音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

和音を作ろう~音楽の多解釈性の根源を考える(2016_rewrite)★★★

 

これは単純にどうやって和音を作るか、ということを考えてみる、という話です。

ところで、皆さんどうやって和音作ってます?

 

中学時代に、初心者から弾けるギター教則本みたいなものを手に入れて、そこに書いてあったEmを見よう見まねで覚えました。押さえ方を自動的に覚えて弾くだけです。何度も何度も押さえ方を工夫して弾けるようになると、テレビで流れるようなギターの和音になったので、ひどく感激したのを覚えています。


和音の作り方を、まるでインスタント食品を作って「すごい料理をした!!」みたいに思っていたものです。

それから勉強していくと、和音は勝手にできているのではなく、自然倍音とかが関わっている、みたいな話になってきます。


===========

でも自然倍音の構造を活用する、という思想的ベースがあるのに、CmM7(11)みたいな和音も普通に使ってますよね。

CmM7(11)と自然倍音て関係あんの?みたいに思ってそこから先はうやむやになってしまっています。結局自然倍音で作るメジャーコードは最強!みたいなところで和音づくりは終わってしまい、あとは仕事に追われてそれどころではなくなっていく、というのが学習の構図です。これに反発する人があまりいない、というのは、よほどこの分野にニーズがないのでしょう。面白いのにね。

 

「変化和音」の違和感

「C7がC7(b5)に変化しました」といわれて覚えます。和声学では上方変位、下方変位などと言ったりします。

自然倍音がそんなにすごいなら、変位された和音なんて、「まるで遺伝子組み換え」じゃないか、なんて思ったものです。そこに統一性はないのか?と。

そこで自分が教えていく身になるにあたって、しっかり統一できる素材の活用を考えました。

まず12音の構造を配列した「12音連関表」を、その自然倍音から作ります。

 

f:id:terraxart:20180921101056p:plain

 


これです。詳細は、

circle.musictheory.jp

これとか、

www.youtube.com

こちらをご覧いただきまして。

要は上方倍音と下方倍音の関連音を表にしたものです。

 

この図の横の三列の四音グループを崩さなければ、自分の都合の良いように入れ替えてOKです。たとえば、

 上下が半音で並ぶようにしたり、 

f:id:terraxart:20180921101313p:plain

 

となりが増四度で並ぶようにしたり、

f:id:terraxart:20180921101340p:plain

 
はたまた、Cメジャーに近しい音が並ぶようにしたり。

f:id:terraxart:20180921101414p:plain

調を主体にした機能和声は、このモデルの配置イメージですよね。

ここにすでに「個性」が生み出される理由が潜んでいます。12音の配置はどう変えてもそれなりの関係性を数理的に生んでくれるからです。個性は解釈によって生まれます。

 

=====

で、こういうグルーピングの正体こそが、自然倍音を使った歴史的な話の、その先にある思考の自在性を生んでいるのだと思います。

平均律12音にクラス分けしてしまう場合、自然倍音はグルーピングできて対等さを持ってしまうので、極端な不協和が生まれないため「変位」も可能になってきます。

 

C7がC7(b5)になる、とは?

というのは

c  e  g  b♭

c  e  g♭  b♭

になることですが、このg♭は、五度が変位したのではなく、cの横列のf#がgの代わりに置き換わった、と解釈することもできます。

結果としてcとf#は同じ横列ですから、C7(b5)はcの勢力とgの横列の勢力がより均衡した、とみることができます。g♭とf#は実際意味は異なりますので、その際まで体現したい、という場合は、さらに「反応領域」という考え方で自分の好きなように解釈する事が出来ます。つまり、どっちが正しいとかは無くなり、「あなたにとってあなたが正しい場合が多い」という程度のニュアンスになるわけです。これも時と場合によって変化します。言い争うだけ損です。

このように自然倍音から作られた12音の新たな関係性があってはじめて「変位」が発展解釈できるようになるわけです。この変位と最初の和音をつくった自然倍音の理屈にリンクがあることで始めていろんな和音がすべて自然倍音の連関性からできる、という解説でまとめることができるわけです。

 

不定調性論では、結果としての和音の中に増四度があるか、ないかで形態分類をしていきます。動和音と静和音の考え方です。

www.youtube.com

www.youtube.com

 

 

 

 

 

 


では、いくつか作ってみましょう。

 

f:id:terraxart:20180921104133p:plain

このC△とAm、配置の対称性がありますね。

 

 

f:id:terraxart:20180921104205p:plain

次に、Cmを作って、同じような対称性をCを中心に作ると、F7omit3というような和音が出てきます。


Cm |F7omit3 | Cm |F7omit3 |

Cm |F7omit3 | Cm |F7omit3 |


これってなんかドリアン進行っぽい!笑とか。じつはIm7-IV7にはこうした構造の相似性があった!!!なんて思って弾くと、なんか安定感が思考の中に生まれたりします。

「ドリアンだぜYeah---!!」というのは実は音の数理の相似性への理解の入り口に過ぎないですね。

 

f:id:terraxart:20180921104628p:plain

 


上左=C6

上右=C7(b9)

下左C7(#5,9)

下右=C7(b5)


変な和音も対称性や規則性で作れますね。マニアックなテンションサウンドも表におと思考とシンプルな図形だったりする、というのは面白いです。ゆえに音楽でも使えた、という理屈も潜んでいるような気がします。

それを最初は「奇抜で面白い!」というところから食いついていく人間の理性も面白いです。

これらを活用すると、当然次のような和声も作れます。

 

f:id:terraxart:20180921104838p:plain

 

上左=cを中心にしたクラスター的三和音

上右=Csus4+Asus4みたいな和音=FM7(9,13)

下左=C7(b5)+A7(b5)みたいな8和音

下右=12音をすべて用いた和音


このように長三和音から現代的な和音まですべて作ることができます。

で、この連関表は、どんどん拡張ができます。CmM7(11)は、

f:id:terraxart:20180921105703p:plain

もう一列上下に展開すると、それっぽい対称性で作れます。

こういう和音の数理の位置取りを音として聞いたとき、脳がどう処理してどんな感情を与えるか、なんてまだまだ計算できないじゃないですか。だから、音楽的印象=音楽的クオリアを研ぎ澄ませることに音楽家は集中することによって意味を創造していけばいいのではないか、と思います。まだまだそういう過渡期な時代であると思います。

=====

f:id:terraxart:20180921105942p:plain


この図形が指すのはd,f,g#だから八芒星はDdimの響きなのだ!!!


などと言ったらもう詐欺です。しかしこの手の論理で巧みに人を言いくるめていくこともできます。

つまり根拠がいくつもある場合は、様々な他解釈が可能になり、個々人がそれぞれに解釈して納得のいくものを作り、一人一人が派閥になることができる、ということが分かった以上、伝統学習と並行して「自分のことを知る学習」がとても重要になってくると思います。

 

自分はどう考えることを好む人間なのか。

何処で諦めてしまって、どこまで頑張れる人なのか。

冷静に自分を分析することは難しいです。と言って人に指摘されていては軋轢を生むだけです。自分の感性がどんな形状をしていて、性質を持っているのか、ということを少しで知るために、ぞれぞれの感性に責任を持たせる不定調性論的な思考を上手に取り込んでい行ってもらえれば幸いです。

 

AD