2018.5.19⇨2020.10.10更新
直感的、瞬間的に行動しなければならないような音楽の現場で、これはトニックで、これはサブドミナントで、なんて考える余裕も必要もほぼありません。
そうした現場では音質、バランス、弾き方、パフォーマンス、メンバーとのコミュニケーションなどやることが沢山あるからです。
不定調性論的な思考は、瞬間瞬間の直感を重視しますので音楽理論よりも現場的実践 用途の高い方法論ではないかと考えます。
ここではそうした中でも音楽分析的に扱える側面についてピックアップして述べていきたいと思います。
お題;「Autumn Leaves」
Eric Clapton -Autumn Leaves - YouTube
まずはリンク先にて動画を1コーラスご覧ください。
授業で、このクラプトンの「枯葉」をアナライズしてみましょう、となったとします。
通常はコードを書き出して、キーを書き、ディグリーを付け、機能を書きます。
動画で言うと0:54ぐらいまでやりましょうか。
二回繰り返されています。
これをまずジャズ理論的にアナライズを書きます。
(拙論教材のアナライズの記号表は、記事後半に添付してあります。皆さんが学習するものとは少し違うと思います。)
ここまでは勉強で誰でもできるようになります。
不定調性論的な楽曲把握で大切なのはあなたが抱く心象です。
例えば、次のように感じたことをすぐ文字にして書き入れます。
もちろん、曲聞くたびにこんなことしなくていいです。初期学習時だけです。
ネガティブな印象は感じても書きません。
書かない理由は、そういう習慣をつけないためです。
どんなこともかならずイマイチなところがあります。それを前向きに一時解釈して解決できる着眼点をクリエイトできるのが仕事人です。
クラプトンのイマイチなところは俺がカバーする、ぐらいの気持ちの勢いでいいと思います。
私の作品から引き継げる情報は少ないかもしれませんが、クラプトンであればたとえ不備や間違いがあったとしてもたくさんの情報を引き継げると思います。だから初期学習時は著名人の音楽を分析するわけです。
もし曲を聴いて、うわ、嫌い、これ眠くなるな、なんて思ったら、学習時は切り替えて「これ、冒頭に女性ボーカルのハミングを入れて惹きつけるとかしたらいいんじゃないかな」とか「自分ならイントロにシタールでも入れようかな。」とか、追加のアイデアなどを書くわけです。
そして、自分で出来るなら自分でアレンジしてカバーし発表すれば良いと思います。
批判するだけでは作業は何も進まないからです。
このようにクリエイトできない人は、音楽制作には向いていません。
一年後聞き直すと、クラプトンのやり方がベストだと気がついたりします。
そういう思考過程を自分の中で感じるのが大切です。
最初は答えを得るまで半年かかっても、その経験が積まれることで、次の時には瞬間的に判断できたりします。
特に未経験時には吸収が早い分、判断も早く判断を誤りやすい状態で進んでいかなければなりません。だからこそ、初期学習時はしっかりと分析に時間をかけることによって自分の浅はかな解釈を修正する効能もあると思います。
また、作曲や音楽制作は、自分の潜在意識との会話でもあるので、他人の良いところを自分の栄養にしようという発想で接した方が意義も大きいと、私は考えています。
それらの判断作業がどんどん正確さは増し、スピードアップして初めて瞬間的に行動しなければならないような現場で直感的に仕事ができるのだと思います。
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こうやって印象を文字にすると、曲が自分のレベルで理解できます。その曲に所有感も沸きます。曲に親近感も覚えるようになります。
人との関係作りにも似ていると思います。隣に座った人には親近感が生まれるものです。親近感が生まれると様々なポジティブな情報が見えてきます。
出会いが新鮮なうちは自分と違うところ、奇妙に感じるところに目が行くだけです。
拙論的分析=自分の一時的解釈
なので、どこまで行っても、それはあなたの価値観/感想/解釈であり、誰かと共有できるわけではない、としてます。
音楽と自分との確かな共感が生まれないと、自分でも作ってみようかな、とか、自分も誰かと一緒にやりたいなぁ、とか心の奥のほうで思えません。
そして次にこの曲について具体的に考えてみましょう。
・イントロでピアノが左チャンネル、中央、右チャンネルへと高音のb-d-bと流れるけど、あれは何なんだろう
とか
・クラプトン、なんでこの曲やろうと思ったのかな、、、
とか
・めっちゃダークな感じで、やってるけど、何でこうやりたかったのかなぁ
とか。
「肯定的にならないと見えないもの」は沢山あります。
音楽はただの空気の振動を脳が勝手に音に変えて解釈しているだけですから。
扇風機の音を聞いて「なんて素晴らしいんだ!」って思うことも、無視することも可能です。扇風機作った人の苦労話聞いたことありますか?
この時期のクラプトンの活動状況や、彼自身の人生観や歌への思いなどに興味を持ったなら本を読んでみればいいし、同時期のアルバムの作品とか、共演したミュージシャンの作品とかを探してみればいいかと思います。能動的な学習心を、好きなものを追求することで身につけていきましょう。
同じやり方で難解なジャズ、現代音楽、バッハなども自己流分析やってみて下さい。
とにかく曲を聞けば何かを感じると思います(大して感じない人は、音楽を無理にやらなくても大丈夫だと思います。他にきっとすごい才能があります)。それを表現していくことで「自分の感じ方のくせ」がわかってきます。人と比較するのはそれからです。あとはあなたと気質に応じて作者の意図を考えたり、一般的音楽理論から総合した解釈をそこに述べてもいいです。あまり他者とシェアできる情報になってしまうと通常の楽曲分析と同等になりますので、その場合はアカデミックなやり方に沿った方が他者とシェアしやすい 分析結果になると思います。
パッと感じる、ことができることでそれが瞬間的に行動しなければならないような現場での行動力や判断力に繋がります。その吸収情報量と情報処理能力を上げていくのが本来の実践現場的なアナライズだと思います。
伝統技能や知識が付き過ぎると、自分の感覚を後回しにする癖がついてしまいます(理論に縛られる?タイプ)。
自分と相容れないにもかかわらず、先人の発想や、何百年も生き残った考え方や方法論はとても美しいからです。
最初はゆっくりと丁寧にやっていきながらどんどんスピードアップするというのが 仕事を重ねながら現場を重ねながら自然と身についていきます。
知識や経験が未熟のうちからどんどん現場を経験してください。
自分が感じたように自分の信念で行動してください。失敗するなら早い方がいいです。誰にも相手にされない時にたくさん失敗をして、気がついたらベテラン、大物になっていたを目指してください。
念のため申し上げますが、本来は必要なら記号も自分がわかりやすいものを発明する必要があります。既存の記号がわかりやすい、と感じたらそれでもいいのですが、私はインターネットで書く時に書きにくい、と感じたものは下記のように変えたものもあります。下記は「オレはもっとこういう方がいい」と、ご自身のやり方を比較する程度のものとして扱ってください。
参考