2018.1.20⇨2020.3.9更新
ビートルズの不定調性コード進行研究
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ほぼ全曲ビートルズのコード進行不定調性考察 アルバム「Help!」3
32、恋のアドバイス - You're Going To Lose That Girl
Aメロ~
Eb |Gm |Fm |Bb7 |
Eb |Gm |Fm |Bb7 |
Eb |Cm |Fm |Bb7 |
Fm |Db |Gb |B |
Gb |% | % |B |E |
Eb |Gm |Fm |Bb7 |~
それにしてもかっこいいコーラスですね。
HELPの映画の同曲シーンもかっこよかったなぁ。
展開部を含む、2コーラス目す。
キーはEbを巡るのですが、展開部で、解放されたように、メジャーコードが展開します。ビートルコードですね。
Db=VIIb
Gb=IIIb
B=VIb
です。
Fm→DbがDbメジャーキーのIIIm→Iのように感じさせ、そこからDbがドミナントになり、Gbに転調します。
そこからBに流れ、その勢いでEに向かいます。
このEは続くEbのいわゆる「裏コード」です。
言ってみれば、Ebに綺麗に戻りたかったのに、半音ずれて戻っちゃった、どうする?
いや、ふつうにEbに落とせばいんじゃね?
的な。
彼らは裏コードという手法だ、と言うことをどんな概念で理解していたんでしょうか?
これ、知らなくても弾けない、ってことはないんですよ。指さえ動けば。
あとは、それを自分で弾いて「あれ?これ最高じゃね?」って思える自分がいること、それを許容してくれる仲間がいること、そのアイディアを上に良い報告してくれる上司がいること、それに責任を取ってくれる責任者がいること、そういう環境で人が働いて入れば、こういう組織ができます。
そういう職場を探し歩いても見つかりません。
あなたがそういう職場に変えないといけません。そこにスキルが必要なので、世の中がホワイトとブラックに分かれてしまうんだと思います。
「ただの裏コードだろ、そんなに粋がるな」とかいう人が周囲にいると、その次にさらに出るはずだったもっとすごいアイディアを封じこめてしまうんです。
あなたの知り合いや、あなたの友人が一歩ずつ前に進んでいるかどうかをよくご覧ください。音楽家なら曲を作って、自分の道を歩き、着実にステップアップしているならあなたの接し方は適切かもしれません。もし周囲にそういう結果が生まれていなければ誰かがそうした芽を正論で摘んでいるのだと思います。
33、イッツ・オンリー・ラヴ - It's Only Love
C G/B |Bb F/A |G |Gaug |
C G/B |Bb F/A |G |Gaug |
F |G |C |Am |
Bb |G7 |C |Am |
Bb |G7 |F |G7 |
ジョンはこの曲、気に入らなかったそうですが(一部伝記やライナーノーツより)、このなんとも言えないシンプルな流れが、実にこのアルバムにぴったりで初期ビートルズらしさを残した曲だと思います。こういうのは先を急ぐ作家目線と万全を期すプロデュース目線の違いですかね。
Aメロのベースラインが素敵です。
Gaugもジョンに合っているように思います。
良くここに挟んだなぁ!!、なんて思いますが当時の慣習的進行とも言えます。
キーはCですが、メジャーコードの連鎖が見事です。
BbそのものはCにとってのVIIbですが、ここではAmから半音上がった「フリジアンのIIb」のような印象を与えます。私の印象です。ふわっと上がってサビに行く!という印象をしっかり出しています。これを案じてジョンはBbにしたのかな、
それでもこのBbはすごいなぁ、と感じます。
メロディがBbの5thだから、全く合わない、ということはないのですが、この進行感に面食らいます。 IIb感!!!とかって。
「いける!」って思うことを大切にすること、そしてそれを思うことに躊躇しないこと。これがうまくいっている間は素晴らしい作品が生まれると信じます。
せっかくなのでこの話題を展開してみましょう。どうやってその状態を保つかとかについて書きましょう。
I=Cmとします。不定調性論の和音の流れで考えます。
基音領域変化
Cm-Am-Cm
Cm-Ebm-Cm
Cm-Gbm-Cm
上方領域変化
Cm-Gm-Cm
Cm-Bbm-Cm
Cm-Dbm-Cm
Cm-Em-Cm
下方領域変化
Cm-Fm-Cm
Cm-Abm-Cm
Cm-Bm-Cm
Cm-Dm-Cm
それぞれに雰囲気があると思います。これらを自分の中でイメージを膨らませます。
それを持てること、それに確信があることがとても大切です。
あとはそれを人に言った時、そうやって作品を作った時「お前は無知だ、無能だ」と言われても気にしないメンタルがあれば万全です。いや。それが一番必要な才能かな。私は自分勝手なのでだいぶ助かっています。
和音進行を感じます。素直になって。
たとえば上方領域変化であれば、
Cm-Gm-Cm・・・説得しようとしている
Cm-Bbm-Cm・・・嵐が来る
Cm-Dbm-Cm・・・騒がしいこの世界
Cm-Em-Cm・・・スペクタクルな風
これは、単なる印象ですから、あなたの自由な音楽的なクオリアが求められます。知識で答えるのはありません。あなたが今感じたことで答えるんです。
このやり方と機能和声論の間に接続点がないんです。
Cm-Gm-Cm・・・特に何も
Cm-Bbm-Cm・・・特に何も
Cm-Dbm-Cm・・・特に何も
Cm-Em-Cm・・・特に何も
でも最初はいいんです。それが最初の自分の芽だと思うのです。こういうことレッスンとかで言いたくないね、恥ずかしい笑、だからブログに書く。
あなたが音楽家なら、曲は自分の子。
他人の子を可愛いと思わなくても、いずれ生まれる自分の子はきっと違います。
不定調性論では、機能和声の考え方そのものを一旦無視します。
全ての和音の流れを「自己心象」で捉えるからです。
もちろん学習で身についた慣習もそのまま使います。
V⇨Iはドミナントモーションだから解決する。
IV#⇨Iは名前がないから解決しない。
とは考えません。IV#⇨Iにも「進行した感じ」を感じることはできます。
ドミナントモーションは刷り込みでそう思い込んでいるだけです。
今その曲を作るとき、どちらが制作業的にふさわしいか、を選択すればいいだけです。理論上これが正しい、とあまり強く考えすぎるとあなたの意思は無くなり曲が一般化してしまいます。このバランスを保つことが戦いです。正しいからこれを使えばいい、という考え方を「平和ボケ」と言います。「結果的に平和と定義される均衡」を保つ為に戦い続けましょう。
ここには答えがないので、あなた自身が「それが自分にとっての答えだ」と言えるぐらい強い信念とか思い入れとかが必要です。
この辺は日々のトレーニングかもしれません。
彼氏彼女に「今日は〇〇を食べに行こう」と言えば、嫌だと言われ、「じゃあ〇〇に行こう」と提案を変えてみたら、それも嫌だと言われ、「じゃあ何がしたいの?」と聞けば「特に」と返事が返ってきます。
これに嫌気がさしてしまうと表現活動はできません。
あなたは自分の意思を持ち、伝えました。これを諦めないでひたすら続けて行くのが芸術かもしれません。何せ芸術の神はどんなに力作を作っても「特に」すら言ってくれませんから笑。
人に感想を求めるのもどこか逃げがあります。現状最高のものを作ったのだから、芸術の神以外の感想いります?相手はあなたと同じ人間ですよ?笑。全員違う意見に決まってるじゃないですか。
自分の意思が常に持ち続けられること、という場所で戦う職業だと思います。
それが持ち続ける環境と付き合い、そこで自分の人生を生きていただきたいな、と日々思っています。
今戦ってる全てのアーティストに最大の敬意を評します。