ビートルズの不定調性コード進行研究
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ビートルコードができるまでを探る〜Past Master/Cover 3
デイ・トリッパー - Day Tripper
この作品については、下記をご参照下さい。
レディ・マドンナ - Lady Madonna
レコードでは、この曲のポールの声のエフェクトがとても変わってますよね。
この曲はIVmからの展開で有名です。
A D |A D |A D A|F G A :|
がAメロです。キーはAメジャーです。
そして、
Dm |G7 |C |Am |
Dm |G7 |C Bm7 |E7sus4 E7 |
展開がDmから、というのが面白いですね。
これ、メロディから出て来たのでしょうか。それともコードから作ったのでしょうか。
微妙にAmに一時転調しているみたいな。
これってAメロのF-G-AもVIb-VIIb-IでAmのダイアトニックコードが差し挟まれていて、非常にビートルコードしています。
イギリス人女性の厳しい生活を彼らならではのテンションで歌っていますね。
なんとも切ないけど、そんなこと考えてたら生きていけないじゃない!?
っていう強さもこのロックに感じます。
この転調感を「社会の二面性を出そうとした転調」とかって解釈してしまうと、ビートルズが底の浅い存在になってしまいます。
むしろ、そんなことを考えないで作っていっても、そのようにできてしまうのがあの時のビートルズであり、ポール・マッカートニーだと考えたいところです。意図するのではなく、自然とそうなってしまう、ぐらいの次元でビートルズは成り立っていたのではないでしょうか。
理屈を考えていては「着想の瞬間の興奮のエネルギー」をつかむことができませんし、アイディアの鮮度が失われます。アイディアは鮮度を失うととても魅力的でなく安易な意図を感じさせてしまいます。自然にポンポンでくる、それがビートルズ時代の彼らの感覚だったのではないでしょうか。
ここから学べるのは、ささっと作って、短期間にある程度勢いでまとめておいて、鮮度をぎっしり詰め込んで、後日推敲、としてみると、意外と良い感覚を封じ込めることができるかもしれません。
不定調性論では、こうした感覚感で作曲を行う方法論です。
音楽を作るときは、考えずして、なんとなくその曲を象徴している音楽的クオリアを生み出せるようにトレーニングします。自分の感覚を探る旅です。