2018.2.22⇨2020.3.10更新
歌詞については掲載しておりませんので
https://www.uta-net.com/artist/2750/
こちら等にて確認ください。
アルバム5;『紅雀』(1978)その1
9月には帰らない
歌詞を鑑賞してください。それを受けて、例えば
"青い空が泣いてる"
という歌詞を作ったとしましょう。
これ何の意図もなく書いた文章です。
皆さんは、この文章からどんなイメージを受けますか?
私は何の意図もなく書きました。
しかし、これを読み取ろうと思えば、
"青い空があまりに美し過ぎて、自分の今の身の上があまりに切な過ぎて、青い空に覆いかぶさった心が泣いている"
みたいな思い/確信を作り上げることもできます。
それを不定調性論では、「音楽的なクオリア」と呼んでいます。
そしてユーミンはその手法に独自な天才性があると感じています。
でもどんなに深読みしても、作家とあなたは別人格なので、作者の意図とは違う解釈に寄ってしまうことが多いと思います。
不定調性論では、作者の意図は関係ありません。あなたの耳に入った音楽は、あなたの脳にとってはあなた独自の情報(一時的な納得をもたらす解釈)です。だからあなたはそれをこれまで生きてきた人生の中の情報と照合させて解釈されて当然、と考えます。この辺りが個人主義みたいに思えてしまいますが、同時に、相手も個々人の解釈をするわけですから、相手の主張も認めねばなりません。
何故かその曲を聴くと泣きたくなる、のはその曲の音楽理論的な構造が素晴らしいのではなく、あなたが幼いころに切なくて泣いたときに流れていた音楽と似ていた、という方が事実に近いのではないか、と考えるわけです。
こうした判断力や解釈力はあなたをあなた自身が理解するためにも有意義であると思います。
ハルジョオン・ヒメジョオン open.spotify.com
この頃のユーミンの声は本当に幻想的。
"私だけが変わり みんなそのまま"
であり、同時に、
"みんなだけが変わり 私そのまま"
ですね。。人生って。不思議ですね。
孤立していない孤独+夕闇に添わせているようで、不気味で美しい声ですね。
私なしでも
二度と来ない町が流れてゆく
枕木ひとつづつ自由になるわ
すごい歌詞だなぁ、と。枕木って距離を保って、並んでいますから、まさに30cm単位で昔の恋人から自由になっていく心のありよう、とはさていかがなものか。
日常をダイナミックに表現する天才さ・・。
またこの曲、ラテンビートの元気な曲なんですよね。
ハッピーな空間を追い求め、その中で忘れ去られていく悲しみ、というリアルタイムな動きを感じることができる凄いアレンジだなあ、と感じます。
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