音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

32, 12の練習曲 op.10-1(和音の流れが演奏法を教えてくれる?)/ Chopin

F.ショパンの不定調性進行分析

32, 12の練習曲 op.10-1 / Fryderyk Franciszek Chopin

 

 


作曲初心者の方を読書はじめたて、みたいなイメージで考えると、これまで漫画だけで十分読書を楽しんでいたところに、ついに小説や随筆の面白さを知っちゃった!ような気分、が近代音楽の読解にはあるように感じます。


12の練習曲 op10-1

 

アシュケナージです。

 

でもとても表層的な理解の話ですので、ご了承ください。

 

ちょっと先に結論を書きますと、
「練習したくなる練習曲」
「強弱、テンポ、表現が旋律と和音の中にしっかり表現されている練習曲」
という魅力がある、と感じました。

 

楽器の練習は、やっぱり練習したくなる要素が詰まっている曲がいいですよね!


op10.-1

C |C |FM7 |F#m7(b5) |G /F# /E|D |G7sus4(b9) |G G(b13)|
C |C |F/A |F#m7(b5)/A |Gsus4 |G |
Cadd9 |C |FM7/A |Bdim Bdim/A|E7/G# |Am Am/G |FM7 |F7(b5) |Amadd9/E |E |
A7 |D7sus4(9) D7 |G7sus4 |G7 |C7 |Cm7(b5)/Gb |F7 |Abm/Cb |Bb 7(b5) |A |A |
D7 |G7sus4 |CM7 |FM7 |Bm7(b5) |Em7 Am7 |Dm7 G7 |CM7 FM7 |Bm7(b5) |B7 |
E |E G7/D |
C |C |F |F#m7(b5) |G /F# /E|D7 |
G7sus4(b9) |G7 G(b13) |C |C |F/A |F#m7(b5)/A Adim7 Ab7|Gsus4 |G |
D7/F# |F7 F7(b5) |E |E |Dm7 |G7 |C C7 |Cdim7 Ddim7 |C |Ebm7(b5)/G Ebdim7/G |
G7sus4(b9) |G7 |C |C |C ||

 

ハ長調、1830年作曲とされています。

 

時は、徳川 家斉(江戸幕府の第11代征夷大将軍)の頃なり。

 

ポピュラー系の方は、和音の流れだけでもコード進行だと思って、各自の解釈で一度弾いてみてください。

ハ長調ですが、いきなりf#が出てくるあたりがアグレッシブです。
リディアン??的ですね。

 

C |C |FM7 |F#m7(b5) |G /F# /E|D |G7sus4(b9) |G G(b13)|

におけるF#m7(b5)はFM7とGをつなぐ経過和音的な役割を果たしています。


「経過的」というと、どこかすごく「ついで」みたいなイメージがありますが、これがあるのと無いのとでは、ぜんぜんメッセージが異なりますよね!


FM7のfを半音上げるとF#m7(b5)になります。こんな単純な作業でも、和声の繋がりは印象深くなります。


FM7からF#m7(b5)に移行すると、ステップを一段上がるような、ふわっとしたものがきゅっと締められるような印象を持ちました。気持ちが上がっていく分、練習への心のアクセルもぎゅっと踏まれる感じです。

 

続くG7sus4(b9)、これが美しく香り立つような流れを作ります。


力が入ってしまいそうだけど、ここはふわっと抜いて!みたいなメッセージが聞こえてきてしまいます。

 

AD

   

   

 

そしてG(b13)は続くCに向けての経過音d#を持ちd-d#-eと流れます。

Cadd9 |C |FM7/A |Bdim Bdim/A|E7/G# |Am Am/G |FM7 |F7(b5) |Amadd9/E |E |

ここもまさに「コードネームシステムでない良さ」がでてます。


Cadd9→Cは、とても意味がある流れを覚えます。軽い解決進行のような穏やかな流れを感じます。またFM7-F7(b5)も同様です(こちらは崩れる方への流れ、です)。それぞれの構成音への流れにそれぞれ感情と演奏を対応させていかなければならないはずで、イメージわかないぐらい難しそうです。

 

FM7-F7(b5)-Esus4-Eは滝の水がスローモーションのように落ちてくる感じ、次にその理由が次に示されます。

 

A7 |D7sus4(9) D7 |G7sus4 |G7 |C7 |Cm7(b5)/Gb |F7 |Abm/Cb |Bb 7(b5) |A |A |


「実はこういう理由なんですよ。」と語っているようですが、夢を見ているようなかんじなので、どんな理由なのかは良く聞き取れません。でもなんとなくsus4の連鎖の細かい動きがA△に帰着するまで続く感じの中でレスポンスが行われているような感じがします。


こうした情感を解釈することで、強弱や、その"音楽の流れの意味"を自然に指に覚えさせる効果があったりするような気がして、なんか分からないけど凄い表現力であることはわかります。

 

A7-D7-C7-C7-F7-Bb7-Aなんてまさにジャズな流れですね。B7は裏コードです。

 

今度は一気にまくしたてるような進行が続きます。

D7 |G7sus4 |CM7 |FM7 |Bm7(b5) |Em7 Am7 |Dm7 G7 |CM7 FM7 |Bm7(b5) |B7 |

「きっと、その理由を聞いたら、僕も納得する、そんな理由なんだろうな」と思わされる美しい流れです。そしてBm7(b5)-B7が新鮮です。そして主題部分に戻ります。

 

「僕は最初から、そう言ってるじゃないか」
そう言わんばかりの主題。力強いです。きっと最初よりも力強く弾いてしまいそう。

 

最初はただ弾かされている感じでも、この部分まで来て、意味を知って、外部にこの曲の意図を積極的に発信するような思いで指使いで弾け、と言われているようです。

 

もはや練習曲じゃない。普通にただただ美しい、と感じます。

C---|FM7-F#m7(b5)-|G-D-|G7sus4(b9)-G,G(b13)|
C---|F-F#m7(b5)-|Gsus4-G-|
Cadd9--C--|FM7-Bm7(b5)-|

E7-Am,Am7|FM7-F7(b5)-|Esus4-E-|
A7-D7sus4(9),D7|G7sus4-G7-|
C7-Cm7(b5)-|F7-Fm7(b5)-|Bb 7(b5)-A-|
D7-G7sus4-|CM7-FM7-|Bm7(b5)-Em7,Am7|Dm7,G7,CM7,FM7|
Bm7(b5)-B7-|E--G7|
C---|F-F#m7(b5)-|

G-D7-|G7sus4(b9)-G7,G(b13)|
C---|F-F#m7(b5),Adim7*Ab7|Gsus4-G-|
D7-F7,F7(b5)|E---|Dm7-G7-|C,C7,Cdim7,Ddim7|

C-Ebm7(b5)/G,Ebdim7/G|G7sus4(b9)-G7-|C---|C---||

セクションを勝手に分けてみました。

====
この楽曲の"エンディング"を見てみましょう。


Dm7-G7-|C,C7,Cdim7,Ddim7|C-Ebm7(b5)/G,Ebdim7/G|
G7sus4(b9)-G7-|C---|C---||

 

長いII-V解釈とにも見えてきます。
普通のIV-V-Iを、華美な比喩をいくつも用って表現するような、そんな豊かさな語彙の表現力によってエンディングを創り出しています。


このCdim7-Ddim7-Cは、Cへのダブルリゾルブのようです。もう一度振りかぶって!という感じでcの音に半音上下から解決しています。

 

先人達の技、ただ技法として真似するのではなく、不定調性論的に、その和音の意味、表現されている内容を汲み取って、それらの響き、雰囲気を皆さまの楽曲に取り入れてみてはいかがでしょうか。

====
バッハやベートーヴェンにしても、コードネームで書き表せない和音がありますし、ちょっと勉強だと思って、響きの豊かな楽曲を、ポピュラー的な観点から見てみると、なんか突然彼らの音楽性を知って、曲を作られる人は素直に尊敬できるのではないか、と。

 

私はクラシックは全くわからないので、上記はあくまでご参考まで。
ショパンの楽譜は下記にて見られますから、


http://imslp.org/wiki/Etudes,_Op.10_(Chopin,_Fr%C3%A9d%C3%A9ric)


ご興味のある方は研究してみていただければ、と思います。

 

また実際のショパンの演奏解釈については、必ず専門の先生について学んでください。