音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

和音の印象と進行感について考える~独自感覚の再起動

2017.9.13-2019.9.9更新

自分の方法論をまとめるのは意外と大変です。

不定調性論も独自論の一つですが、方法論作成の参考になればとても嬉しく思います。

 

自分は作曲しているときと方法論を考えているときは脳が全く違う感じを覚えます。

だから作曲しているときの脳でも扱える方法論が必要だと思い至りました。そのため

「音の印象を自分の言葉感で語ることで理解・展開する」というやり方を不定調性論は提唱しています。音楽理論研究会などでも発表してまいりました。

www.youtube.com

こちらの動画で、実際に作っている感じも出せるようになりました。

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重要だと思うことを書きます。

・あなたが聴いた感覚をあなた以外とリアルタイムで完全に共有できる人はいない。

・和音に進行感があるのは、和音が内部でそう感じるような動きをしているのではなく、あなたがその和声の動きに対して、そう感じているだけに過ぎない。 

 

分析時は違います。音が静的になるのでいかようにでも音の流れを冷静に分析できます。しかし作曲者側はそのようにロジックを感じて作っていないとするならば、その分析方法はあなた自身があなたのロジックの中で曲を観察したい、と思っているだけに過ぎなくなります。

ある意味でこれが音楽理論と作曲活動に剥離を生みました。

 

理論的思考だけでは曲は豊かに作れません。

そこで論理よりも「脳」というスーパーコンピューターを起動させるような状態を方法論化することはできないだろうかと考えました。

そこで不定調性論は音楽理解のニュアンスを作曲者の作曲時の脳の状態を意識させる方法をイメージしました。

例えば、フェスで盛り上がってモッシュ状態にいるお客さんは和音の声部の動きを分析的に感じてはいないでしょう(推測)。もっとエキサイティングな音の動きを抽象的にとらえ、体が先に動いている(音の律動に反応する脳機能があることは証明されている)、とするなら、そのありのままのモッシュ思考を体感/分析できる方法のほうが実感に近い分析、といえます。

 

作曲家も、このシンセの音色がエキサイティングだ!とか、このビートは腹にくる!とか、そういうことを感じて音楽を作ったりする時があります。

理屈ではなく、そういう雰囲気がお客さんを盛り上げることを直観的に知るから、その音を使うわけです(この音への翻訳作業をも才能ではありますが)。

だから私は、

頭の中で和音の機能を感じるのではなく、頭の中でお客さんと一体化してモッシュしている感覚を思い出した時に・・・それを感じて旋律が思い浮かぶような作曲方法論を具体化したかったわけです。

 

不定調性論は「機能和声論」ではなく、創作者の感性のための「心象連環論」でありたいと思っています。

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改めまして。

 

音楽に対する感覚は、自分だけのものです。

 

でも最初は受け入れるのは難しいです。

30人いて自分の感覚だけがその他全員と違っていても、自分の感覚を信じることが出来ますか?

 

初期学習時は「音楽の価値観」を他者から学習します(学校音楽)。

しかしあなたが好きと思える音楽は、母親の胎内にいる頃から音を感じ、細胞にその音を刻みながら形成されています。

不定調性論はあなたに残る"あなた自身"をもう一度揺り起こすための方法論です。

 

あなたと他者と全てが同じのはずがありません。でも普段はなぜか「共感」を探して求めてしまいます。


自分で自己を確立するのは勇気が要るんですね。

 

自分にとって不定調性論的思考の発見は奇跡でした。

こんなに音楽って楽しくて、やり易いんだ!!!

って今も思います。

   

 

早速その感覚を感じてみましょう。

和音の印象を創造してみる

CM7

bloguitarCM7(flashを有効にしてください。)

リンク先の「♪」マークをクリックすると音が鳴ります。


この和音、単品で弾くと、どんなイメージを感じますか?

下記は私が考えた印象ですが、
「さわやか」「洗練的」「都会的」「すずやか」「さみしげ」「白色的」

音楽的感性のある方は、いろいろなクオリアを感じると思います。

このように音現象がなんらかの言語的表現になるきっかけとなる心象を「音楽的なクオリア」と言います。不定調性論は音楽学習の前にこの音楽的なクオリアの表現力を鍛えていきます。こうやって音の意味を把握できれば、続く和音も、その印象だけで展開できます。機能や調の知識がいらなくなります。


では、

CM7 |AbM7 |EbM7 |GM7 |

rechord.cc(↑こちらで音が聴けます)

(もし速い!という場合は、

f:id:terraxart:20190920192853p:plain

リンク先の操作画面で、テンポ数を下げて聴いてみてください。上の「piano」のところで音色とかも変えられるよ!セルフサービスですみません。)

というコードの流れには、どんな"感じ"を得ますか?

「うーん、微妙だなあ、別に何も感じないね」

でしょうか。それとも

「あぁ、これは春のさわやかな風だね」

とぱっと印象が決められるでしょうか。

不定調性論は、より後者のような人のためにある方法論です。

これは最初は、無理くり感じようとしないとなかなか出てきません。逆にこれが出来れば、街のノイズにさえ「郷愁」を感じてしまうことができます。そしてそれを音楽に使おう、というアイディアになります。


普段は「自分が学んだ美意識は、世に言う美しい音楽でこそ感じるべきものだ」というフィルターを作らされているので、ノイズから美しさなど感じる必要はない、と勝手に決め込んでいるので感じないだけです。

 


Cm7

こちらで音が鳴らせます。

これはどうでしょう。先のCM7と比べると、
「さみしげ」「だんまり」「ひとり」「すきま風」「秋」
ちょっと淋しいイメージが多いでしょうか。

何でも感じたままを書いてみたりしてください。「真夏!」って思う人がいてもいいと思います。サーフミュージックではテレキャスギターでCmガギョーン!で常夏!でしたしね。

しかし、これを並べると、

Cm7--Ebm7--Bm7--C#m7→最後にもう一回Cm7 

rechord.cc


どうでしょう。

淋しい、というよりも「淡々とした冷静さ」とか「面倒くさい焦り」とか、より具体的な感覚の混じった状態になる方もおられるでしょう。まず何より悲しさとかは無くなります。というか変質します。

もちろん最初は「何か茶色っぽい印象」とか「何も浮かんでこないけどモヤモヤした感じ」というような印象でもOKです。言葉にできなくても具体的になんらかのクオリア=質感、を強く感じればOKです。それが先々「音楽する動機」となります。

まず音を聴いて、何かを感じること、それが不定調性論では重要になり、それが個人らしさを生み出すと同時に、「もっと真剣に先人の音楽理論を勉強しよう」と思えたり、音楽性を研ぎ澄ます自分なりの方法の発見につながります。音楽理論はむしろそうやって自己の感覚を一般的概念で補うために学習されるべきです。

なぜそう感じるかを脳科学に求めず、そう感じる自分を率直に認め、それを動機に音楽をやります(そうすればすぐ制作作業に移れる)。あなたは十分に他者の方法論を勉強してきました。これからは自分がどういう感覚を持った人間かを学べばいいと思います。あなたは自分の体と脳と意識の機能についてまだ何も知りません。何より他人からあなた自身のことは教わっていないはずです。

あなた自身を知る手掛かりを、こうして外部刺激から生まれる感情を通して"識る"わけです。

トニック、ドミナントという感覚はF.リーマンらが作った独自論の体系の名残りです。既存音楽理論もまた、誰かの独自論なのです。

 

あなたがそれに全て賛同する必要はなく、そもそも100%の受諾は難しいです。あなたとリーマンは人種も、生まれた時代も環境も思想も全て異なるからです。

あなたはやはり自分で自分を知ろうとしないと、自分が今からその和音から次にどこに行きたいかを知ることができないのです。

 

     

 

Cm7(11)

こちらで音を鳴らしてみてね!


いわゆるテンションコードです。そう言うとなんだか硬いイメージがしますが、この和音は、大変柔らかいです。
「雨上がり」「静かな午後」「しっとり」「思い過ごし」「忘却的」
とか。

どことなく空虚感がありながらも、暖かい感覚を残してくれると感じます。

m7だから暗い、ということはありません。

あなたもあなたなりに感じたことを描いてください。私と違えば違うほど面白いです笑。
 

Cdim(M7)

音はこちらで
クリスタルコードですね。島岡譲先生の門下生の皆様にはおなじみです。ジャジーなサウンドですが、バッハの時代から使われているそうです。
どんなイメージですか?

「近代音楽的」「コンテンポラリージャズ的」「解決しない疑問」「水銀の味」
まさにきらきらとしたクリスタル、ですね。

2014年3月の音楽理論研究会発表では、これを「台座からずれた墓石」という印象を堂々と宣言し、ちょっとへんてこな小楽曲を作りました。当然島岡先生、青木先生以外ちょっと白い目で見られました笑。

 

当時はこれが共感覚的知覚であり個人のみの感覚だ、ということを知らずにいたので、堂々と、これこそが和音の感じ方だ!!とか言ってましたから、その点は恥ずかしいです。笑。

 

===

不定調性論では、どんな和音にも、情感がある、と考えて意味を積極的に構築します。

結果として既存の機能感を一切伴わず、連鎖を作れます。

その代り調からの逸脱がすぐ起きるので、「調性を定めず」という「不定調性」と言う名前がついています。

これは私のための独自論なんです。

あなたもあなたが作りたい音楽がバンバン作れる独自論があったら嬉しくないですか??そして、そんなもの作ってはいけない、存在するわけない、なんて思っていませんか?

 

具体例は例えばこういう感じです。

www.youtube.com

これは音の流れだけを聴いて作っています。

もちろん直感的にここは◯7だ、IIb7thだ、みたいな感覚が出てきたらそれを採用しています(上記アレンジ解説記事)。

 

普段の音楽のように考えてしまうと、美しいけど自分の響きではありません。

細身のサイズのスタイルの良い服を着ても、あなたの体に合わなければ明日には壊疽しています。

あなたにはあなたに合うサイズがあるはずです。

 

それを自分で探すのは楽しいですよ?

 

そしてそれが売れる音楽であった人は「あたり!」です。

逆に上記のようなアレンジが自分にとっても最もしっくりくる響き、と知った時は絶望でした笑。でも見つけたんです。自分がしっくりくるやり方を。だから受け入れました。

 

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たとえば、メロディ音にc音があったとしましょう。
そしてそれらのcの音をそれぞれの和音の一番高い音(トップノート)において弾いてみてください。ただあなたはcを弾いていれば良いです。

「ドードードードー」ってずっと同じ音でみて歌ってください。

C△-Cm-Csus4-Caug-Cdim-CM7-Cm7-CmM7-C7-Cm7(b5)-B7(b9)-BbM7(9)-Bbm7(9)-A7(#9)-Am7-AbM7-Ab7-G7sus4-F#M7(#11)-FM7-Fm7-E7(b13)-EbM7(13)-Ebm6-D7-Dm7-C#M7

同じcでもこれだけの音色を背後に備えることができるわけです。

これと同じことが島岡先生の「総合和声」にも載っていた(p464下)ので感銘を受けました。

rechord.cc

 

そうなると、この音楽が示すのは「響きの連鎖」であり「響きが作る言語」です。

そう考えると、一般学習的に分析しようとするのではなく、自分だけの印象や序列を紐解くしか解読の糸口はありません。

 

では

問;「寒々とした灰色の空の湿り気」を和音四つで表現してみてください。

 

どうでしょう。例えば、私なら、


CM7(b5) |Bm7(11) |A7sus4 |Db7(#9) | 

とかかな。

rechord.cc

どう作ったか、というと、最初のCM7(b5)はなんとなく楽器を持って直感的に置いただけです。あとはイメージと照合しながら、CM7(b5)からのヴォイスリーディングを展開しただけです(8分間隔で和音を一つ一つ選んで行った)。だから最初の和音は別にこれでなくても良かったんです。そして、私にとっては和音だけでももう十分に音楽です

 

その先にやっぱり普通のポップスが一番好き!となればそれでいいと思うのです。

あなたの最左翼に不定調性論を置いておいてください。

 

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