2017.11.27→2019.11.05更新
前回
今回はこの動画の解説です。
「調性」システムって、どんな数理構造の解釈なの?を説明しています。
この図は、調的システムは数理の枠組みであり、その使用範囲の限定も理に適った人工的な枠組みであり、同時にその拡張をどのような手順で取り組めばいいか、ということを表現しようとしています。
これは調性のある音楽と調性のない音楽を隔てているのは、あなた自身の意識だけの問題である、という点への理解が重要です。
これが拙論の調性の枠組み、「調向階段モデル」です。
調性の仕組みを視覚的モデルにしたものです。
そして今回の動画をまとめた図がこちらの「C△-Cmライン」の図です。
別にこれを理解しなくても構いません。今、みなさんが使っている現行の調性音楽へのアプローチが変わるわけではないからです。
リディアン・クロマチック・コンセプトは「リディアン」こそが主たるものである、という発想に力点を置き、それまでの調性音楽があたかも不完全であるかのように暗に指摘していました。
これにより人々は
「価値観を新たにして、不完全を完全なものにしなければならない」
というような考え方を強要されました。
時代は人種差別、社会的構造差別を乗り越え、エレクトロニカルな新しい時代に合わせて人の古い思考構造を新たにしなければならない、という意欲に満ちた時代であったからこそ生まれたパワーのある表現方法だったと思います。
ここで申し上げたいのは、価値の刷新ではなく、価値の多様化を認めよ、です。
そして価値の多様化を認めるためには、過去の価値がどのような形態を持っていたのか、もっと大きな目でみられなければならないということになります。
目の前にいる美しい女性が、唯一無二ではなく、世界には無数の素晴らしい女性がいる、というような発想に切り替えるのに似ています笑。
なかなか惚れ込んでしまうと難しいですが、まだ調性音楽という絶世の美女にぞっこんほれ込む前の若い方に、様々な世界中の美を探訪していただく必要がある、ということです。
いきなり教室で先生が「この子が一番美しい」と紹介してしまう前に、不定調性的思想やその他の音楽表現技法の紹介を責めて一時期平等に行うことによって、世界の様々な美しい姿を個人個人の価値観で判断して頂く時期を設ける、という意味です。
あなたが"美しい"と思う構造は、あなたにしか美しくない
当たり前です。
好きな異性のタイプの話と同じです。
新しい音楽をいかに機能和声のルールの中から新たに作り出すか、システム自体を作り出すか。
機能和声的な美しさでない、別の美があることを大人になると理解します。
田舎のおばちゃんの民謡が持つ力強さ、だったり
アフリカの民族が奏でる即興的なカリンバの響きへの郷愁だったり
海の波の音が自分を癒す力だったり、
生まれてくる子どもの心臓の音を初めて聞いたときの感動だったり、
これらは機能和声論に基づいていません。
そして「自分にとっての主流な音楽だとは思っていない」とも思っていたりします。
子供の声とポピュラーミュージックは違うものだ。と。
本当にそうでしょうか。それを分けてしまって、愛のなんたるかを音楽にできるのでしょうか?自分もろくにできませんが、根拠のない壁は作りたい性根なので。
あなたは自在に自分が感じる美の範囲を方法論内で拡張したかったんです。
私たち私塾もサポートをします。
その11