音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

122."Nevermind" 1 / Nirvana★★★

2017-09-06→2019-8-26(更新)

大きな商業的成功を収めた二枚目「Nevermind」を題材に、同バンドの使用したコード感が持つ意味を当ブログの趣旨に沿って考えてみましょう。

   

まず結論です。
■ビートルズ楽曲には一部怪しい雰囲気を放っていた楽曲群がある。これらの楽曲が持っていたの「不可思議さ」「厭世感」「けだるさ」「焦燥感」は、全く違う方向性からニルヴァーナの音楽的背景、カートの人生観によって拡張され、音楽表現化された。

 

■この和声進行(それに伴う楽曲全体の雰囲気)が持つ厭世観に特化したようなコード進行を、ビートルズはサージェントペパーズにおいて、「不可思議な世界観」「非現実的な空気感」として完成させたが、ニルヴァーナはひたすら破滅的な世界への表現を加速させ、音楽が表現しうる負の理想郷ともいうべき限界値を一枚のアルバムで作り上げてしまった。

 

というところでしょうか。

このアルバム、

 

ネヴァーマインド<デラックス・エディション> 


結果的にカートは若い死に至ってしまいましたが、決して希望を捨てていた、とか音楽によって殺されたとか、短絡的に考えず、彼が演じきった”カート・コベイン”を創造的に解釈してみました。

 

★なお今回はノーマルチューニングのギターでコピーしています。キー表記などに差異があるかもしれません。

 

1曲目"Smells Like Teen Spirit"
このリフはパワーコード的でもあるのですが、メジャーコード表記もできるでしょう。

F5 Bb5 |Ab5 Db5|


です。
F=Iとすると、Bb=IV、Ab=IIIb、Db=VIbですから、FメジャーキーとFマイナーキーのダイアトニックを行ったり来たりしている、と考える事もできます。だとすると本来は、


Fm Bbm |Ab Db |


とならなければなりません。でもこれでそのまま弾くと変ですよね。

そこで三度を消すパワーコードが効力を持ってくるわけです。


この曲の進行は、ベースだけで成り立ちます。三度による性格付けを必要としません。
 

例えばこれを、
F Bb |Ab Db |
としましょう。すべてメジャーコードとして弾いてみてください。

これを商業的成功につなげたバンドのひとつがビートルズでしょう。

 

このリフの長三和音による、ポップさを打ち消しているのが、F→Bb→Abという長二度、短三度を含んだ移動です。
これもビートルズをはじめR&Bミュージシャンが活用する平行移動による進行です。

C |Eb |F |G Ab |
という和声進行に、皆さんはどんな雰囲気を感じますか?
疾走感ですか?
堂々さですか?
ロック的な感じ、ですか?


カートはこうした進行が「カッコ良さ」とか「行き詰まった感じ」とか「もうどうでもいいや的な退廃感」、自分が日頃感じている言葉にできない感情感を表現できる、と感じたから用いたのではないか、とここで推測してみましょう。これは共感覚的知覚です。音と感情を強烈にリンクさせることができなければこれから示すようなコード進行を"採用"しようと思わないでしょう。


これから12曲見ていくわけですが、リフが示す切実なまでのその不安定な退廃感はとても長く聴いていられるようなものではなく強烈です。

どこか人のあきらめ、不満、焦りを延々聞かされているような心持ちになります。

(ならない人もいます)

 「人生をリセットしたい」という厭世観をどうやってサウンドにするか、が不幸にも実現できてしまった男。カート・コベイン、27才、ショットガンで自殺(1994)。

 

このアルバム、13曲ありますが、暗さを象徴するあからさまなマイナーコードはアルバムの最後の曲まで出てきません。これも不可思議な気持ちにさせます。

その2に続きます。

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