音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

和音の印象について考える~独自感覚の発見(2017-2019)★★

2017.9.13-2019.9.9更新

昨今SNSの進化によって、音楽も独自論の発信が増えてまいりました。

各位が自分の「印象論」「方法論」を自在に"発明"できるようになることが、本来の音楽理論の最終目的です。そしてそれを他者に強要しないこと、それによって同時に他者の方法論を認めてあげることもできます。方法論に迷わなければ、あとは作り続けられます。

不定調性論の考え方、体系は「これから自分の音楽を作る人が、独自方法論を作るための参考になる方法論」でありたいと思っています。

 

独自論はその名の通り、作成者個人にしか通じません。それが理論としてある程度浸透するためには膨大な精査と一般化が必要で、提唱者が生きているうちにはなかなか難しいです。日本の和声学などは極めて特殊な事例でしょう。

しかし音楽家は、それらの一般化を待っている余裕はありません。自分でやり方を見つけ、楽曲を作っていかなければなりません。その際に有効なのはやはり「自分にとってしっくりくるやり方」を持っているかどうかです。

私にとっての不定調性論ですね。

皆さん一人ひとりにもあります。それぞれが似ているようで、実はそれぞれが個性的な発想や手法を持っているはずです。そこに振り切ってしまえば、迷うことはありません。野犬が野生で生きるのに迷わない、ということに似ているのかな?餌が取れず飢え死にしたりはあるかもです笑(あのまま人に飼われていれば良かった的な後悔をするのかな?)。

 

音楽に対する感覚は、本来自分だけのものです。

あなたが聴いた感覚をあなた以外とリアルタイムで完全に共有できる人などいません。

ここが難しいです。

30人がいて自分の感覚だけがその他全員と違っていても、自分の感覚を信じることが出来ますか?

 

はじめは、音楽の価値観は他者から学習します。

しかし本来はあなたが好きと思える音楽には「範囲」や「型」がある程度あります。

他者と全てが同じのはずがありません。

よく考えれば分かる事です。でも普段はなぜか「共感」を探して求めてしまいます。

自分で自己を確立するのは勇気がいります。 

すごい勇気が。つたない私の例を挙げれば、

「不定調性論によって音楽を作ります!」と宣言し、様々な伝統的手法や派閥を離れ、一人でやっていく、みたいなことを想像してみてください。「バカじゃないの?(笑)」と言われます笑。それにそれは「とても恥ずかしいことだ、高慢だ、無知だ」と必ず言われます。伝統的なやり方がしっかりしかも無数にあるのに、それらを飛び越え自分で方法論を作るなど何たる無礼だ、恥ずかしくないの?君が思いつく程度な事、絶対誰か先にやって失敗して残っていないだけだよ、等と誰でも瞬間的に察知しますが想いにして言葉にするほどの価値はないので誰もそれを進言したりもしません(しかし一定以上の知識を持つ教授陣になると、こうした独自論は大切なので頑張りなさい、と助言くださいます。自分にはそれが励みです)。

普段は上記のような感情を人が持つために、無名な独自論は「無視」されます。致し方のない差別、という表現をします。これは差別されていたほうが社会にとって無難である、という社会全体の発想を反映していると思います。そもそも精査されていない以上、それが役立つかどうか試さないことにはわからないし、他者が試すことなど何のメリットもないのが新規独自論です。

自分でやるしかありません。

 

それでも自分にとってこのやり方は奇跡なんです。

こんなに音楽って楽しくて、やり易いんだ!!!

って思います。後はこれを一生続けられるか?です。根拠も保証もありません。

死ぬまで磨いていき、良い発想や記録が後輩たちに残せれば良いな、と考えています。

 

不定調性論の可能性をシンプルに感じて頂くためにこの記事を作りました。

   

 

和音の印象を創造してみる

CM7

bloguitarCM7(flashを有効にしてください。)

リンク先の「♪」マークをクリックすると音が鳴るヨ!


この和音、単品で弾くと、どんなイメージを感じますか?

下記は私が考えた印象ですが、
「さわやか」「洗練的」「都会的」「すずやか」「さみしげ」「白色的」

皆さんも音楽的感性のある方は、いろいろなクオリアを感じると思います。


では、

CM7 |AbM7 |EbM7 |GM7 |

rechord.cc(↑こちらで音が聴けます)

(もし速い!という場合は、

f:id:terraxart:20190920192853p:plain

リンク先の操作画面で、テンポ数を下げて聴いてみてください。上の「piano」のところで音色とかも変えられるよ!セルフサービスですみません。)

というコードの流れには、どんな"感じ"を得ますか?

「うーん、微妙だなあ」

でしょうか。それとも

「あぁ、これは春のさわやかな風だね」

とぱっと印象が決められるでしょうか。

不定調性論は、後者のような人のためにある方法論です。

これは最初は、無理くり感じようとしないとなかなか出てきません。逆にこれが出来れば、街のノイズにさえ「郷愁」を感じてしまうことができます。

普段は「美意識は美しい音楽で感じるべきものだ」というフィルターを創っているので、ノイズから美しさなど感じる必要はない、と勝手に決め込んでいるので感じないだけです。

 


Cm7

こちらで音が鳴らせます。

これはどうでしょう。先のCM7と比べると、
「さみしげ」「だんまり」「ひとり」「すきま風」「秋」
ちょっと淋しいイメージが多いでしょうか。

何でも感じたままを書いてみたりしてください。「真夏!」って思う人がいてもいいと思います。サーフミュージックではテレキャスギターでCmガギョーン!で常夏!ですしね。

しかし、これを並べると、

Cm7--Ebm7--Bm7--C#m7→最後にもう一回Cm7 

rechord.cc


どうでしょう。

淋しい、というよりも「淡々とした冷静さ」とか「面倒くさい焦り」とか、より具体的な感覚になる方もおられるでしょう。まず何より悲しさとかは無くなります。というか変質します。

もちろん最初は「何か茶色っぽい印象」とか「何も浮かんでこないけどモヤモヤした感じ」というような印象でもOKです。

まず音を聴いて、何かを感じること、それが不定調性論では重要になり、それが音楽理論を超えた個人らしさを生み出すと同時に、「もっと真剣に音楽理論を勉強しよう」と思えたり、音楽性を研ぎ澄ます自分なりの方法の発見につながります。

なぜそう感じるかを脳科学に求めるのではなく、そう感じる自分を認め、それだけを動機に音楽をやります(そうすれば制作作業に移れる)。あなたは十分に他者の方法論を勉強してきました。これからは自分がどういう感覚を持った人間かを学べばいいと思います。あなたは自分の体と脳と意識の機能についてまだ何も知りません。教わっていないはずです。

それを知る手掛かりを、こうして外部刺激から生まれる感情を通して"識る"わけです。

トニック、ドミナントという感覚はF.リーマンらが作った独自論の体系の名残りです。

あなたがそれに全て賛同する必要もなく、そもそも100%の受諾は難しいです。あなたとリーマンは人種も、生まれた時代も環境も思想も全て異なるからです。あなたはやはり自分で自分を知ろうとしないと、自分が今からその和音から次にどこに行きたいかを知ることができません。

 

     

 

Cm7(11)

こちらで音を鳴らしてみてね!


いわゆるテンションコードですね。

一般的なそういう呼び名で考えてしまうと、なんだか硬いイメージがしますが、この和音は、大変柔らかいです。
「雨上がり」「静かな午後」「しっとり」「思い過ごし」「忘却的」
とか。

どことなく空虚感がありながらも、暖かい感覚を残してくれると感じます。

m7だから暗い、ということはなく、この時点で私はコード理論から自分なりに感じることを改めて洗い出して並べ直す必要を感じました。
 

Cdim(M7)

音はこちらで!
クリスタルコードですね。島岡譲先生の門下生の皆様にはおなじみです。ジャジーなサウンドですが、バッハの時代から使われているそうです。
どんなイメージですか?

「近代音楽的」「コンテンポラリージャズ的」「解決しない疑問」「水銀の味」
まさにきらきらとしたクリスタル、ですね。

2014年3月の音楽理論研究会発表では、これを「台座からずれた墓石」という印象を堂々と宣言し、ちょっとへんてこな小楽曲を作りました。当然島岡先生、青木先生以外ちょっと白い目で見られました笑。先生方はある種の理解を示してくださいました。

 

当時はこれが共感覚的知覚であり個人のみの感覚だ、ということを知らずにいたので、堂々と、これこそが和音の感じ方だ!!とか言ってましたから、その点は恥ずかしいです。笑。

 

===

不定調性論では、どんな和音にも、情感がある、と考え、和音の機能で連鎖するのではなく、それらの連鎖された印象を感じ取り、音を探していきます。だから既存の機能感を一切伴わず、連鎖感を作れます。その代り調からの逸脱がすぐ起きるので、「調性を定めず」というこの名がついています。

こういう感じです。

www.youtube.com

これは音だけを聴いて作っています。声部の組み合わせはあまり見ません。それをしっかり見ていくとただ、伝統的な音楽になるだけで、美しいけど自分の響きではありません。このアレンジは自分にとっても最もしっくりくる響きです。

(上記アレンジ解説記事)

当然機能和声的な経験も避けず、II-V感が欲しい時はそのまま使います。その代り前後の流れで変に調性音楽価値の自動流用にならないように、ただ通過せず、印象をさらにきわどいところまで一音一音詰めていきます。ヴェロシティやタイミングも詳細に設定します。DAWでしかできない新しい現代音楽です。

 

======

たとえば、メロディ音にc音があったとしましょう。
そしてそれらのcの音を下記、それぞれの和音の一番高い音(トップノート)において弾いてみてください。ただあなたはcを弾いていれば良いだけです。

「ドードードードー」ってずっと同じ音でみて歌ってください。

C△-Cm-Csus4-Caug-Cdim-CM7-Cm7-CmM7-C7-Cm7(b5)-B7(b9)-BbM7(9)-Bbm7(9)-A7(#9)-Am7-AbM7-Ab7-G7sus4-F#M7(#11)-FM7-Fm7-E7(b13)-EbM7(13)-Ebm6-D7-Dm7-C#M7

同じcでもこれだけの音色を背後に備えることができるわけです。

これと同じことが島岡先生の「総合和声」にも載っていたので感銘を受けました。

rechord.cc

 

そうなると、和音が示すのは「調」ではなく「無限の響き」であり、和声進行は「コード進行」ではなく、「響きの連鎖」であり「響きが作る言語」です。そう考えると、一般学習的に分析しようとするのではなく、自分だけの印象や序列が見えてきませんか?

 

では

問;「寒々とした灰色の空の湿り気」を和音四つで表現してみてください。

 

どうでしょう。例えば、私なら、


CM7(b5) |Bm7(11) |A7sus4 |Db7(#9) | 

はどうでしょう。

rechord.cc

どう作ったか、というと、最初のCM7(b5)はなんとなく楽器を持って直感的に置いただけです。あとはイメージと照合しながら、CM7(b5)からのヴォイスリーディイングを展開するだけです。だから最初の和音は別にこれでなくても良かったんです。今作ったらまた違うでしょう。


さてメロディ乗せる必要ありますか?
これだけでなんか湿り気を感じちゃう人は、旋律乗せる必要がないかもしれません。

私そういうタイプ。和音だけでいいんです笑。。これじゃ普通の作曲なんて労力多すぎて、興味が無くなっちゃいますね。困ったものです。

これが発展すると、景色とか、感情だけにも同じような「印象」を感じるので、音楽すら要らなくなります。ポップスと現代音楽的思想との境目が無くなります。『4:33』は響きだらけ、そしていつも違う響きだらけ。

 

ただ、それを聴いて自分がどう感じるかを受け入れる作業です。こんなこと誰も許可してくれなかったし、進めなかったし、最初は戸惑うでしょう。

真の自由とは実に恐ろしいものです。基本他者との関係を断ち切らないと自分の意見など持てません。いかに社会的人生に準ずることが生ぬるいか感じるでしょう。

小学校の時、クラシックを聴いて「つまんね、サッカーしてー」と思ったことはありませんか?そう、それを肯定してあげるんです。そして挙手して先生に言います。

「先生、すみません、サッカーがしたいです」

これが不定調性論的な主張です(そのかわり誰も同調圧力から賛同しない笑)。ある意味で社会を乱します。ゆえにこの手の輩は無視されていることに甘んじることのほうが社会のため、です。この辺でテロを行うか行わないかは個人の性格に準ずるところでしょう。私はのんびり過ごしたいので、特に今のままで良いです。

社会的タブーかもしれませんが、自分が思うままに感じることを自分に許していく、というのは、自分を発見することそのもので、がっかりしたりもしますが、学校で教えてくれないことが多く、大変興奮もします。背徳の美かも。現代はインターネットでどんなタブーも見られる、という時代のシンギュラリティの結果、不定調性論的思考も普通になってしまいました。

でもそのおかげで、上のDanny Boyみたいなアレンジがスラスラとできます。三日ぐらいで作ってます。

 

皆さんがこの記事をどうとらえるかは分かりませんが、自分の欲望を反社会的な行為に昇華せず、創造活動にしていけば特に排除はされません。そこだけは工夫だと思います。安易に欲望の発散に走れば、それは排除されます。考えて考えて、自分が残せる「方法論」一緒に模索しましょう。

もちろん普通のポップスが好き、という気持ちも、本当にそうなら、それでいいと思うのです。何よりそれなら教材は社会に揃っています。不定調性論的思考は一歩間違えば反社会的思想に繋がります。そういう人が自分の音楽的方法論を模索できるようにこのブログは存在しています。ご自身が所属したい立ち位置を上手に見つけてください。

あなたの最左翼に不定調性論を置いておいてください。

 

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