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音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

通例の進行を反転させて脈絡を作る;ユーミンレポート63

2018.3.24⇨2020.5.11更新

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歌詞については掲載しておりませんので

 

 


I Love You

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Aメロ(アルバム収録タイム 0:25-)
G#m7 |C#7 |C#m7 F#7 |BM7 D#7 |
G#m7 |C#7 |C#m7 D#7 |G#m7 G#7 |
Bメロ
C#m7 |Cdim7 |C#m7 C#mM7 |C#m7 F#7|
BM7 BM7/A# |G#m7 G#m7/F#|
C#/F |C#/F |E/F# |E/F# |
Bメロに現れたCdim7。G#7(♭9)の根音省略形であるAdim7の転回形。
Adim7=Cdim7=D#dim7=F#dim7
たとえば、
Cm7 |G7 |Cm7
というケーデンスを、四つのディミニッシュにしてみよう。
Cm7 |G#dim7 |Cm7
Cm7 |A#dim7 |Cm7
Cm7 |C#dim7 |Cm7
Cm7 |Edim7 |Cm7
それぞれに異なる雰囲気やクオリアがあると思います。

これらを機能とか和音の性質、ではなくあなた自身の音楽的文脈どのような「文章か」を考えていけば自分の音楽で使えます。先例に従う必要もありません。

たとえばCメジャーキーであれば、
CM7 |Dm7 | ( )|FM7
という進行があるとき、( )内には通例Em7,C7,などですが、これらの通例を無視すれば、C7の関連ディミニッシュコードとして、C#dim7、Edim7、G#dim7、A#dim7、そしてFM7に半音上から結びつくパッシングディミニッシュ(経過ディミニッシュ)として、またF#dim7、Adim7、Cdim7、D#dim7は拡大解釈されたディミニッシュコードとして使えるかも!

 

CM7 |Dm7 |Ddim7 |FM7 |
という進行を作ったとしましょう。

このDdim7は、E7(♭9)の根音省略和音と考えることができます。

CM7 |Dm7 |E7 |FM7 |
というコード進行解釈の発展的技法になります。

つまりこうなると、12個すべてのディミニッシュコードが使用可能で、問題はどのような理論的解釈がなされるかではなく、どのような響きを作曲者にもたらすかです。

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太陽と黒いバラ

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Aメロ(アルバム収録タイム 0:13-)

Fm7 |E♭ |D♭ |G♭ C7 |Fm7 |

E♭ |D♭ E♭| Fm7 |

Bメロ

D♭ |Fm7 |D♭ |G♭ |

Cm7 G7|Fm7 C7 |E♭m7 B♭7|Fm7 Cm7 C7 |

 

BメロのIm-V7。

Cm7→G7

Fm7→C7

E♭m7→B♭7という三つのシークエンスを連鎖させてます。

通常は、G7→Cmと流れるところですが、それをすべて逆順するように進行していきます。この進行形態は、このアルバムでは三曲現れてます。アルバム毎の作風の癖ってありますよね。人生ですから。

 

GIRL a go go

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Aメロ(アルバム収録タイム 0:15-)

E♭m/B♭ B♭|E♭m/B♭ B♭|E♭sus4  |E♭ |

Cm7 |F7sus4 |E♭m/B♭ B♭|E♭m/B♭ B♭|

E♭m/B♭ B♭|E♭m/B♭ B♭|E♭sus4  |E♭ |

Cm7 |F7sus4 |E♭m/B♭ B♭|E♭m/B♭ B♭|

同曲が、先の逆順コード進行を持つ二曲目!

ここではIVm=E♭m→I=B♭という流れが強調!

こちらも通例はI-IVm-Iと流れるところ、いきなり、IVm-Iと流れます。

マイナーコードからメジャーコードへ四度で移動する、という点については、前曲と同様で、degreeが異なる点が工夫されてます。

 

またこの次の曲に収録されている「バトンリレー」という曲では、Vm-Imという流れが強調されてます。

通例向かう方向と反対側への流れを考えて、音楽的脈絡を作る、という工夫が、これらの事例から学べるコード進行の工夫と言っときましょう。

 

バトンリレー

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メロディのつなぎが実にアンバランスでおもしろいです。

7小節(長い~)→3小節(遠い~)→展開(あなたの~)となっています。

微妙な小節数。

これっていずれは、コード進行の使い方の変化にもつながるんじゃないか、と考えてしまいます。

普通コードというのは、

例;C   |Dm7  |Em7  |FM7  |とか

例;C  Dm7  |Em7  FM7  |G7  |CM7  |とか一小節単位とか、二拍単位が普通ですよね。これを

例 ;CM7 ○ ○ ○ |○ Dm7 ○  ○|○  ○  ○  Em7|FM7 ○ ○ G7 |

みたいに(○は一拍として)

変則的にコードを置いても作れてしまうんじゃないか、と。

こんなこと意図して作れるんだろうか・・。

 

こうやって考えるといつもたどり着く結論があります。

 

少なくとも自分はいっぱい作るしかない・・・・。

 

ダンスのように抱き寄せたい

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IVへのII-Vについて説明させて下さい。

この曲の、サビ
Bb--Am--D7--Gm--Fm7--Bb7--Eb--D7--Gm7--C7--Eb--F7--Bb

キーはBbですから、まず2番目のAmはいきなりノンダイアトニックです。
これはAm--D7--Gmへ流れるII-Vなのですが、解決先がGmなので、ジャズ的には、やはりAm7(b5)--D7にしないといけないのですが、ここは"間違っている"のではなく、"こっちの方がわたしは良いと思う"という考え方です=不定調性論の考え方。

 

当たり前なのだけど、こういうことを創造的に選択できるまでが大切ですね。

「独立」です。自分のことを信じる、っていうのはディズニー作品などの永遠のテーマですし、きっとすごく難しいんです。教科書を読み終わっても自信だけはつかないので笑。でも自分の足で一歩ずつ世界を歩いてみることで一歩一歩自信に近づくことは確かですよね。音楽家はとにかく世界を放浪する前に音楽作れ、です。

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その次、Ebへ向かう、
Fm7--Bbです。

 

この雰囲気、良く聴きませんか?これは、
CM7--FM7--CM7--FM7--
という進行において、FM7に解決するII-Vを挟む技法です。

 

CM7--Gm7/C7-FM7です。
展開がダイナミックになります。何度も解説したかもしれませんが、何度でも解説します。

さらにこのあとに、Gm7--C7という「ユーミンのII」に向かうII-Vも、また色合いを変えて挟み込まれています。この曲のサビは、代表的なII-Vの三種類が見事使いこなされてます。

 

この曲は久々に明るく希望、というか光に満ちたエンディング曲。

ユーミンの新たな決意を感じるような曲です。

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