2017.10.8→2019.10.28更新
前回
動画3本目の解説補足です。
人は音に限らず、感覚器官を用いて感じた感覚に対して、何らかの心象を感じます。
目で見た風景に対する感情、聞こえる声、音に対する反応、嗅覚、触覚。夢、記憶。
音楽は特に「音楽っぽいものと認識できるものを聞くと沸き起こる心象」のようなものがあろうかと思います。
そもそも音楽に「意味」などありません。
勇気をもってこれを許せば、すっとします。
あなたが不協和だな、と思ったら、音を変えるでしょうし、なんかつまらないな、と思ったら破棄するでしょう。
「私は良くないと思うが、機械はこれが正しいというのでこれに従う」のであれば、人は必要ありません。
人は傲慢なので自分の感じる正しさを優先します。
もしあなたが「みんなは良くないっていうけど、自分はいいと思う」という感情を捨て、社会的価値だけを追い求め自分にはわからない価値観だけを勉強していく人間しか存在しなくなったらそれこそ機械がその役割を担うでしょう。
価値観は統一されてはいけません。
不定調性論は、あなたが美しいと思うなら、それを信じよ、としてます。
これは大変危険な思想です。まかり間違えば犯罪を認める思想です。
だから学習者はより一層理論的学習と、伝統への理解・責任を感じられる資質が必要です。
それを踏まえた上で自分の感覚を信じる、という訓練を行いたいものですね。
同じバッハの曲を聴いても、印象は一人ひとり違うでしょう。
もちろん「あなたの感想や印象表現よりも優れた意見」が存在するように見えます。(有名人の評価は一般人の評価よりも高い、としてしまう)。
ときには「君はこんなことも知らないのだから音楽をやめたほうがいい」と言われるかもしれません。
否定されても自分の感覚を信じる、というのは非常に難しいです。でも社会は権威と価値の秩序を保つために自然とそう強いてきます。これが怖いことです。
10年後誰も覚えていない議論で否定された人が一生それを引きずる、というのは無意味です。
そのためには普段から、自分を信じる責任を痛感して活動をしていくしかないと感じます。
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オクターブレンジ
基音の振動数を列挙していくと、上記のようにオクターブを刻む音名に割り振られます。
これらは基音の振動数×整数倍なので、上記のように倍数的に書き表すこともできます。1c=基音、2c=1c×2の振動数を持つ音、です。
つまり12音は、ある基音から全て生み出せる、ということもできるわけです。
そこでそれぞれオクターブで区切られる部分をそれぞれレンジ1、レンジ2と名前をつけておきます。
これらの出現音と、分割される状態を不定調性論では音楽を考える基本的な要素にしていきます。
この中で基音以外に初めて現れる音が五度音ですが、下記のように音程が分割されます。
基音cがg音によって分割される時、完全五度と完全四度が出現します。
同様にレンジ3では、C-E-G-Bbが現れ、完全五度と、完全四度を分割する音が出現します。さらにレンジ4では、倍音列音階とも言える集合が現れます。
そしてそこから先は自分で作り出すべきもの、とします。
自分の音楽理論を扱うプログラムは自分で作るべきもの、です。
不定調性論は、既存の伝統的思想に順応しながら独自解釈の集合論を作り、既存の価値観と行ったり来たりしながら自在に自分が作りたい音楽を作るための思考モデルです。
自分感覚と伝統基準をどのように組み合わせるかのプログラムは自分で作らないと。
元来独自論は「これまでの考え方は間違っている、私のやり方こそが正しい」という宣伝手法で顧客を獲得しようとしてきました。
しかし方法論はそれを作った人、または洗脳された人にしか通じません。
b9thの響きや美しさをまずしっかり覚え、その後で、いつそれを使い、いつそれを裏切るかを判断できるような直感を鍛えることで、はじめて知識が独自の武器になると思います。
理論的正当を植え付けるために、個人の考えを否定するのは洗脳です。
本人がどのような可能性を秘めているのかもわからずとりあえずメジャーな考え方を優先して受け入れさせるのも洗脳です。
その個人の一生を面倒見れるならそれでもよいのかもしれませんが。
あなたがその音に対してどう感じるか、なぜそう感じたか、ということを不定調性論に切り込んでいく前にじっくり考えて頂ければ幸いです。
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その4