音楽教室運営奮闘記

不定調性論からの展開紀行~音楽と教育と経営と健康と

Day Tripper(6つのメジャー系コード使用曲)/The Beatles

2018.1.20⇨2020.7.13更新

ビートルズの不定調性コード進行研究

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Day Tripper/ The Beatles

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この曲で使用されているコードは、

E,A,F#7,G#7,C#,B です。

有名なリフです。

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この曲をEメジャーキーとするならば、機能和声的には 
E,F#m,G#m,A,B,C#m,D#dim
によって曲が構成されている必要があります。

しかしこの曲の構造をみるとそんな約束はなさそうです。

どうやって作ったのでしょう。

 

まるで知っているコードフォームを適宜平行移動しながら作ったかのような和音の連鎖です。

 

このような技を、音楽理論的思考で用いるようにしたのが不定調性論です。


「自分、理屈分からないけどコード鳴らしていったら、いくらでも曲作れるけど。」
という人のスキルをサポートできる方法論です。

 

同曲1コーラスは、歌入りから、

E |E |E |E |
A |A |E |E |
F#7 |F#7 |F#7 |F#7 |
A |G#7 |C# |B |
E |E |E |E |

です。これらのコードを機能和声で分析すると、

E=I=トニック
A=IV=サブドミナント
F#7=II7=ドッペルドミナント
G#7=III7=平行短調C#mのドミナント
C#=VI=セカンダリードミナントまたは、平行短調の同主転調
B=V=ドミナント となります。

しかし、これが分かっても
「なぜそこにF#7を使ったのか。」
「なぜF#m7ではいけなかったのか。」
についての感覚的の根拠が分かりません。どうやって作曲したか、が解説出来ないんです。

 

作曲においては「そんときにそれがいいと思っただけさ、それ以上の理由はないんだよ」となったとき、この解答をあなたはどう理解しますか?

旧来の音楽理論はこの感情的帰結を上手に分析することができません。

不定調性論では、この個人の感性の帰結を真ん中に置きます。

これは機能和声という考え方があるからこそ、こうした感性論を置くことができる、とも言えます。

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メジャーコードを全て覚えたとすると、

C△,C#△,D△,D#△,E△,F△,F#△,

G△,G#△,A△,A#△,B△

という12個のメジャーコードが弾けるようになりますね。

 

ここからランダムにコードを抜き出して繋げてメロディーが浮かんで来る人はそれでもうオッケーです。

不定調性論的作曲です。

 

より機能和声的にしたい場合は、

例えば中心とする和音をE△とします。

Eメジャーキーでは、
E△ A△ B△がスリーコードですね。

 

次に同主短調Emのキーでダイアトニックコードを見てみると、
Em-F#dim-G△-Am-B△(またはBm)-C△-D△
となります。ここから
G△、B△、C△、D△を引っ張り出してきます。


近親調のメジャーコードが集合します。

E△-G△-A△-C△-D△

後は好きに組み合わせて連鎖を作るだけ。順序もどうぞお好きに。

 

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次にこう考えてみましょう。
F#m-B△-E△
よりも
F#△-B△-E△
を用いたいときというのなどんな感情を訴えたい時か、考えてみましょう。
二つの進行の「印象の違い」「持っているニュアンス、文脈の違い(自分にとっての意味感)」が分かれば使い分けられます。

前者はのんびりした気分、後者はイケイケなときの気分、と感じたら、それを曲に応じて使い分ければいいだけです。その指針はあなたが決めなければなりません。

ビートルズがこう使ったから...などと"彼らのヒモ"になってはいけません。

先鋭的音楽創造において既に誰かが使っているものを再度用いるのは怠惰なんです。

 

 

結果、自在にコードをつなげられるようになると、E△がいろいろなメジャーコードに飛来していくことを覚えます。

 

|:E△-F#△-F△-Bb△
E△-Bb△-F#△-B△:|

 

同一タイプ和音をメロディのように並べていくような作曲法が和声単位作曲技法です。

 

コード(慣習)を覚えたら、まずは全部忘れて色々繋げてみてください。

その中で必要に応じて覚えてコード連結の慣習が直感に降ってくるようになるまでひたすら作曲です。

ビートルズから学べる作曲方法はあなたを一般音楽理論の先に簡単に連れて行ってくれます。