音楽教室運営奮闘記

不定調性論からの展開紀行~音楽と教育と経営と健康と

作曲と知識と直感と不定調性論とビートルズ~ペイパーバックライター

2017.12.23⇨2020.7.12更新

ビートルズの不定調性コード進行研究

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ほぼ全曲ビートルズのコード進行不定調性考察「Hey Jude」1(2017)

米国編集版の続きです。

 

ペイパーバック・ライター - Paperback Writer
この曲コードが二つしかありません。

open.spotify.com

G |% |% |% |% |% |% |% |
C |% |G |% |

 

メロディは、D音をセンターに置いて作ったようなかんじですので、
GからみるとGミクソリディアンモードの曲であり、メロディだけ見たら、Dドリアンの曲、って云ってもいいでしょう。

 

"「ペイパーバックライター」ってさぁ、(G)ミクソリディアンだよねぇ。。"

 とか言ってみたりしましょう。嫌われます。

 

この曲のメロディ音を取り出して、ピアノなどでGから並べてみてください。
G-A-B-C-D-E-F-G
という音階になります。

 

ということは、コードがCとGだから、
あ、なんだCメジャースケールじゃないの??と思うかもしれません。

でも終止和音はGなんです、というかフェードアウトですが。G一発です。

実はキーは別にどっちでもいいんです笑。

大事です、この「別にどっちでもいい」っていう落としどころ。

 

それを可能するのが不定調性論的思考です。

本人がそれで作れる!と確信したらそれでいいんです。理論的な落としどころがどこだろうが。

あ、学校では怒られるかもです。

 

そうやって弾いていたら、なんかメロディが浮かんで来て、いつの間にか歌になってしまった、、ポピュラーの作曲方法の初歩ですね。なんとなくできる人しかプロになれまません。なんとなくできる理由を説明したくて理論があるんです。

 

最初からなんとなくできるのに理論勉強するのは、魚に水泳選手の泳ぎ方を仕込もうとするようなものです。

そうではなく、魚が自分の泳ぎ方を極めるために古今東西の泳ぎ方全集(理論書?)を読んで、そこから自分なりの泳ぎ方を見つける、みたいな状況で初めて理論書が有用になります。

泳ぎたいから、と泳ぎ方全集を読むのは、野球上手くなるためにルールブック読むようなものです。

 

 

 

ためしにGのコードを弾きながら次の文章にメロディをつけて歌ってみてください。

俺の財布は空だぜ baby

 

ちょっとブルージーにしましたか?笑

でもそれって

ミクソリディアンを使いたかった、訳ではないでしょう?

なんとなく節をつけていませんか?理屈ではなくて。

 

それが作曲の初歩でもっとも重要なスキルです。

これができないと話にならない世界なんです。

 

例えば「できたメロディが普通のドレミファソラシドであった場合、シに当たる音が出てきたのなら、それをシ♭にする」とかという文言が「知識」です。

これで実際ミクソリディアンのメロディになりますからね。 

例えば、こんな風に作ったら、(コードはGです。)

f:id:terraxart:20171223174909j:plain

このメロディの中のf#をfにすれば、

f:id:terraxart:20171223175129p:plain

Gの上で歌えば、Gミクソリディアンになります。

 

でもこんなふうに作曲したいですか?

ビートルズがこういう風に作曲したと思いますか?

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この曲を、
例;
G7 |% |% |% |% |% |% |% |
C7 |% |G7 |% |
としてみてください。


これはブルースです。

 

でも完成したこの曲は全編7thコードではありません。

ひょっとすると「それだともろブルースだし、ビートルズじゃないから、普通のトライアドにした」
のかもしれません。

 

 

直感で作る、という作業の例を以前動画にしました。

www.youtube.com

この作業が淀みなく進むことで、最初は当てずっぽうでも、どんどん知識ではない別の感覚が鍛えられて行きます。

知識があっても曲はできないんです。

 

この直感、感覚性、行動力、動機、欲求の方を鍛えるのが先です。

 

 

====

この曲、2コードしかないのに、いろいろ考えさせる曲です。

この曲もインド音楽の影響がある、ということです。

インド音楽にビートルズが出会ったのは65年10月で、この曲は66年4月に録音されていますから、ありえないとは言えません(ビートルズは実しやかな風説が多い)。

インド音楽に興味を持ったのはジョージ、ジョンでしたから、ポール的には、wikiなどにあるように普通にブルース的な感じから入ったのかな、とも感じました。基本的にはポールの作のようですし。

 

コードが二つしかないのに、力強く進行していくメロディです。私はポール・マッカートニーという人は、コード進行に支配されない真に優れたメロディメーカーだと思っています。