2018.1.8→2019.11.25更新
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ビートルズの不定調性コード進行研究
ほぼ全曲ビートルズのコード進行不定調性考察「Please Please Me」2(2017)
2,アスク・ミー・ホワイ - Ask Me Why
この曲は、IIIm7で終わる事がポイントですね。
IIIm7で終わる曲として覚えておきましょう。
さて、楽曲的にはEメジャーキーでできていますが、
0:03-
G#m7 |F#m7 |E | E |
G#m7 |F#m7 | E | G#7 |
C#m7 | % | Am7 | F#add9omit3 |
となっていて、IVm7であるAm7がクールに切なく浮かび上がり、三度のないF#add9omit3がギター的で、お洒落です。本来なら
C#m7 | % | F#m7 | B |
と流れそうなところですが、、安易にしないところがビートルズ。
「そこに行きそうで行かない」=ミスディレクションが好きみたい。
ビートルズは凝るバンド(ポールがまず凝り性)なので、ひと工夫もふた工夫もするのが好きなバンド。
このひと手間かけて装飾する感は日本人好みかもしれません。人によってはストーンズとかの方が感覚的で直感的でストレートで好きなのかな。
0:40-
C#m7|C#m7|Am7 |E |Eaug |A |
B7 |E |Eaug |A |
B7 |E | EM7 F#m7 |~
展開部のEaugも時代が感じられますが、お洒落です。
不定調性論ではこれは対称領域和音といって上下の五倍音から作ります。
対称性を持った美しい和音です、数理的?和音。
不定調性論が使うのは、この数理性のほうです。協和不協和は刷り込まれた先入観と個人の好みの組み合わせで様々な形態を持ち得るので、そういったことに左右されない方法論を作っておけば個人の好みでいくらでも活用できるのではないかと考えたからです。
また、ビートルズの大きな魅力はこの泥臭くて綺麗なコーラス。スキルの高さ。当時は叩き上げライブバンドが多かったので、コーラス力の高さは当たり前でした。
エンディングは、
AM7/E | E |AM7/E |G#m7 ||
となっていて、これまたお洒落です。
どこかそっけなくて、どこから淋しげで、どこかクールです。こういう和音の雰囲気の先にニューミュージックがあるのではないか、と思います。
3,プリーズ・プリーズ・ミー - Please Please Me
ジョン渾身の作ですが、これもメジャーコードの連鎖が起きています。
Aメロの頭 0:07-
Eb | % | Ab Eb |Gb Ab Bb |
というところと、
エンディングの、
Ab Bb || Eb Gb |B Bb7 |Eb ||
です。
すべてEbメジャーキーとEbマイナーキーのダイアトニックコードのメジャーコードが駆使されています。ビートルズ的な響き。
ジョンが、カバーではなくオリジナルで曲を出したい!という強い意向を会社側に示した作品。
信念て凄いなぁ、と思います。
メジャーコード連鎖は古きアメリカンロックから影響を受けたもので、ビートルズだけではありませんが、彼等の専売特許でもあります。
あとは、この短三度のメジャーコード連鎖にあなたが何を感じるか?です。攻撃性か、甘さか、強さか、尖りか、何でもいいです。
和音連結を機能性や先例に基づくのではなく、作者の音楽的直観に基づくのが不定調性論的な作曲方法です。