音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

破綻したコード進行が教えてくれること~ビートルズ楽曲topic★★★

ほぼ全曲ビートルズのコード進行不定調性考察(2017)「The Beatles」2

4、ワイルド・ハニー・パイ - Wild Honey Pi

   


G7 |F7 |E7 Eb7 |2/4 D7 |


「なんだぁ、俺たち、どんなコード進行でも曲ができちゃうねえ」
みたいな当時の彼らの声が聞こえてきそうな構造の曲ですね。
この曲の7thコードの降りてくる進行のこの雰囲気は私には「破綻」というような印象を受けます。「もうなんでもいいぜぇ、なんでもやってやるよ」という彼らの凄み。

 

たとえば、
G7 | B7 |E7 A7 |2/4D7 |
とします。

裏コードによる連鎖は、特殊だから、ちゃんとした五度進行にしました、となったところで、この曲は同じ雰囲気では歌えませんよね。

理論の整合性の先にある表現世界をロックも見つけたんです。近代音楽のしかめ面ではなく、ポップなものにしました。

もちろん「こうなったらこうなる」という"セオリー"はあるでしょうが、それ以上に大切なのは瞬間瞬間の判断です。

「あああ、オレはここでこうしてぇ!!!」

と思えるかどうか、ではないでしょうか。

「モーツァルトがこうしたのだから、正しいのはこっち」

と思うのが学習段階です。権威や最高の美を信じてしまう時期です。悪いことではありません。

でもいずれはそれ以上の未知で価値の分からない領域に、誰も踏み込んだことがない、あなただけの世界にいかなければなりません。先生でさえ迷う世界にあなたは進まなければいけません。


一般的にはいきなり誰も登ったことのない土星の山に登りに行く、と考える人はいない、と考えます。

まずエベレスト制覇してからだろ、と思うのが普通の感覚。

でもあなたの心は自由なはずです。

どこからどう登るか、自分できめなくてはなりません。

 

その道を選んだビートルズの凄みはやはり学ぶ価値があるように思います。

 

未知の領域に踏み込む時の武器が不定調性論的な作曲へのアプローチになれば幸いです。

もし皆さんの周囲で、「ビートルズのコードは訳分からない!」という方がいらっしゃったら、このブログをご紹介頂ければ幸いです。

 

訳が分からないうちは、音楽を理解はできません。訳は自分で構築しなければ理解はやってきません。あなたが理解できることをあなた以外が知っている、というのは幻想であると思います。

   

 

5、ザ・コンティニューイング・ストーリー・オブ・バンガロー・ビル - The Continuing Story of Bungalow Bill

サビはじまり
C G |C Fm |C G |2/4 G |
A E |A Dm |A Dm |E |
Aメロ
Am C |F G |Am C |F G |
E G |Am Fm | ~
このアルバム、なんだか2/4拍子が多いですね。
リズムによる実験です。
ジョンのリズムには結構変拍子的な感覚があるんですよね。

この進行では、IVmであるFmがCメジャーキーとAメジャーキーで転調して使われます。
さらにAメロでもIVmのFmがいい感じになっています。

このコードが持つ雰囲気を最大限に活用していますね。

この曲を作りながらでてきたFmの印象に感づき、作曲しながら、何度かちょっと挿してみる、というような印象論で作る方法が不定調性論的です。


あなたにとっての印象の活用法は自分で作らなければなりません。


私の印象の感じ方を読めば、

いや、そうは思わない、

と感じることがあるはずです。

じゃあ、あなたはどう思うか、です。

このブログ全体があなたの独自性を煽っているのかもしれません。

 

6、ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス - While My Guitar Gently Weeps
これも"掛留概念の拡張"ですね。いわゆる"クリシェ"です。
Am |Am/G |D/F# |FM7 |
Am G |D |E |
このアルバムではクリシェもかなり活用されているような印象を受けます。

全体に調性感がありますが、明らかにメロディとコードとベースが分離しているところが、このアルバムでのビートルズの挑戦の一つになっているように感じます。偶然かもしれませんが、コード進行が一つの楽器で完結せず、アンサンブル全体に拡張して成り立っていますね。複数の楽器でコード進行を奏でる、というのはイメージ力や経験が必要ですから、なんとなくその次のアルバムからの突き抜けたバンドサウンドを予感させます。

 

さて、クリシェ進行に皆さんはどんなイメージを持ちますか?

元はフランスのシャンソンで常用されたところから「常套手段」の意味で命名されていますが、その進行の持つ進行感は強烈です。

これをいかに一つの印象にしないか、がポイントではないでしょうか。

 

つまり「ああ、クリシェな」と思わない、ということです。

そんなこと無理だ、とおっしゃるかもしれませんが、この辺はスティービー・ワンダーが凄いです。もし宜しければM-Bankにお問い合わせいただければ無料で差し上げていますのでレポートをご覧ください。

 

その時、今の感情で、今の音色で感じるそのクリシェの進行感は一つ一つ違うはずです。それは実在の時間が常に刷新されているのと同じです。

これまでの機能和声的分析では

「はい、ここはAmのクリシェですね」

で分析終わり!!だったはずです。

 

だからその後作られるクリシェの印象がみんなチープになってしまったのだ。みんなそうしたインスタントの分析のためです。

ということを講師陣はよく理解しましょう。

あなたなりの教え方で結構ですから、この曲でのAmのクリシェの意味、感情、演奏の仕方、を熱く語ってください。

そうすれば「へぇ、なんだこの進行って他とおんなじだと思ってたけど、やっぱプロの人はもっと繊細に感じてるんだなあ、自分も見習おう」

って思ってくれるはず、です。そして10年後、素晴らしいミュージシャンがまた現れます。教育を怠る、というのは、実は、自分の望まない世界を自ら構築しているということであると思います。

 

皆さんなりの教え方で良いので、それぞれの響きの意味が違うことを伝えていきましょう。