2017.10.15→2020.2.4更新
その1からの続きです。
<下方倍音列って何?>
この逆の下方倍音列は、整数の逆数倍で現れる、と濱瀬先生の著書『ブルーノートと調性』等を筆頭に日本ジャズ界の最深部(笑)では知られています。
不定調性論は、基音が上部に現れるというところから発想を分岐して和声論を導いていますので、同書から生まれた方法論ではありますが、双方は異なる方法論と思って頂ければ幸いです。
(同著を専門的な学習される方は、必ず濱瀬講師のスクールで直接指導を仰いでください。)
ブルーノートと調性 インプロヴィゼーションと作曲のための基礎理論(CD付)
下方倍音の計算方法は上方倍音の逆です。
c3=261.6256の1/2倍音は、
261.6256÷2=130.8128
となります。
1/3倍音は、87.20853...となります。どんどん音が低くなっていくのですから、いずれは1以下の振動数になり、無音=無振動に限りなく近づきます。
逆に上方倍音列は、どこまでも計算できます。
ここでは仮にC4=1としてみましょう。
1=C4、1/2=C3、1/3=F2、1/4=C2、1/5=Ab1、1/6=F1、1/7=D1、1/8=C1
この音集合が下方倍音列、です。
この下方倍音は、自然現象として認知する、というよりも、数学的に、音楽的に活用する、というふうに理解された方が良いと思います(音楽理論研究家以外)。
なぜ下方倍音が存在しているか否かを問われたか、というと、機能和声論が自然倍音の自然発生性を重視していたからです。
しかしそれも過去のこと(19世紀)です。
現代はシンセサイザーがあるのです。どんな音だって音楽に使うことができます。
この下方倍音列の数理の存在も、あなたご自身の音楽を肯定できる素材になるでしょう。
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以下は独自論を含みます。
その3へ続きます。