音楽教室運営奮闘記

不定調性論からの展開紀行~音楽と教育と経営と健康と

原曲のコード感よりオレのコード感~ビートルズ楽曲topic

ビートルズの不定調性コード進行研究

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ビートルコードができるまでを探る〜The Silver Beatles 1

スリー・クール・キャッツ - Three Cool Cats

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ビートルズのルーツを探る第二弾。The Silver Beatlesの頃。彼らがカバーして演奏しまくったであろう楽曲から、彼らの音楽性のルーツ(特にコード感)について考えてみたいと思います。
1958年の作品。ザ・コースターズというバンドが発表した曲です。
この曲、入りのコードが変わっています。


F#7 B7 | Em |F#7 B7 | Em |
F#7 B7 | Em |F#7 B7 | Em |
F#7 B7 | Em |F#7 B7 | Em |~

Em |D |C |B |
Em |D |C |B |

 

という感じなんですね。

このF#7が印象的です。
最近はあまり聴かないマイナーコードへのドッペルドミナントですね。

サビもI-VIIb-VIbのビートルコードの元になりそうな、いかにもただのロックではない感じが、何とも言えません。

 

こういうちょっとへんちくりんなロック曲でのヒット曲も当時からたくさんあったんでしょうね。それがビートルズというフィルターを通してブランド化された、という側面もあるでしょう。

 

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セプテンバー・イン・ザ・レイン - September In The Rain
こんなスタンダードナンバーもやっていたんですね。


The Silver Beatles - September In The Rain


彼らのアレンジも結構凝っています。オーディション用の作品の中から見つけてきましたが何か狙いがあって選んだんでしょうか。
イントロ
G6 |% |% |% |
コーラス
G |% |Am |% |
Cm/D |C/E E(?) |G |G |
G |% |Am |% |
Cm/D |C/E E |G |G |
Am |% |G |G |
Bm |% |A |D |
G |% |Am |% |
Cm/D |C/E E(?) |G |G |

このあと、
Am |% |G |G |
Bm |% |A |Eb7 |
Ab |% |Bbm |% |
Dbm/Cb |Db/F F |Ab |Ab |

エンディングが
Abdim7 Bdim7 |Ddim7 Fdim7 |
Eb7 |Gb ||

この曲はスタンダードジャズです。
彼らは原曲と全く異なるコード解釈をしています、とみえます。


コードがポールの解釈になっていてIImがとても重視されているような気がします。

 

イントロのG6は誰が弾いているのか、これ「あのビートルズの6thコード」のハイフレット版ですね!

 

このサウンドを参考にしたバンドがいたのでしょうか???
とにかくえぐい感じで、原曲の良さを無視して、ビートルサウンドにしてしまっていると言っていいと思います。

 

ちょっと比べてみましょう。
G |% |Am |% |
Cm/D |C/E E(?) |G |G |
ここは原曲に直すと、
G Bm7 |Em7 |Am7 |% |
Am7(b5) |D7 |G |Am7 D7 |
です。Am7(b5)を知っていたのか知らないのか、全員がおかしな音を出しています。ポールがルートとbV5thを弾いていて、なんとかこのサウンドを作っていて、その後IV-Vに戻すようなラインを作っています。メンバーの出している音もV7だけが明確ですがどうも曖昧です。

ここはまあいいのです。
Am |% |G |G |
Bm |% |A |D |
ここ。原曲は、
Dm7 |G7 |C |% |
Em7 |A7 |D7 |Daug |
となっています。

ビートルズのほうは、IIm7--V7--I、IIIm7--II--Vです。
原曲は、Vm7--I7--IV、VIm--II7--V7です。

ええーーー??という感じです。


ビートルズの方は転調したような感じになっています。それをII△--V△でうまくまとめています。
原曲通りやった方が説得力があるところを。。

元曲になったアレンジがあるのかどうかにもよりますが、これは面白い発見でした。

でエンディング、ロカビリーの使いそうなdim7の連発です。
でも何もこんなおっとりとした曲で使わなくても!
と思いますが、でも若い勢い溢れた感じで、とんがっているかんじがでてますね。

面白いアレンジです。

「原曲のコードなんて無視していいんじゃね?」

なんて思えますね。みなさん気が楽になる??


とにかく「原曲のコード感よりオレのコード感」という感じがとても潔くて良いです。
自分のジャンルで演奏を作っていきましょう!