしますね。2017以降の拙論では、コード進行についてはあくまでも参考程度に。

これが分かってもこの音楽で何が起きてるかまで分からないからです。

 

 

Flamingo / 米津玄師

Intro
Cm7(10↑) D7│Gm7(6↑) |

 

Cm7 D7│Gm7 |

 

SecA
Cm7 D7│Gm7 |

Cm7 D7│Gm7(9) |

Cm7 D7│Gm7 |

Cm7 D7│Gm7(9)  Gm7(M7) |


SecB
Cm7 D7│Gm7  |

Cm7 D7│Gm7  |

Cm7 D7│Gm7  |

Cm7 D7│Gm7  |

 

サビ
EbM7 D7│Gm7 │

EbM7 D7│Gm7 │

EbM7 A7│D7 Gm7 │

※A7はまたはA。EbM7もEbでも良い。自分の意識に近い和音を選択してください。他の箇所も同様です。

Cm7 D7│Gm7  |

Cm7 D7│Gm7  |

 

Interlude
Cm7(11)  D7│Gm7(6) |

Cm7 D7│Gm7 |

 

SecA'
Cm7 D7│Gm7 |

Cm7 D7│Gm7(9) |

Cm7 D7│Gm7 |

Cm7 D7│Gm7(9)  Gm7(M7) |

 

SecB'
Cm7 D7│Gm7  |

Cm7 D7│Gm /F# /F /E  |

このようにベースが下がっていくラインを「クリシェ」と言ったりします。技法として使うより、ここでの雰囲気を聞いてください。「歪み」とか「陽炎」と言ったゆらぎを感じます。そういうことを表現したくてクリシェを使っているだけで、手グセでなんとなく曲似合うからやった、と演奏者当人が言ったとしても、分析、というのはそういうことを超えたところに意義を見出さないと、音楽の価値を向上させることができません。だから、たまたま手グセで出たフレーズであるとしても「多分、楽曲が要求している雰囲気を無意識が掴んで、俺は弾いたのだ」ぐらいに言って欲しいです笑。それがそれこそが音楽表現。

Cm7 D7│Gm7  |

Cm7 D7│Gm7  |

 

サビ'
EbM7 D7│Gm7 │

EbM7 D7│Gm7 │

EbM7 A7│D7 Gm7 │

Cm7 D7│Gm7  |

Cm7 D7│Gm7  |

 

SecC

Cm7(b9)  Cm7 D7  |Gm7   |

Cm7 D7  |Gm7   |

Cm7 D7  |Gm7   |

Cm7 D7  |Gm7   |

Cm7(b9)  Cm7 D7  |Gm7   |

Cm7 D7  |Gm7   |

Cm7 D7  |Gm7   |

Cm7 D7  |Gm7   ||

Cm7 D7  |Gm7   N.C.(pitch down) ||

 

 サビ''
EbM7 D7│Gm7 │

EbM7 D7│Gm7 │

EbM7 A7│D7 Gm7 │

Cm7 D7│Gm7  |

Cm7 D7│Gm7  |

 

Ending

Cm7 D7│Gm7  |

Cm7 D7│Gm7  |

※Cm7(10↓)はあるいはCm7(11↓)

※Gm7(6↑)はあるいはGm7(M7↓)、矢印はちょっと高い、低い(と感じる)の意味です。

Gm7(6↑)とは、Gm5の小節の中で、6thよりちょっと高いピッチの音程に該当する音が鳴ってるよ!って意味です。

これは「不協和音のバッティング」と言える氏独自の技法ですが、不定調性論では「不協和」ではなく、立体的な響き、空間座標的な響き、とか何でもいいです。「不協和」ではなく、「響き」です。

それが分かれば「協和こそ秩序」と学んで刷り込まれてきた自分たちの教育価値観を覆してくれる音であり、まるでレジスタンスの信念です。

「異様なノスタルジー」です。つまり、私たち日本人が、西洋的教育を施される前の時代の感覚を懐かしむようなノスタルジーです。目覚めろ!目覚めろ!って言われてる感じを覚えます。

=====

 

氏がコードで(進行理論的に)は考えていない、という前提で捉えています。
音楽を、文字表記に置き換えるのは、生で録音された音をわざわざ無表情な0と1の順列表記で置き換えるのと同じことなのだ、と考えてみましょう。採譜行為そのものが悪習なんじゃないかと、思われないように採譜するときは注意したいものです。

 

でも分析すること自体は、作者の意図を越えて新たな価値を発見することになるので、作者の庭で石油を掘ってあげるような貢献をしましょう。

 

また歌詞と音楽の関係についても、これは幽玄の世界なので音楽そのものとの関連は論じません(ユーミンレポート参照)。言葉は明確な意味を持ってしまうので、聴き手は一人一人の人生を通してその歌から違う言葉を聴き、違う映像を感じ取ります。つまりそこから生まれる意見は個人を越えていきません。他者の意見に同意するかどうかは単に好みと偶然の産物です。

そして作者の意図を理解してもあなたの人生とは関係はないので、自分の答えを探さなければならなくなります。そのまやかしに掛かってしまうと、音楽は辛いものになります。、、、とおもうよ。

 

A7の感じやD7でのノスタルジーはその真骨頂ですね。

A7はII7ですから、マイナーキーで使うと中近東感とか、スパニッシュ感を与えます。潜在的に「妖しさ」とか「情熱」をそれだけで表現できるわけです。スパイシー。

===========

 

これ、コードだけ見ちゃうと、
ぁあイントロ、Aメロ、Bメロってコード同じなんだぁ、
とかって思ってしまうでしょう。

しかし和音は同じ表記でも色彩が全て一緒ではありません。本来は、色彩だけでいうなら、

Intro
Cm7(10↑) D7│Gm7(6↑) |

Cm7 D7│Gm7 |

もっと薄暗い印象です。MVから感じるからでしょう。

SecA
Cm7 D7│Gm7 |

Cm7 D7│Gm7(9) |

強烈さがあります。

Cm7 D7│Gm7 |

Cm7 D7│Gm7(9)  Gm7(M7) |

少しトーンに慣れます。

SecB
Cm7 D7│Gm7  |Cm7 D7│Gm7  |

Cm7 D7│Gm7  |Cm7 D7│Gm7  |

寒さと疾走感を感じました。

などと自在に雰囲気の差異を覚えるはずです。これは音楽に限ったことではないと思います。

同じ人物が正座して「あ」と書く時と、誰かと剣を交えている最中に「あ」と書くのではまるで違うフォルムになり、その字から醸し出される空気感も変わります。喩えがちょっとへんですが、コード進行も同じです。同じコードでも同じでない=矛盾。を理解しましょう。


表記が同じでも=使っている音が同じでも、質感、色彩感、模様感、距離感、温度感など全て違います。ということは違うコードなのでは?と思える勇気が必要です。

これを拙論的に書けば(先の色表記でもOKです)、中二的に書いてみますので真に受けないでくださいね。

Intro
Float【c(10↑) Du7│g(6↑) |

Ebu5/c Du7│g+m7 】|

 

SecA
L;g-center【Cm7 D7】│S[Gm7]ヒトリ |

L;g-center【Cm7 D7】│S[Gm7]+UU9thイキ |

L;g-center【Cm7 D7】│S[Gm7]クズレ |

L;g-center【Cm7 D7】│S[Gm7]→+UUM7サワギ |

 

SecB
SW;g-center【Cm7 D7】│SU[Gm7]ダブリ  |

SW;g-center【Cm7 D7】│SU[Gm7]ユレ  |

SW;g-center【Cm7 D7】│SU[Gm7]ダブリ  |

SW;g-center【Cm7 D7】│SU[Gm7]エミ  |

という感じで、まるでぜんぶ違うでしょ?となるわけです笑。

でもこれじゃ、わけがわからないので機能和声という優れた簡易理解汎用システムがあるだけで、簡易理解システムが便利だからそれで済ませることに慣れすぎてはいけない、ということです(いや、別に良いけど)。

========

Intro(0:07~)
Cm7(10↑) D7│Gm7(6↑) |

※Cm7(10↓)はあるいはCm7(11↓)

※Gm7(6↑)はあるいはGm7(m7↓)

冒頭からまた声ネタが含まれています。これが微妙なピッチで、本来Cmが来るところでM3rdが響いているようなニュアンスというか衝撃を感じます。氏のアイデンティティです。

拙論を知っていれば、「あ、不協和音だ」なんて言わないはずです。これは「これは奇妙さ、だよ」っていうメッセージを受け取って興奮すればいいんです。「不思議の国のアリス」を観たならワクワクすればいい。

「こんなことは現実ではありえない」なんて思わないでしょ?それがGmのところでも軽微に起こります。

このような音をMVとからめて、"駐車場のコンクリートの隙間から轟音と共に盛れてくる地下鉄の生暖かい風"、みたいに感じてもいいでしょう。
ただの厳しい音、不協和音、なんていう人はもういないと思います。ソリッドな表意音です。この人が確立した表現手法です。Be Bop作った、ぐらいの衝撃です。誰も気にしてなさそうだけど。

最近の流行りの手法なのでどんどん真似してみましょう。

絶妙なところを狙えば、感じたことのない感情を表現できます。

(分かってるけどできないが。)

で、間奏の1:11からはもう慣れてしまって、この音程感が普通になるのでそこでは、Cm7(11)  D7│Gm7(6) |と表記しました。これが人の感受性の面白いとこですね。これも同じ音だけど違うという事例として良いです。

 

 

SecAの声効果音がカッコいいですね。なくてもいいけど、なければまるでタテガミのないライオンとか、牙のないサメみたいになります。

で、0:32~で

「A-ha?」

というオブリが入ります。これがまたその小節の、GmのM7にあたる音で、

「どう?」

って言われている感じがします。つい

「いいね」

って言っちゃいますね。
Cm7 D7│Gm7(9)  Gm7(M7) |

と書きました。これもぶつかってる音ですが、こちらは「けだるさ」を感じました。

または傷口が擦れて痛い、というようなイメージにもなります。色々感じるはずです。それを言葉にして「音楽分析」としないと、アーティストの本質まで個人が個人なりに覗けないのではないか、と感じるのです。

 

そして、2:13~の"和漢のざわめきセクション"での

「へい~ぃえい!」は該当コード部分でいうと、Cmのb9thに該当します。

やっちゃった!みたいな音です。でもだいじなことは、

「その小節にCmと書いてあっても、そのフィールド全方位に該当コードが支配できているわけではない」 

ということです。

Cm7(b9)  Cm7 D7  |Gm7   |

音楽学校で使ったら懲役二桁に相当するミストーンです(最近はだいぶ理解されるようになっていますが)。

 

音楽表現の上では、こうした音にも意味を与えて聴き手が受諾できれば、まるで麻薬のような凄まじい効果になって伝わります。

聴き方を変えればこんなにエキセントリックな音はありません。

まさに自分達が過去に聴いた"遠い昔の祭り"のなんとも言えない雑多な欲望がだだ漏れている不可思議で神聖で卑猥な音となっています。

 

こんな音で表現してくれるなんて、最高だと思いませんか?

 

なぜなら、まるでマイノリティの代弁のような、発言を塞がれて悩んで生きるしかない声なき人達の訴えのようにも響くからです。Cmの上でDフラット。
こういうことをしてくれる人が今は必要なわけで、氏だけに頼ることなく、自分達もちゃんと声を出していこう、って思わせてくれます。なんか、声が届かないかもしれなけど声上げて頑張ろうよって言ってもらってる感。

 

b9という音は、不定調性論では、数理親和音モデルを用いて解説しなければなりません。一つの音が仲間と考える音を「反応領域」という発想で自分で選択する事が出来ます。だから「乗ると思えば乗る」んです。これを他人と言い争っても意味がないのです。なぜなら、人は自分を信じて選ぶだけだからです。ここでは解説は省略します。

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この手法の先にどんな音楽作るつもりなのか、って言う事に興味があります。

パーカーは早くに亡くなってしまったけど、大変でしょうが、誰も到達できなかった音楽の調和の源泉を見つけ出し続けてほしいです。

全部自由になるっていうのは、フリージャズをやる事ではなく、あらゆる階層のものを組み合わせても調和が作れるということだと思います。

マイノリティもマジョリティも全部同じで、協力しないと先に進めないんだよ、人は宇宙時代を向かえられないよ、ってことだと思います。

その時の音楽って作れるのかな、作れるとしたらこの人?かもしれませんね。

 

 

この記事もまた少しずつ改変校正してまいりますが、ファーストインプレッションでまずはアップ。