2018.6.11⇨2020.10.18更新
基音が生成する音=上方倍音列
基音を生成する音=下方倍音列
のことです。
不定調性論では、
基音cに対して、
gは基音が生成する音であり、
fは基音を生成する音になるわけです。
機能和声論は「低音優先」原理があります。
c音が基音の時、g音はcに帰結する、という感覚が重視されます。
しかし不定調性論では、下方の数理を用いるためもう一つの「高音が優先される世界感」が作られます。つまりc音はg音を生み出す、という考え方も同等に存在するわけです。
故にcもgも同等の立場である、という思考に切り替えるわけです。
たとえば、メロディ。
低音が優先されるなら、なぜ人は高音であるメロディに注視できるのでしょうか。
人の感覚は、自分がどこに注意を向けるかを自由に選択できます(カクテルパーティ効果のような)。
そうなると「基音」というのは"安定する"、とか、"重心"ということではなく、数理における意識の上の中心以上の存在にはなり得ません。
cにとってgは上方のドミナント
cにとってfは下方のドミナント
という発想もでき、
fにとってcは上方のドミナント
gにとってcは下方のドミナント
という発想もできます。これらは平等であり、個人の価値観で優位になる音を意識的に変えることも可能、と考えるわけです。
下記は教材にも出てくる不定調性論における基音の関連音表(倍音マトリックス)です。これだけの関係性が作れるのですから、どの音に価値があるかは恣意的に選べる、とした方が各種方法論を取り扱う時の齟齬が生まれません。