音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

M-Bankスティービー・ワンダーレポートの出典です★★★

彼の楽曲には、

①クリシェ

②無謀な転調

③軽度な不定調性進行の乱立

④急に地味な和声展開、とってつけたような和声展開を用いる

が特徴的に見られます。

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たとえば①ですが、クリシェとは、

C-CM7-C7-C6

などとコードの構成音が少しずつ変化していきます。これはまるで遠くから聞こえる音がどんどん近付いてくるように、手で物を触って少しずつ物体の全体像を把握するように、曇りだった天気が少しずつ何らかの変化で雨が降り、少しずつその音が変化していく、という、非視覚的な感覚に呼応するのではないか、という考え方をしました。


そしてそのコード構成音が少しずつ変化していく様、というのは③の不定調性進行にも該当します。

CM7- C#m7(b5)-Dm7/G-Fm7/G(これは今私が作りました)

といった進行感などは、クリシェ感の応用という方面から考える事ができ、また

Gsus4-G-F#sus4-F#-Fsus4-F-Esus4-E~(Don't You Worry Bout Thing的な)

というような進行も、同様な音楽的脈絡を持っていると考える事も出来ます。平行移動や、下降進行の多くを用いるスティービーの音楽的感覚の拠り所を、こうした彼の世界に対する知覚手順、知覚感覚に似ているのではないか、という考え方をしました。

また②の無謀な転調ですが、スティービーのコード使用には、まるでさっきまで海の景色だったのが、突然山の頂上に行くような、はたまたさっきまで恋愛物の映画だったのが急にニュース番組にかわってしまうような、極端な変化を感じることがあります。しかし、これも視覚的要素で変化した物に対する発想だとすると、スティービーは景色という存在を、もっと自分の精神的反応と密接に関わるもっと別の感覚で把握しているのではないか、と考えると、私から見て「がらりと変わりすぎ」の雰囲気も、彼にとっては普通で、ジェットコースターに乗っているような転調も、彼にとっては一つの変化と同じ、という理解なのではないか、ということです。


もしこの世界の景色が見えないとすれば、どのように把握しているのか。彼なりの世界把握の感覚がそのまま音に翻訳されてあのような音楽になっているのではないか、と思います。


そして最後の④、彼が中心になってから書きはじたアルバム10枚ぐらいやっている間、これが一番不思議でした。

"え、なんでサビがこんなに凝ってるのに、こんな普通のII-Vで無理やりもどるの?"

とか

"それ、いくらなんでも取ってつけた感じじゃん"

と正直思うレベルです。

     

 

スティービーは、人間に肩書きをつけず、ひとりの人間として接していく世界、という価値観をもっている、と読みました。もしそうであるなら、自分が音楽を作る時、優れた物を作らなければならない、とか、一定のレベルに達したものを作らなければならない、という価値観で音楽をやっていないのではないか、と感じました。

こういう展開で、こういう技法を使ってきたのだから、最後もこういう技法でしっかりまとめなければバランスが取れない、なんて発想ではなく、彼の音楽が流れるままに、まるでおもちゃで遊んでほおり投げては壊し、また友達から意地悪してとりあげたり、そんな彼の少年時代の性格そのまんまだなあ、と感じます。純粋に楽しく真剣に遊んでいるような、そんな音楽の遊びを感じます。


はじめはメインストリートに立ったでっかい摩天楼のようなビル、がスティービー・ワンダーの音楽のイメージでしたが、どちらかというと、メインストリートのど真ん中にある昔ながらのお茶屋さん、というイメージに変わりました。しかし数百年続いたようなお茶屋の風格があります。

学ぶべきことがたくさんあり、遊び心があり、その店主の心のままに作られた一杯の音楽、という印象です。

 


『スティービー・ワンダーの和声構造~非視覚的クオリアを活用した作曲技法』

お役に立つかどうかはわかりませんが、必要な方に届くことを願って告知させていただきます。

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長い目で見てやってください。

どうぞ、宜しくお願い致します。

 <参考文献>

 

■スティーブ・ロッダー著 大田黒泰之訳 ブルースインターアクションズ『スティービー・ワンダー ある天才の伝説』(2006)
■三浦憲 著 立風書房『スティービー・ワンダー我が半生の記録―冷たい鏡の中に生きて』(1976)
■デニス・ラヴ&ステイシー・ブラウン著 丸山聡美訳 東京書籍 『盲目の信念』(2003)
■ウインスロップ・サージェント著 湯川新訳 りぶらりあ選書『ジャズ―熱い混血の音楽』(1990)
■穴澤雄介 著 株式会社KADOKAWA『見えなくなったら、希望が見えた-盲目の音楽家が教える!「逆転」のための授業28-』 (2014)
■和波その子 著 音楽之友社 母と子のシンフォニー-盲目のヴァイオリニスト和波孝禧を育てた母の手記-(1991第10版-1977-)
■下重 暁子 著 集英社文庫『鋼の女―最後の瞽女・小林ハル』(2003)
■梯剛之 著 株式会社角角川書店 いつも僕のなかは光(2005)
■川畠成道 著 株式会社集英社 耳を澄ませば世界は広がる(2011)
■高橋竹山 著 株式会社 新書館『自伝津軽三味線ひとり旅』 (1997)