スティーリー・ダンの不定調性進行分析
bodhisattva / Steely Dan
G7 |% |% |% |
Cadd11 |% |G |% |
EbM7 |A7(#5) |Dm7 |F6 |
EbM7 |F6 |G |% |
※
最初のところは、
|G G7 |と|C C7 |や|G G7sus4,10 |と|C C7sus4,10|とか|G F/G |と|C Bb/C|
のように弾いているかも、シンプルなコードネームに還元し過ぎないように耳コピしてみてください。
この16小節が繰り返されます。バンドではアドリブを楽しむ曲です。
最後はVIb-VIIb-Iという流れで上手くはまっています。
G=センターコードで、次にIVに移行し、ブギかな!と思わせておいて、VIbM7のEbM7に行きます。
これは次のA7に流れるはずだったEm7(b5)のルートEが半音下がった、GマイナーキーのVIbサブドミナントマイナーコードです。
見た目はっ複雑そうですが、指一本動かすだけで手癖で簡単に動けるコードなんです。
A7はII7ですから、本来b13の音は乗りません。
Gマイナーのキーのとき、コードスケールがAロクリアンM3となり、そうなればb13thが出てきますが、それを意識してつくる、というよりも、ぱっと押さえて、いつものマイナーコードへのII-Vと捉えて作っていく方がしがらみがなく楽しいのではないでしょうか。
EbM7-F6-GではDの音を固定して動かせる進行になっています。
これも一つの技です。支点があると、変な進行でも"意味=音楽的なクオリア"を感じさせます。
CM7-Eb7(13)-BbM7(9)-Cm7
とかっていう進行をcをトップにおいて弾いてみて下さい。
なんか意味ありげに感じるはずです。不定調性論では「掛留概念の拡張」と呼んでいます。
最初のCadd11ですが、これはメロディにFの音があるために、このように書きました。
このサウンドですが、
Dm7-G7-Cadd11というときのCadd11のヴォイシングを、低音からC-F-G-Eとして使うんですね。
作っていて、「あれ。変?」となっても一度は自分の耳を信じて作ってみたら結構流れと前後関係に沿った面白い和声の流れができるのではないでしょうか??
こうした流れを作れてしまうのも不定調性感覚の鍛練です。
感覚の鍛錬、といえば。
実際の音楽活動は、「ストレッチをちゃんとできないうちに走らされるフルマラソン」です。普段はじっくり時間がありますが、締め切り仕事や瞬間的に行動しなければならないような現場仕事は文字通り瞬間瞬間が勝負です。
そういうとき大切なのは、あなたの決断力です。
「明日からスティーリー・ダンのサポートやって」と言われても、二つ返事でハイ!と答えられるかどうかは、どのくらいこれまで仕事を切り抜けて来たか、にかかっています。
勉強していても時間が勿体無いです。同じことが仕事では百倍効率よく学べます。
とにかく不完全でもいいので仕事の現場に出て恥をかいて来てください。
その恥は翌日あなたを百倍賢くさせます。
しばらくは落ち込みますが、「よし、次はこうしよう」と思わない経験はありません。
だからとにかく不完全でいいので仕事の現場に出ましょう。制作をしてみましょう。発信をしてみましょう。それがいちばんの勉強だ、ということを忘れずに!!
本はいつでも読めるけどその現場は二度と体験できません。
実際の仕事の現場で「感覚を鍛錬」しておくと、家に帰って来て「本に書かれていること」がわかります。