2018.4.26→2020.2.29更新
不定調性論的な発想、としてこのお題に取り組んでみましょう。
ドレミファ和音の疑問
ふつう、ドレミファソラシドというメロディがあった時、
一つ一つにコードを付けると、
キーがCメジャーなら、
C△-Dm-Em-F△-G△-Am-Bdim
ですよね。三和音で。これが西洋音楽理論です。
でも、最初はこう思いませんでしたか?
なんでCの次はDじゃなくてDmなの!!
で、これを理解するために音程の勉強を始めます。
ドレミファソラシドに三和音を当てたら、
C△-D△-E△-F△-G△-A△-B△
こうなって欲しかったものです。この方が綺麗だし。なんで同じような押さえ方で違うのかさっぱりわかりませんでしたね。
(△はトライアングル、3の意味、つまり三和音の意味です。慣習的に呼ばれているものです。)
間違いではなかった"間違いの和声付け"
ではこのメジャーコードの進行、弾いてみてください。
なんだかビートルズっぽく、ダイナミックなロックっぽく聞こえてくるかもしれません。
この平行ハーモニーは、黒人の和声観の原初たるものです。
この事実はガンサー・シュラーの記述から展開して教材には書いてあります。
ドレミファソラシドは、調性音楽的にはメジャースケールですが、音そのものの羅列だけを考えたら、単なる「旋律」であるにすぎません。
ただの旋律であれば、先のメジャーコードだけのヴォイシングも"当然可能"です。
初期学習では平行ハーモニーなんて「間違い」、「安易」、「ダサい」、「無知」とか、って思ってしまったものです。
でもセカンダリードミナントとか学んでくるぐらいの耳になってこれを鍵盤で弾くと、このほうがカッコイイし、スリリングだったりします。
有名なところでは、スティービー・ワンダーの平行ハーモニーsus4連鎖!
もともとこっちの方が自然だったはずなのに、スティービー等の曲に出逢って、ハッとさせられます。これでもいいんじゃん!!て。
後はどちらを選ぶかです。それを託されているのは他でもない、あなた自身です。
毎秒毎秒全て自分で決めなければなりません。
それまであいまいだった機能和声の極み=不定調性
で、これをどんどん展開していくと、
CM7-DM7-EM7-FM7-GM7-AM7-BM7
とか
Csus4-Dsus4-Esus4-Fsus4-Gsus4-Asus4-Bsus4
とか
CmM7-DmM7-EmM7-FmM7-GmM7-AmM7-BmM7
とかでも良いわけです。
また、それらを混ぜる。
CM7-Dsus4-EM7-Fsus4-GM7-Asus4-BM7
これでもOKです。
このルール無視かよ感=これが不定調性です。
機能和声という港から離れたもっとも先の地点に私は「不定調性」という場所を作りました。理屈ではあり得ませんが、「西洋伝統音楽から一番遠いところ」という概念を音楽理論上に作ったわけです。
これまでは機能和声から離れすぎると「マイナーになる」「変なものになる」と思い込んでいたはずです。だからそうならないようにどこまで離れても「音楽になるよ」ということを言うために機能和声と対局する「不定調性」という位置づけを作りました。
たいていは無調、複調、汎調性は「そういう概念があるので興味のある人は勉強してみて欲しい」で終わります。誰もそこを中心に活動していません。ニーズがないから(と思っていることを公言しているようなもの)です。
私は逆でした。不定調性的音楽表現が自分のルーツであり、私はその極点に立てます。
商業音楽の一方の極点に向かった(もともとジョン・ケージがその極点は獲ったものだけど、だいぶ周辺が荒れ地になっている)、と言ってもいいです。
横暴で生意気ですみません。
でも摩訶不思議な芸術表現突如現れた時、音楽理論としての正当性でしかそれを判別できないとしたら、窮屈ではないですか?その反対、感性が感じる新たな感覚を認知できる方法論が必要なのです。
たとえば、
|:CM7 |Asus4 |Dsus4 |EM7 |
Fsus4 |GM7 |Asus4 |BM7 :|
みたいな進行も先のコード群から作れます。調性が不定なだけです。
音はこちらで聞けます。
|:CM7 |Asus4 |Dsus4 |EM7 |
Fsus4 |GM7 |Asus4 |BM7 G7 :|
ここに、さいごにG7を挟むだけで、全然音楽の辻褄が合ってきます。
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