2018.1.12→2020.9.27更新
参考
ここではよく使われる属七和音について扱っています。
次の進行を弾き比べてください。
進行1
CM7 |Am7 |Dm7 |G7 |
進行2
CM7 |A7 |Dm7 |G7 |
進行2のA7の進行のほうがスパイスが効いていて、ちょっと洗練されているような感じがするときがあります。
このA7が二次的に活用されている副次ドミナントコード≒セカンダリードミナントコードとされる和音です。
この手の慣習は、
「ドミナントモーションの"進行感"を活用してその他の部分でも使っちゃう」
テクニックです。
Am7よりA7にすることで強い解決感がある、的に言われることもありますが、別に解決感が欲しくてドミナントを使うわけではないことに気が付くと思います。
学習初期は
ちょっと使ってみっかな、お、いいじゃん!
でまずは使ってみてください。
何より学問としてそれを考えるのはそんなに単純ではありません。学問的に考えず、まずは使い慣れてから理論的過失に入ってみてください。自分にとって必要不必要な文章が判別できます。
「その進行感が自分に良いかどうか=不定調性論的思考」だけで音楽に触れるのは飽きません。
CM7 |CM7 |FM7 |FM7 |
であれば、
CM7 |C7 |FM7 |FM7 |
または、
CM7 |CM7 C7 |FM7 |FM7 |
等ですね。
このC7⇒FM7が、セカンダリードミナントの進行になっているわけです。
でも、例えば、
CM7 |CM7 |DM7 |DM7 :|
等の不定調性進行において
CM7 |CM7 A7 |DM7 |DM7 G7:|
とかってDM7,CM7に解決するセカンダリードミナントを置くと、最初のセカンダリードミナントがなかった時のダイナミックな浮遊感が消え去ってしまいます。
これこそ解決感を生むから使う、みたいな発想は無意味です。
あなたがパンクをやるなら、セカンダリードミナントの概念など使わず、たとえば、
E |G |C |B |
みたいな進行で、Gの前にC7を挟む必要はないんです。
E C7 |G |C |B |
こんなノリでニルヴァーナ弾いたらまどろっこしいし、何よりその音楽のメッセージに"希望"感が乗ってしまいそうです笑。希望など必要ない音楽もあります。
こんなまどろっこしいことをしたら音楽の勢いがなくなるじゃないか!!と思ったものです。
そう思ったらそう心が反応するようにしておく!が音楽的クオリアの利便性です。
ビートルズの「Back in the USSR」などで、
Aメロの
A |D |C |D :|
これを
A |D G7|C |D D7 :|
なんてやったら理論的には合ってるけど、音楽的に幻滅しませんか?
それはビートルズがこういった「ジャズが極めつくした細密進行感からの脱却」を体現していたものをわざわざ元に戻す行為だからですね。
勝手を申せば、学習初期に"二次的なドミナント効果"を身につけるとしたら、次の五つの慣用句に凝縮されると考えています。
これはあくまで、この五つを体得して使いこなせれば、まずはOKということです。
作曲編曲の実用的な基礎としては十分、という意味です。
key=C,Cm
i)IVに行く
CM7 (Gm7) C7 |FM7 ~ |
※よくII-Vに分けられます。マイナーキーでGm7(b5) C7 Fm7も使われます。
ii)VIに行くドミナント(平行短調へ)
CM7 G E7 |Am7 ~ |
(純粋理論派はこの進行はセカンダリーの概念では言わないので注意)
iii)ドッペルドミナント
CM7 D7 G7 |CM7 ~ |
(こちらも純粋理論派はセカンダリーの概念では言わない派閥があるので注意)マイナーでもD7-G7-Cmは印象的です。
iv)IIIm7に行くドミナント
CM7 B7 |Em7 ~ |
v)IIm7に行くドミナント
CM7 A7 |Dm7 ~ |
マイナーキーA7-Dm7(b5)などもありますが、劇的な印象をともなうか、というとそうでもないかも。
その他にもありますが、上記のいずれかの"印象"と似たような効果を持ちます。探して自分のレパートリーに加えてください。
これら五つにはそれぞれの印象を個々に感じられるようにしてください。
下記は私の"印象"です。
CM7 (Gm7) C7 |FM7 ~ |⇒爽快感
CM7 G E7 |Am7 ~ |⇒セツナイ感
CM7 D7 G7 |CM7 ~ |⇒展開感・説得感
CM7 B7 |Em7 ~ |⇒展開感・セツナイ感
CM7 A7 |Dm7 ~ |⇒展開感・あっけら感
この○○○感が「音楽的なクオリア」です。
この”進行感”がみなさんぞれぞれで感じられればその和音を使うことができます。
何も感じなければまだ使えないでしょう。
印象や音楽の流れがじっくり感じられるバラード的な音楽で使ってみてトレーニングしてください。曲の流れを崩していないか、イメージが淘汰されたり、歪曲されたり、盛り上げ過ぎたりしてないか、理想は最初だけでも先生とディスカッションして考えて行ったほうが良いです。
この和音群は非常に効果的で、最初はとにかくこの"味の素"をふりかけ過ぎてしまうものです。加減をうまく覚えてください。
これを裏コードするとまた違う音楽になります。
CM7 (Gm7) Gb7 |FM7 ~ |⇒??感
CM7 G Bb7 |Am7 ~ |⇒??感
CM7 Ab7 G7 |CM7 ~ |⇒??感
CM7 F7 |Em7 ~ |⇒??感
CM7 Eb7 |Dm7 ~ |⇒??感
裏コードは急にマニアックです。印象を感じてみてください。
(方法論者によっては、使ってはいけない、というコードもあるかもしれません。方法論の良し悪しで判断するのではなく、使用者各意で判断するようにしてください。)
より詳細にしてディグリーでまとめておきます。
①
I (Vm7) I7 |IV ~ |
Im I7 |IVm ~ |
②
I V III7 |VIm ~ |
③
I II7 V7 |I ~ |
Im II7 V7 |Im ~ |
④
I VII7 |IIIm ~ |
⑤
I VI7 |IIm ~ |
-番外編-
Im VIb V(IIb7の裏コードと考える) |Im ~ |
エモい進行の代表例ですね。これも考え方によってはセカンダリードミナント的かも。
ブルースから来た和音でもあるのでVIb7(ロクフラセブン)はIV7と共にブルージー7thとも表現されます。
教科書は教科書、あなたはあなた。
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