音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

I am the walrusの機能和声分析とGood day sunshineの#9thとかからの展開(2017)★★★★

無謀なことにチャレンジしてみましょう。これができるのも不定調性論だけですので。   

<前置き-読み飛ばしてください->

ビートルズをコードアナライズしてください。

なんて先生に言ってはいけません。できないからです。

「できない」というのは、機能和声の範疇に収めようとすると、あることが起きるからです。その"あること"とは、

ビートルズをコードアナライズすると、コードアナライズによる楽曲分析の問題点しか浮きあがってこない

からです。

で、このコードアナライズの問題点とは、

ただ記号を当てているだけで、何の理解にもつながってはいない

ということです。

だって、ギター弾く人は、それがトニックコードか代理コードかが分かっても技術が向上するわけではありません。

エンジニアはそれが分かってもどのコンプを使えばいいのかイマイチ分かりません。

 

作曲する人は、いろんな転調構造で分析されても見れば見るほど、

これってただのメジャーコードの連続じゃね?

と思ってしまうでしょう、そして学習時はその最もシンプルな答えをタブー視して避けて通ります。そんなこと悟られては100万近く払ってもらっている専門学校はたまりません(真実なのに)。

 

その後に、パット・メセニーやチック・コリア、ホールズワースが学習分野として控えています。ビートルズを何とか凌いで、チック・コリアの「spain」までたどり着けば、ジャズ・フュージョンの学校としては御の字なわけです。

 

でも他人をいくら勉強しても自分の事は分かりません

あなたが明日から何をすればいいか、どこに自分の音楽があるのかまではこうした曲は教えてくれません。それは本当の勉強ではありません。

今日今から自分が何をしなければならないか常に把握できる状態にもっていくことが勉強です。

 

ビートルズが体系的に分析できるのは、不定調性論しかありません。

というのは言い過ぎでしょうが、少なくとも機能和声論以外の言語でビートルズを考えられる体系は現状これしかありません。他のセオリーもありますが、学習者が100%理解しているかどうかがあいまいです。不定調性論はそれを作った人が生きていて日本語をしゃべっているので、今後自在に変化活用・議論できる素材です。だからまだ「発展の余地」があるぶん、答えを設けやすくなっています。

 

でも普段、先生方は皆様それぞれの知識と経験で巧みにビートルズのポイントを教えておられることでしょう。

それをもっと大切に、ご自身で体系化なされればよいと思っています。ただし大変です。何が難しいって「体系化」です。私は20年かかりました。そのくらい厄介な思想的問題が目の前に立ちはだかります。自分の常識との戦いです。でも皆さんはもうそれをする必要はないんです。不定調性論、という方法論が体系化されているのですから、それを参考に「俺ならこうする」っていうのをまとめれば二週間ぐらいでベーシックな自分論はできるでしょう。私は皆さんの独立心が羽ばたくために20年かけたのだ、と勝手に思っています。

 

ビートルズはメロディ、歌詞、レコーディング、ミックス、プロモーション、あらゆるポイントを本来学習すべき偉大なアーティストです。あまりに偉大過ぎて、一人が人生で担当できるのはそのうち一つくらいしかないです。私はビートルズの学校での位置付けの迫害感をどうにかしたくて、その根本ともなっている和音の連鎖を不定調性論という考え方をもとに担当することにしました笑。勝手に。

 

 

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長い前置きでした。

■I am the walrus
イントロ
B   ||2/4 B  |B  A   | G  F  |E    |E7   |D  |D7   |
Aメロ
A  A/G |C   D E| A  A/G |C  |D  |A   |~

A'メロ
A  A/G | D   F G| A  A/G |F    |B  |B   |~

サビ
C |D   |E    |

これを1コーラスとして見ていきましょう。

まずはこれを機能和声的に考えてみましょう。なるべくシンプルに書きますね。

==無理くりアナライズ======

f:id:terraxart:20180712151342p:plain

最初オルガンがB△的ですが、サビ前に印象的なBがあります。本来このBとサビ後のBは異なるものと考えるべきですが、機能和声的に感じようとすると、このBと頭のBの質感の類似性を感じないではおれません(病気)。そこでこのBをII解釈してみると、全体がくっきりAで統一できます。最後にD7でc音=AメジャーキーとAマイナーキーがいかにも入れ替わる三度音cが登場するので、D7をSDmと考えられる解釈をしました。

これが上手に曲中のA始まりに繋がります。次。

 

f:id:terraxart:20180712142253p:plain

メロディがiv#音を持っています。ゆえに基調をリディアンにします、的に言ったらなんか音楽知ってるっぽいのでお勧めです。さらに陰謀論者なら実はここのキーはEメジャーである、とか言えたら、もう明日から音楽理論警察にマークされることでしょう。

なお、Cは本来マイナーキーのダイアトニックコードなのですが、昨今はAmに転調しました、みたいに書かないことが多いので、同主短調からの代理と理解できる、ぐらいの知識があれば良いかな、なんて思います。なので本来はIIIb(subTm)と書くのでしょうが、そこは忖度してください。つぎ。

f:id:terraxart:20180712152241p:plain

迷うとこですが、メロディにリディアン的な要素が残ったまま、同主短調和音をそれまでのパートに追随して使っています。こういうのは、関連させて使った、というよりも、意味を与えるために、使いまわした方が面白い、というような直観に従って類似性が出ている、と考えたほうが私には自然です。全体として統一感がありながら、イントロで指摘したVIbからのドッペルドミナントともいえるIIへの増四度進行が奇妙感を演出しててウォルラス感、マジカルミステリーツアー感爆発です。フレーズ的にはB7です。

二小節続けることでII7というよりもV7感、I7感が増します。ビートルズが後期よく使った、機能感を創出させていきたいところへ行けるようにしてしまう和音、の使い方です。

C  |Dm7  |G  |G   |G   |G   ||

とやたら最後のGを伸ばすとGが独立してしまい、Iに変えることができる人もおられるでしょう。ちょっと画期的過ぎて当時は誰も気が付かなかったんじゃないか、と思うほどです。というか「細かすぎて伝わらない画期的な技」的な凄さもありますね。

またkey=というところでKey Centerとしましたが、これ、最初からこう書けばよかった、的な感じもありますが、皆さん自由に解釈してください。

解釈のモードはがらりと変わっていきますが、使用音はモードが変わった感を感じさせません。こういうのはSteely Danに受け継がれてより変態的に使われてます。スティービーにしてもSteelyにしてもビートルズの解釈が天才過ぎて泣く。

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Bから半音上がったCはIIIbとというよりもIIb感、VIb感があろうかと思います。これも慣習の活用ですね。これでまた見事に2コーラスのAにつなげていきます。

だから、これVで1コーラスが終わってるんですよ。変わってますでしょ?

でも、もはや技法になってますよね。

曲が解決せずVで終わることで、「ああ!もうどーにもならん!」という気持ちになって、また2コーラス目にいくことで「今度は失敗すんなよ」感を聴き手に潜在的に当てます。そして1-2コーラスが意識の深いところでつながっているようにも感じさせます。まあ聴き手の自由です。

 ======

とかってできますよね。

 

実際こう分析できたとして、

「なあ、オレ、知ってるコードがいくつかあれば、いくらでも曲作れるぜ、だってコード弾いてりゃ、メロディが勝手に出てくるんだからね」

といわれたら、音楽分析は単に「機能和声言語への翻訳」にすぎず、ビートルズが語りたかった精神性とか技法とかを適切には伝えていないことになります。

「こんなふうに難しく曲を理解できなきゃいけないのか、ビートルズすげー」みたいになってしまいます。

 

違う考え方をしましょう。

"おはようございま~す!"

をメロディを付けて歌ってみて下さい。すぐできますよね。

「まーす」で音を上げますでしょ?笑

で。なんであげたの?理論で考えた結果上げたの?

それ、感覚でやってるでしょ?本来はその「自在に生み出されるあなたの感性」を鍛え上げるべきなんです。

あなたは最初から全部持っているんです。それを理論が摩滅させてしまうことがあります。たまにね。

 

じゃあ、I am the walrusのポイントは何か、というと

「知ってるコードで気持ちよく感じる流れを作っていく」

と考えてみてください。これ、

分かってたけど、それでいいのかな??

なんて思ってきませんでした?これまで。

オッカムのカミソリ、シンプルな答えが最も真理に近い、です。

 

難しいコード分析とかいろいろできますが。それはあなたの知恵ではありません。

不定調性論ではこうした同一和音の連鎖を「和声単位旋律」と呼びます。同じタイプの和声だけを並べていくことで「音楽的脈絡」をつくる方法です。その時の

「連鎖させる動機と脈絡」は、機能でもダイアトニックのくくりでもなく。あなたの感性のみです。ただし鍛え上げられていることが重要です。

スティービー・ワンダーなどは同じことをm7でやったりしています。

 

いや、そんな事であってはならない、もっとちゃんとしていなければならないはずだ。

 

と思い込みたいかもしれません。

 

<不定調性論的にみてみます?>

この曲、例えばイントロから作ったとしましょう。

その時Bコードから作った時、このBコードを「センターコード」と言います。

意識の真ん中に置かれるコードです。「さあ作るぞ!」っていうときに弾いた和音ですね。ここから自在に展開していきます。

B   ||2/4 B  |B  A   | G  F  |E    |E7   |D  |D7   |

Bから始めて全音ずつ下がっていきます。ギターなら2フレットずつ下にずらすだけです。このシンメトリー、パターン、を「模様感」などと呼びます。なんとなく不規則ではなく、規則があることで音楽的な脈絡や精神的バランスが保たれます。こういったことを頼りに自分だけの脈絡を作っていくわけです。同主調がどうこうとかをいちいち考えないわけです。

そしてFのあとEにいくのはギターがE♭を弾きづらかったから、かもしれませんよね。

これがピアノで作曲だったらE♭に行っていたかもしれませんね。行ったら行ったでまた別の音楽できるし。

 

Aメロ
A  A/G |C   D E| A  A/G |C  |D  |A   |~

A'メロ
A  A/G | D   F G| A  A/G |F    |B  |B   |~

A-A/Gは、最初A-Gだったかもしれませんね、またはA-A7。

イントロで全音ずつ降りてきて、歌い始めも全音下がるの、なんかマンネリじゃね?とあなたが思ったら、変えればいいんです。いや、この曲はひたすら全音下がりでいく!と決めたらそれでもかまいません。結果どのような思考をとってもA-A/Gが生まれたならそれがあなたの音楽的脈絡の結果なんです。

このときはAが意識の真ん中、センターコードになっているようにも思えます。

A'メロの最後にはF-Bという増四度進行が見られます。これは「ちょっとこの辺で、普段絶対行かないところ行って作ったろ」と思ったとしたら、どんなに理論が頑張ってもそれ以外に行かれてしまうのですから努力して自分を消し、正統に殉じても、オラしらね、という存在に力でカッさらわれることがあることも覚悟しましょう。

     

あとはコード進行のパターンが作る脈絡を知っていること。

A-A/GはI-I/VIIb

C-D-EはVIb-VIIb-I

D-E-AはIV-V-I

これらは様々なとこで見かける「機能和声進行の断片」です。

これが弾かれた時、ちゃんと印象をあてはめられれば、それは意味を持ちます。たとえば、

|:C   |C/Bb  |C   |C/Bb  :| テンポ130,ハネ

にあなたはどんな「印象」を感じますか?わたしは「青い空の空間」というイメージを持ちました。機能和声はこれを、

CはトニックのI、C/BbはI7の転回形、またはVIIb7(9,#11,13)のアッパーストラクチャートライアド。

 と解説した時、この説明、あなたの曲のいつ、どんな時に応用可能な説明だ、ということを述べていません。この進行が

「ふわっと浮いたような進行感」「固いどっしりとした基底部と、柔軟な上部の揺れ」とかって自分の言葉で理解できれば、この進行をラブソングの冒頭で使おうとしたら

"変わりそうで、何も変わらない毎日に"とかってメモ歌詞とメロディを作り、「あなたが現れたのだ」何てつなげる導入部かな?

とか

やっぱり「この進行はBメロで使って、あなたに出逢って、揺れ動き始めた私の心を表現する、みたいな感じかな!!」と理解できます。

そうなると、いつ使えばいいか、曲を作りながらインプットされていきます。

こういう感じでいろんな曲が持つ自分なりの解釈を理解するだけです。

 

そうすると、最初に述べた、

「だって、ギター弾く人は、それがトニックコードか代理コードかが分かっても技術が向上するわけない」

「エンジニアはそれが分かってもどのコンプを使えばいいのかイマイチ分からない」

というのもちょっと違ってきて、そういった雰囲気をこの進行が持つ、と分かれば、すこしAのコードをがっちり出して弾こう、とか、あいまいな雰囲気だからコンプはうすめにかけよう、とか「意志」が浮かんでくるので、やることが見えてきます。

 

最後に決めるのはあなたです。

 

 

■Good day sunshine

(参考)

gakufu.gakki.me

では、

「この進行が言っていることを私が理解する」

を利用して、下記の進行を分析してみて下さい。

B  | F#  |B  |F#   |E   |E7  |

good day~

 A   F#  |B    |E |A    |

I need ~

というところだけ。

「あっけらかんとした雰囲気」

「ピーカン!という感じ」

なんて感じます。みなさんはどうでしょう。

 

この青字のEのところでメロディが#9thでブルージーにぶつかります。これを知らないと歌いづらいということが分かります。

これも本来であればE7(#9)にしなくていいのかな?とか考えるかもしれません。そういうふうに捉えると音楽はどんどん普通になってしまいます。1曲ぐらいはイイですが、それが過ぎると結局自分の音楽が停滞してしまいます。

一度ルールを守る度に、野性が去勢されていくからです。

ピーカンなら、その雰囲気通り明るく理屈通りM3rdを使いそうですが、ここだけぶつけてちょっとブルージーにするあたりの思考がポールの天衣無縫さを感じます。いや、たぶん英語圏て、こういう音感が普通だと思います。日本だけなんじゃないか、と思うくらい。これが変だって感じるのは。調和求めすぎ?

バーンスタインがこの曲を賞賛した、なんて英語wikiに書いてあります。そうなったらもう誰もNG出せなくなるっていうのが洗脳社会の便利なところです。では同じことをあなたがやってもバーンスタインが褒めてくれないのはなぜでしょうか。「ここが一番大事なことです」(小声)。

 

またF#はVI度の感じ、を出しながらも決して「VIに行ったよ」という感じを与えません。わざわざ経過音を使って下がってきています"デデデデン"。まさに"I need to laugh"ですね。普通だと「これはVIに行ってるって分かる人は分かるだろう」とか考えて、そのままVIに行くことでしょう。

それはVI度和音という概念に拘束されています。

これはVI度の和音などではなく、"エッジ"になっているんです。この箇所、

 A    |B    |E |A    |

でも歌えます。デデデデン!!とF#に落とすことで、コミカルな感じ、陽気な展開感を与えています。そういう「役割を持ったコード」であって、

VI度に向かった

だけではない、と捉えます。これがコードアナライズの先の感性の話になるんですね。

 

ギター一本で演奏するとき、作曲するとき、ぜひありきたりな進行感をありきたりな指の習慣で弾くのではなく、そこにある雰囲気を感じてみて下さい。実はコードアナライズには、その先に感じるべき世界がある、ということが分かるのではないか、と思います。

 

そしてビートルズだから、と恐れず、どんどん自分なりに、彼らの感性を応用してみて下さい。

 

課題を上げるとしたら、簡単です。

 

C△  D△   E△  F△  G△  A△  B△

 

の七つのコードを使って曲を自由に書いてみよう。

です。

不定調性論の機能不必要性の意味がお分かりいただけると思います。