できるだけ実用的なジャズ理論問題集
スマホで調べれば何でも調べられる時代に、スケールの名前とか憶えて試験に出しても意味がないんです。それよりもスマホがなくてもその知識をどうやって持ち歩くかというテクノロジーを考えることのほうが時代に沿っていると思います。
この記事の一番下にあります。隠してやってみてね。
Q1.「このギターは、倍音が良く出てる」とかよく言うけど、そもそも「倍音」てなんですか?倍音が含まれるとなんで豊かな音、っていうの?
Q2.もうちょっとアタックほしいなぁ、とか言われたりするけど、この手の話題を包括する「音の四つのエンベローブ」って何?(ヒント「立ち上がり」とかのことです。)
Q3.「平均律」と「純正律」とかっていうけど、素人にはどうでもいいことに思えますが、なんか違いがあるんですか?
Q4三つの短音階(マイナースケール)は言えますか?
Q5.Cの曲を全音上げたいから、Dにしていい?ところでもちろんDメジャースケールは弾ける?
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<解説>
今は生徒の方がよく理論を知ってるなんてざらですから怖いですよね。
さらに「弾け」って言われるとまた違うスキルが要ります。
覚えたら、楽器に応用し、作曲でDTMに活かせないと実用的な能力になりません。
さて答え合わせをしましょう。
Q1.
<解答>ドという音を弾いたとき、実際にはドの音の振動数の整数倍の高い音が同時に含まれて、おおざっぱにいうとそれにより「響き」「音色」が作られています。この「整数倍の高い音」を並べたのが自然倍音列で、含まれる音の割合は部屋の形とか振動音源の条件とか様々な要因で変化します。
だから「倍音が良く出てる」というよりも「いい響きだ」ってフツーに言えばいいじゃん、という感じです笑。
よほどシンセサイザーの専門家か音響技術者でもない限り、どの程度倍音が含まれているかの含有具合を正確に識別はできないでしょう。だから逆に、問題文のようなことを言われたら、「何倍音がどの程度ふくまれてるか分かるんですか!?」って質問してお勉強させて頂きましょう笑。
あまり語ってくる場合「録音してEQの波形を見れば何倍音が出てるか、とか分かりますよ、確認のために録音してみていいですか?」と変化球を投げましょう。
Q2.
<解答>アタック(発音時の勢い、立ち上がり)、ディケイ(減衰、アタックが消えサスティンの状況に辿り着くまでの減衰の事)、サスティン(音の伸び、アタックの後に来る伸びの部分ですね)、リリース(余韻、音を切った後に残響として残る鳴り)のことです。頭文字をとってA-D-S-Rですね。通信回線の名前みたいですね。シンセなどを扱う人にとっては重要な概念ですが、ギターやベース、ドラムなども耳が肥えてくると、すごく気になります。コンプやリミッター、マキシマイザーやゲートなどで音のエンベロープをコントロールできるようになったら一人前です。それらのサウンドがいかに全体と混じるか、グルーヴと混じるか、混じらないとすれば何が原因なのか分からないと対策の打ちようがありません。また適切にそれが分かる人はちょっと只者じゃないと思いましょう笑。シンセまたはDAWのソフトシンセの画面を見ながら、四つの値を動かしてみたり、レコーディングでエンジニアの画面ひたすら凝視して感覚を覚えていくといろいろな場面で活用できるはずです。
これも主に感覚の話であり、また波形でみたら結構個人差があって喧嘩になる、つまり
結局は好き嫌い
の話なので、事前に良く学習した上で、先輩が明らかにアタックが弱く、サスティンが細いのに、なんかこっちの音がデカイとか言われてこっちの音を絞ったら全体が細くなるので、勇気を出して「あ、全然関係ないんですけど、このエキサイター使ってみてください、めっちゃ先輩の音に合うと思うんです!」といって先輩のアタックを上げてあげましょう。ネタです。
Q3.
<解答>
純正律 - Wikipedia 平均律 - Wikipedia
例えば「綺麗に響くけど一つのキーでしか使えないのが純正律。」「純正律よりは濁るけど、一回チューニングしたらどんなキーでも弾きまくれるのが平均律。いちいち24本のギター持ち歩きたくないでしょ?だから合理性を優先して追求した平均値を取った調律が平均律」とかです。実際昔のトランペッターとかは大変だったそうですね。
でも人がアカペラで歌うときは、より綺麗なハーモニーを作ろうとして純正律に近づくので、アカペラハーモニーが綺麗な理由はそういうところもあります。
Q4
<解答>
まず中身をしっかり説明できるようにしておきましょう。口に出す必要はありません。
1、自然的短音階=ナチュラルマイナースケール(ミラシが♭)
※ドレミファソラシドをラから始めると自然にできるのでこの名。
2、和声的短音階=ハーモニックマイナースケール(ミラが♭)※短調のV7という和音を作るために作った短調V7用音階。「和音的短音階」って言える状況もあるのかな、なんて思ったり。和声と和音は違います笑。
3、旋律的短音階=メロディックマイナースケール(ミが♭)※ドレミファソラシドのミだけフラットにするとできます。和声的短音階のラ♭とシの増二度間を修正して詰めて旋律の中で用いた音階。増二度は野蛮だ、野蛮人の音程だ、みたいな思想が宗教界の遠い昔にあったための修正で、現代人は別にそんなこと思わないと思いますから、この三つの使い分け、現代人は意味が分からなくて当然なんです。
また、これらも弾けてアドリブで使えないと意味ないです。3は特にジャズのオルタードスケール等に展開していきます。
音階を覚えるのは五十音を覚えることと同じ。五十音覚えても日本語はしゃべれません。音階覚えても音楽はできません笑。
Q5.
<解答>d-e-f#-g-a-b-c#
チャーリー・パーカーの頃から使われるイジワル移調攻撃初級です。対応できないものは死あるのみ、です。
楽譜ではシャープ2つのキーです。
これこそ楽器で練習しないと弾けない案件です。Dメジャースケールをいくら知っていても楽器のポジションに置き換えられ、それを弾けなければ意味がありません。
DAWやシンセでは、トランスポーズという機能がありますから、最近はこれも必要ないかもしれませんね。
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