音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

The BEATLES"If I Fell"コード分析(夏休み企画2)

こちらの記事をより深く。

www.terrax.site

です。

Ebm |D |Db |Bbm |
Ebm |D |Em |A7 |

 

この進行を機能的に考えてみましょう。key=Cにして考えます。

まずもっともありそうな状態に戻して考えてみましょう。

Dm |G |C |Am|

Dm |G |Dm |G |

こうです。

以降の譜面は、あくまで私のオリジナル解釈です。原曲とはメロが違いますのであしからず。

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あくまでIF I Fell風のメロディとして扱ってください。これでkey=Cのままいけます。

何とも自然で、ある意味正道。

 

これをサビ前の転調入れてみようかな、なんて思うと、

Dm |G |C |Am|

Dm |G |Cm |F |

f:id:terraxart:20180726163343p:plain

これか

Dm |G |C |Am|

Dm |G |Ebm |Ab |

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後者にすると、If I Fellの理屈になります。メロディがd-dと続くところを、半音上げてd-eフラットにする、よく使う奴です。

どちらの方があなたにしっくりくるでしょうか???

=====

さて、この転調感覚を活かして、裏コード=IIb7を入れてみましょう(もちろん省略してDbとかでいいですよ)。

Dm |Db7(9) |C |Am|

Dm |Db7(9) |Dm |G |

これはどうでしょう。これはこれでDm7  Gに転調感がありますね。

Db7(9)ではメロディが#11,9thを用いているので

Dbリディアンm7スケールになります。

(またはリディアンb7、リディアンドミナントスケールとも呼ぶやつ)

f:id:terraxart:20180726164202p:plain

 

こう書いてきますと、Dmへの展開がちょっと違和感ですよね。綺麗に元に戻っているとはいえ。何が起きているのでしょう。

この「隣り合った各コード感がもたらす機能感」と「楽譜全体を眺めて得られるコード感が与える機能感」というのは若干違うんですね。これを処理できる方法論が不定調性論になります。基本クオリアベースですので、「より自然な方向に行こうとすることを認可」できます。それは昨日という幻想に縛られない思考が出てきた時、それを"自分の感覚の誤り"ではなく、認めてあげて活用してあげよう、という試みです。自分を信じる、ということを制作のちょっとした気持ちの機微において活用する、というわけです。これ意外と難しいです。これがぱっぱとできる人は天賦の才ではないかと。

 

<核心>

(key=Cで考えています)

このDb7(9)部分で原曲で弾かれているDbというコードが、二度出てくることで、二回目にはIコードのような印象=落ち着きを持ってしまっているように思いませんか?

だからDmに流れると、

「これからサビに向かって、強い願いを歌う割には暗いなぁ」って思うと思うんです。

つまり

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では「just!」って言うかんじが暗い、

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こっちの方が明るくね?サビっぽくね?

(key=cで考えてますので、原曲より半音低いです。)

 

って思います。確かに。まあ別に結果論なのでどちらでも良いのですが。

 

しかし理論的には半音上にキーがいきなり転調することになります。これ調の流れを気にしなければ、むしろ転調した方が自然です。

これに違和感を感じるかもしれません。

これについてひとつ面白い考え方を提示したいと思います。

www.youtube.com

このtapeデモって言うのを聞いてください(ジョンが弾いたままを聞き取っています)。

Fm   |E   |Eb  |Cm  |

Fm   |E   |F#m  |B  |

で弾いているように感じます。

 

証拠があるわけではないので、これは皆さんで分析して頂きたいのですが、半音ぐらい下がっちゃったギターで録音しちゃったのか、半音下げチューニングなのか分かりませんが、開放のEが低いように思います(それとも全音下げ??まさか。。)。つまり最初Fmから入ってEが開放になる、という状態(ビートルズは半音下げチューニングで歌うことも知られています=日本公演でもありましたね、ので、その楽器のまま録音したとか??わかりません)。でもその次のEbに行くっていうのがちょっと普通考えられる感覚としては不自然なんですけど・・・天下のジョン・レノンだしなぁ。。とか考えてしまうところです。

 

でもサビはE-F#m-G#mってギターだと開放弦コードからごりッと気持ちの良い(サビっぽい)流れになっています。王道に上がっていく感じもサビっぽい。

そうなると冒頭の

Fm   |E   |Eb  |Cm  |

Fm   |E   |F#m  |B  |

この後半青字のところは開放のEに向かっていくぞ!!!感を出す、というのはギタリストで作曲する人だったら潜在的に持っている「ヨ!!サビ!待ってました」感です。

だからこの開放のEにいける流れ作りは願ったり叶ったりなわけです。

 スケッチの際に、どのように構成されていったかでこの解釈も全く変わってきてしまいますが。

 

でもこれではさすがに高い、ということでさらに半音下げて(もともと半音さげなのでさらに下げることになる)、ギターでは一番弾きづらいEb、Dbというキーになっています。だから作りやすいEで作ったけど、それが半音下げギターで、さらに下げる、みたいなことになった背景とかを勝手に想像してしまいます。

全部間違っていたらすみません。

 

でもこれ、半音下げチューニングだったらそのまま弾けるっていうオチな訳で。。まさかそこまで計算しているとは思わないけど…。

 

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結果として、この進行なのですが、上記のように複雑な要素が意識の中に入り込んだ末に選ばれた流れ、と考えてみると面白いですね。

 

・Eというコードを開放の状態に配置できるFmスタートで作ったとしたら、Ebはたとえイントロでトニックに理論的に該当したとしてもギターとしてはそれをトニックと思いづらい(重視しないで転調しても気が付かない=もともと不定調性的にイントロは調が不透明、もしイントロから作ったのなら)。

・Eの位置関係(ギター弾きにとっての重要さ)、続くメロディの明暗の印象、これらが自然と明るい方向に向かわせる効果があり、それがたまたまEコードに帰結する形式美を持っていたので、この流れが出た時にそれが直感的に採用された。

結果的におかしな転調となった。

・さらにレコーディングでは音域を加味して半音下げられた。ノーマルチューニングで弾いてみたらDbという弾きづらいキーになった。

 

さらに妄想して、、

・最初F#mスタートでこのイントロのメロディを作って途中まで出来上がったけど、help meの「meがたけーな」って思って、半音下げて仕方なくEbは上のフレットを使ってエ始まりのサビにつなげて、これでいんじゃね?ってなって、さらにサビがすごく高かったので、仕方なく半音下げて、さらにあとで確認したらギターのチューニングが半音低くて、さらに半音下げてEb始まりになった。。とか。ないかな。。我々ならよくあるけど、ビートルズはないかな。。どうかな。。

 

みたいな流れで解釈していくと、理論的には変だけど、人の行動としては自然かな、ギタリストとしては自然かな、なんて思ったりもします。

ボーカル楽曲の場合、どうしてもキーが関わってきますから、EとかAで行きたくても曲がいい感じの場合下げざるを得ない、という状況は多々あります。

 

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感性での作曲、というか、自分の印象をまず真ん中において、それを信じて自然な方向に曲を創っていくためには発想を少し理屈や手癖から離れながら自在に印象と、ヒット曲感を持っていなければならず、まあこの辺が凡人には無理っす。気が付けば理屈に行ってしまうし、感性でやれば手癖になってしまったり。このバランスがジョン・レノンは凄くすぐれていて、I am the walrusみたい曲でもバランス感覚がすごいです。

真似できそうでできないんですよね。

5メートル先のごみ箱にごみを投げてもなかなか入らないでしょ?

入りそうだけど腕がコントロールできない。。誰もが知ってるこの感覚。

天才って言うのは、スポーンと入れて来るよね。だからって腕に信号を送る、脳のどの部分をどう鍛えればいいかなんてわからないし。ひたすら作るしかないわけです。それがいわゆる才能と努力の不思議な関係。一回でも最初にゴミがきれいに入ったら迷わず練習に打ち込めるけど、一回も入ったことないのにどのくらい真剣いいつまでも続けられるか??ってことです。

 

ジョンは半音での流れとか変なコードの使い方=誰もやってない流れを具現化するのが得意ですので、この手の進行はジョンらしい、と言えばらしいですね。他の曲も見てみて下さい。

 

夏の夜長は涼しい部屋で勉強をしましょう。