音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

All The Things You Areにアナライズ記号を書いてみると見えてくる問題

記号形式ができたところで(教材収録)、実際のアナライズをやってみましょう。

 ここであぶり出す問題は「アナライズの学習にはどのような問題が隠れており、どのように対処すべきかを自分で考えること」についてです。

 お題はAll The Things You Areです。

 

 

 

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Bud Powell - All the things you are

<キーは何か?>

この曲のメロディを弾いてみてください。明るいですか?暗いですか?

もうこれだけで意見が分かれますね。私は程よく暗いと思います。だからマイナーキーで考えています。ここでもう「あ、それ違う」とあなたがどこまでお考えになっても、私はこの曲は明るい曲だとは思えません。だからマイナーキーで書きます。

 

アナライズは自分で理解を推し進めるために書くものです。アイディアメモみたいなものです。それは人に見せないでしょう?そのくらいプライベートなものだと思います。

 

すらすらと書けるようになれば、記号なんぞ何でもよいですし、自分なりに構造把握ができればよいです。

 

構造を書くと、

<section1>

Fm7 |Bbm7 |Eb7 |AbM7 |DbM7 |Dm7 G7 |CM7 | |

<section2>

Cm7 |Fm7 |Bb7 |EbM7 |AbM7 |Am7 D7 |GM7 | |

<section3>

Am7 |D7 |GM7 | |

<section4>

F#m7(b5) |B7 |EM7 | |

<section5>

Fm7 |Bbm7 |Eb7 |AbM7 |DbM7 |Gb7 |Cm7 |Bdim7 |

Bbm7 |Eb7 |AbM7 | |

 

という5セクションがあり、1,2セクションは転調した同じ形であり、3,4セクションはメジャーとマイナーのII-Vがきれいに展開しています(これはアレンジの妙でしょうが)。

結果アドリブにはとても良い練習曲になっています(中級者向け)。セクション5は、

Fm7 |Bbm7 |Eb7 |AbM7 |DbM7 |Gb7 |Cm7 |F7 |

Bbm7 |Eb7 |AbM7 | |

とすると、さらにII-Vの構造が分かりやすくなるかと思います。

Bdim7=F7(b9)のコンビネーション・オブ・ディミニッシュに含まれる和音だからですね。 

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<Dm7 G7?>

これも気が付けばそれでいいのですが、6小節目にa♭音が出てきて、コードはDm7です。ひょっとするとDm7におけるb5音とp5音が同居する響きになりますから、Dm7-G7ではなく、Dm7(b5) G7とするのが適切ではないのか、などと思ってしまう事でしょう。だってその方が自然だし、CM7に向かった時のピカルディ終止がより印象的になります。青本などはDm7(b5)になっていますね。これDbM7--Dm7(b5)は1音しか変わりません。DbM7--Dm7のほうがスリリングに変わります。ソロを取るときはメロディは関係ないですから、音楽的な印象でいうと、Dm7のほうがダイナミックで気持ちいいです。自分は。

だからテーマではDm7(b5)、ソロではDm7みたいに分けても良いと思います。

またはDm7-G7にして、G7を二拍三連分食わせるとG7(b9)感が出てこれもよいですね。

このへんは単純に好きなやり方で。その後のセクションのAm7も同様です。

 

<H.P. >

この小節がいくつか出てきますが、これは次のメロディの前のフックになりますので、V7やセカンダリードミナントII-Vを自由におけるところでもあります。こういうポイントは不定調性論では「ハーモナイズポイント」というので改めて書きました。トリッキーな和音を置いても構いません。セクション1の終わりなら、

CM7 |( ) |Cm7 |

ですから、例えばの例えばですが

CM7 |C7(#9) |Cm7 |

として、微妙に構成音がかぶるコードで逸脱しやすい7thにしてCのコンディミを使うとか、

みたいなアイディアをどんどん出すべきでしょう。

原曲をちゃんと弾けるようになってから、とか言っているといつまでも自分が目指す方向は見えません。最初っからめちゃくちゃやって、だめだぁああとなったら基礎に戻れば良いです。で、できたら、またすぐ攻めてくださいね!

 

<楽曲上の特徴は?>

ピカルディの三度。

m7に行くと思わせてM7にいくとこ、といえばいいでしょうか。何度も出てきますね。

作曲を教える際に、この曲が参考資料となる点は、これだと思います。

明るくすると、軽くなるので曲が抽象的になります。

他ではセクション1,2、のお尻のII-V、最後のIIb7、パッシング・ディミニッシュなんかも特徴的なので指摘できますね。

 

===

アナライズは、旧来の機能感を持つコードしかアナライズできません。

ジャズのコードの4割ぐらいはアナライズできません。曖昧な分類でなんとなく理解する、って言うことの積み重ねを行うことになり、なんだかすごい淀んだ知識にしかなりません。

 

CM7 |A7 |Dm7 |G7 |

におけるCM7---A7の進行には名前もないし、単なるセカンダリードミナントへの進行でしかありません。でも特徴的な響きの連があります。「〇〇進行」って名づけたくないですか?でも名前はない。A7-Dm7はちゃんとケーデンスとして様々な名前があるのに。

 

それであれば、

CM7 |C7 |~

CM7 |D7 |~

CM7 |F7 |~

CM7 |B7 |~

も同じことが言えます。でもそれぞれ進行感が異なるはずです。

 

いちいち名前を付ければいいのでしょうか、それとも記号を作ればよいのでしょうか。

でも記号作っても、いつ使えばいいか分からないでしょ?そして使ってもそれが正解なのかは分かりませんよね。誰がそれを正解と決めるんですか?偉い先生?世間?

いえ、、そこは多分あなただと思うのです。100人中99人が反論してもあなたが正解だと思ったらそれが正解。死ぬまで認知されないけど、あなたが正解だと思ったらそれがやっぱり正解。

 

だから基本的なアナライズができるようになったら、そのとき、全体の構造を素早く把握し、自分がこれまで触れてきた曲の中にはない構造を的確に指摘し、その構造が持つ特殊性を咀嚼し、不定調性論などによるいわゆる「その音楽表現が持っているイメージ」を自分の手法と照合する方法論を自分なりに用いて、ロールプレイングゲームの中で新たな魔法を覚えていくように、技を増やすような日々になっていくと学習は早いですよね。記号を書かず。

この曲のさ、この部分が今の俺にはやべー

っていう中二感をいつも感じましょう笑。

どんだけすげーのかと思って聞いてみたらただのsus4だった、なんてことは先生やってると良くあります。そして、ああ、やっぱりsus4って感動するんだなぁ、なんでだろうなぁ、なんて改めて思ったり。教えていないのに自分で感動するポイントがみつけられる、って凄いですよね。

そういう気づきって、他者から受ける教育よりも何百倍も価値があって。たとえしょぼい気づきでもこちらは感動します。それすごいね!!って思います。思いますよ、先生やってれば。いちいち電源入れないと動かなかった機械が何もしてないのに勝手に電源が入って今日の活動し始めた!みたいな笑(失礼)

 

でも私共も他ジャンルは無知ゆえに、そういうことあります。音楽以外の分野だったら、さらに単純な話に感動してしまったりしています。島岡譲先生だって、「ジャズのほうはよくわかりませんので、、」と抵抗なく質問をしてこられます。それぞれの分野って言うのはあるけど、それ以外って言うのは誰でもわからないものです。

なにより自分の知識を塗り替えていくのは楽しいですよね。

 

なお、アドリブのためのコードスケールとかについてはジャズ理論をご参照ください。

ただコードスケールという概念がないころからジャズはアドリブをやっていますので、アドリブをやりたい、という場合は、スケールの勉強ではなく、自分が好きなアーティストのプレイをひたすら弾きマネして覚えて、そのフレーズを展開し、自分のプレイが自在にできるまで録音して何度も聴き返すトレーニングが適切です。

スケールについてとやかく言われて分からないことがあるかもしれませんが、気にしないでください。断じて気にしないで。君、ちょっと変だよ、て思われるのはとても良いことなんですよ!!

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そして作家さん志望者様は1曲の分析だけでは、だから何?という感じですが、100曲-200曲近くやると見えてきますのでぜひ、自分なりの方法論を。

好きなアーティストを全曲やってください。

コードにこだわる人はコードを、メロディにこだわる人はメロディを、リズム、ジャンル、歌詞、それぞれにこだわるところから追求して下さい。

勉強にリズムできますから。

で、独学してて「君は〇〇〇が足らないなぁ、」とか言われても気にしないで。それ学校行っても同じだから。そうやって人は成長するんだから。

 

あとは良い先生や先輩、仲間に巡り合えることを心より願っております。

 

結局記号の説明しなかった笑。

今後もするつもりはないです。。教材にはすべて掲載しました。パソコンキーボードで打てる文字でアナライズが書けるようにしました。