音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

下方倍音列について_その3★★★★★

2017.10.15→2019.9.23更新

記事その1はこちら。

www.terrax.site

 

<上下の音の類別をどう扱うか>
Cの下方倍音列を第8倍音までピックアップし、同音を除くと、

C(1,1/2,1/4,1/8)-Ab(1/5)-F(1/3,1/6)-D(1/7)

となります。

   


9倍音以上は下方倍音列にも表れる音が混在してしまうために、より性格を分ける為に、不定調性論では8倍音までを用いて、類別を図りました。

このように、自然のあるがままの範囲を勝手に限定する発想を「反応領域の決定」という言い方をします。ここですでに個人的な差が出てきます。

これは一般課程を終えていれば、研究者でもない限りあとはそれらの学習内容をどう自分なりにアレンジして、自分の音楽のツールを作るだけが課題になるからです。人生の各場面では一般的真理が役に立たない時があります。ちょっと特殊な発想ですが、これにより機転を利かせ、自分で考え、独自性を育みます。

その代り、この枠組みは個人が決めたものなので、誰かの発想の参考にはなるにしても、その人にそのままあてはまるものには絶対にならない(奇跡的にその手法がぴったいあてはまる!!という人と出逢うかもしれないが)、というところが一般的な研究分野と違うところです。ご注意ください。

しかし、私自身の立場、研究者でも教育家でも制作一本の作家でもなく、なんなんだろ笑。

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これらのC-Ab-F-D各音の今度は上方倍音第8倍音までをピックアップし音程十二音名を並べてみます。
C-E-G-Bb
Ab-C-Eb-Gb(cが5倍音に)
F-A-C-Eb(cが3,6倍音に)
D-F#-A-C(cが7倍音に)
全てにCがありますね。当然です。cの振動数から割ってきたのですから。

つまり下方倍音列は、「基音を順々に発生する音の集合」ともいえるわけです。

それぞれが上方倍音の何番目にCを持つか、という音の集合になるわけです。これは自然倍音列とまったく異なる集合形態なわけです。

これはあくまでその数理を用いるだけで実音とは全く関係はありません。何かを類別するための判断の目安にするだけです。

だからあなたは、振動数の類別を別の組み方で選んでも良い、ということです。あなたが真に納得できる組み方を見つけてください。

 

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<近似値をどう扱うか>
一般に、7倍音は近似値であり、近似値として明記する、という伝統的発想?があります。
私は12音の音楽を扱う上でのこれは最初の壁だと感じました。

そこで、あらゆる音を12のピッチクラスに納めていけば、振動数が1違おうが8違おうが、同じ音名である、というデフォルトとする、というピッチクラスの考え方に同調します。
その詳細は教材の第6章にて。

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次の表を見てください。

f:id:terraxart:20171015134541p:plain

 

これは、基音cに対して、上下の八倍音までの配列と、それをさらに実音化した場合に想定できる音の関係を表したものです。色を塗ったセルが左に表記された該当音で、その他の音はそれぞれの上下の倍音関係を書ける範囲で書きだしたものです。

たとえば、cとeを同時に弾いたとしましょう。

すると従来の発想を転用すれば、cとeから上方倍音が発せられることになりますね。
cの上方倍音、c,e,g,a#(簡易表記)
で、下方倍音も鳴らせられる、と仮定すれば、
cの下方倍音、c,f,g#,d(簡易表記)
で同様に、
eの上方倍音、e,g#,b,d(簡易表記)
eの下方倍音、e,a,c,f#(簡易表記)

これらがもし本当に現実世界と耳の中で鳴っているとしたら、少なくとも私には識別できず、クオリアのレベルで、なんとなくの印象を述べる以外できません。

あぁ、豊かな音色だなあぁ、
とか
あぁ、なんか昼下がりの草原みたいだなぁ、
とか。音が鳴ったときの倍音存在の含有状態(音色)に対する表現です。

 

途中の「理論的に何が起きているか」をすっ飛ばします。その「何が起きているか」という点は教材の1-3章に詳しく書きました。

動画シリーズでも言及していきます。

www.terrax.site

 

では、倍音列を見てください。eの上方倍音にg#があります。そしてcの下方倍音にg#があります。振動数は微妙に異なりますので、特定はできますが、人が聴いて、g#が聞こえたら、これはcの下方倍音ではなく、eの上方倍音だ、そっちの方が良く聞こえるはずだ、と言ったとします。いや、eの存在によって、cの下方倍音g#が耳の中で強化されて聞こえるのだ!
と言ったとします。

私はこうした議論が、作品制作にこれから向かわねばならない人たちにとっては無駄に思えました。このように他者と折衝しなければならない過程をすっ飛ばせる方法はないか、と考えました。

この辺りは実際のプロの研究にお任せしたいわけです。

そこで、上下八倍音までを一つの基音が発せられるグループとして決め、音集合を拡張するグループとし、単純な組み合わせから複雑な組み合わせまでを自在に作れるようにしました。

これにより機能和声や伝統和声に従わずに済むので、自分の感覚を優先できます。

 

そこからいろいろ発見できます。

cの上方八倍音まではc,e,g,a#です。
で、
dの下方八倍音まではd,g,a#,eです。

そうなんです。近似値として12区分してしまうと発生音名が被ってしまうんです。
本来は微分音ですから異なる、と解釈してもいのですが、不定調性論のデフォルトでは平均律で考えます。

面白いですよね。倍音関係が互いに補完しているというフォルムが。
これを「完全結合領域」と教材では紹介しています。

こうやって、12音の相互関係を作ると、シェーンベルクやバルトークが作った12音の配置図のようなものができます。不定調性論にも十二音連関表、というのがありますが、先生方とは違う理由で作っていますので、ご確認ください。

     


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こうして12音がキャラクターである八倍音までのグループ分けで決まると、さまざまな関連性、様々な和音などが自分の意思で自在に作れます。三度堆積和音も、四度和音も、二度和音も、神秘和音も、クラスターも、ひじで鍵盤を叩いた和音も方法論で作ることができます。自分のやり方で何でもできると精神的な安定を得ます笑。

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教材では、「CG問題」として書いていますが、
CにとってのGの立場、GにとってのCの立場を平等にしました。
Cにとっての3倍音g、Gにとっての1/3倍音cという相互関係です。
低音優先で考えれば、Cが中心音、このブログでもおなじみな、高音優先の原理を考えれば、Gが中心になります。基音ではありません、中心音です。この中心は自然が決めるのではなく、あなたが音楽の中で決めればよいのです。

こうした「伝統的知性に頼らなくても、自分で解釈できる」ということが何より楽になります。

もちろんその日を境に、誰もサポートしてくれる人はいなくなります笑。

だって、あなたそれあなたの勝手で生きる、って決めたんですからね、ってことですから笑。

 

しかしこうして基音という地平線を取り払った拙論の和音の解釈も音楽のイメージも広がっていきました。


たとえば、Fmadd9
これは構成音は、F,Ab,C,Gです。
つまり基音をCとした時の下方倍音F,Ab,CとCの上方倍音Gを合体させている、という発想が可能になるわけです。これはこの体系では自由に解釈できますから、他の作り方でも同じ和音を作ることもできます。痛快です。

それゆえに音楽は流れの中で異なる表情をするのだ、そしてその表情は、各々の声部配置の展開の差異によって生まれるものであり、それゆえに12音しかないのに、豊かな響きがするのだ、としました。

これによって「和音がなぜ存在するのか」ということもその人なりのモデルで考えることができるのではないでしょうか。

 

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微分音高への考えはこの先になります。
FmM7(9)なんてFm+C△ですから、意外と意味深い和音ですよね。
でもこの和音、下方倍音だと解釈して「響かない」とか「変」だとはもはや思わないと思います。この和音には「この和音の響きがある」、とその印象=音楽のクオリアを認知する方向に考え方を進める事で、一般的にどうだ、と杞憂することなく、「自分はこうなのだ」となり、すぐに作業に取り掛かれる、ということです。

独自論をやっている人よりプロ研究者の方が多いだろうし、一般教養の普及のほうが圧倒的なわけですから私やあなたの独自論がメジャーになることなど考えられません。安心して実際の研究の結果を横目で見つつ、いつでも自分の体系を修正しながら、自分の作品制作に邁進しましょう。

このブログでは「読書感想文」として様々な参考図書を読んでは、それぞれの記事に反映させています。もうプロ研究者さん、ルポライターさんにめちゃくちゃ感謝です。

 

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話は変わってブルーノートはどうでしょう。これは、
C△のときにEbを用いることのできる感覚をブルースが作り、それが意外とカッコ良かったので、何とか機能和声理論的な解釈で組み込めないものだろうか、というところから発展した問題です。
この問題は倍音とは関係がないのですが、これらの音を同じ方法論で用いるために同様に考えてみましょう。

基音Cなら、
上方領域に、C,E,G,Bbですね。さらにCを発する音(つまり下方領域音)、F,Ab,Dです。そしてこれらのF,Ab,Dの上方音を全て並べてみます。
F-A-C-Eb
Ab-C-Eb-Gb
D-F#-A-C
すると、ブルーノートのEb,F#,Bbはじめ、C#とDb以外全て出てしまいます。

あとはこれらの領域のどこまでを用いるかを作曲者、演奏者が判断します(反応領域の決定)。

C△ |C△ |C△ |C△ |

において、Cを中心にしたスケールで各領域の基音だけなら、
C-D-E-F-G-Ab-Bbですし、五度音まで用いると、
C-D-Eb-E-F-G-A-Ab-Bbですし、外縁部の三度音まで用いると、
C-D-Eb-E-F-F#-G-A-Ab-Bbとなります。

またCとFだけに絞れば、
C-Eb-E-F-G-A-Bb

となります。これは一般のブルーノートの考え方ではありません。
しかしこうした一つの考え方から、機能和声の意義も、民族音楽的な音も、自分の決めた体系で生み出せることが、不定調性論の特徴です。最初はバラバラだったジャンル、思想、音楽を一旦全ての考え方をフラットに戻して、もう一度作りなおすと、自然とこうした音が自分の中にも入りこんでくるわけです。

 

12音の新たな主観的な限定的拡張利用の考え方を、機能和声論の先の理解として、皆さまの思考のプラグインの一つとして、拙論の考え方が参考になれば幸いです。