音楽教室運営奮闘記

不定調性論からの展開紀行~音楽と教育と経営と健康と

Lemon / 米津玄師(2「Lemonの"ふぇ"」編)

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Lemon / 米津玄師

あれは人の声をサンプリングしたものであり自分のなかで重要な音なのだが、それが何故なのかは自分でも分からない
この答えを真に受ける必要はないと思います。動画のほうでは意図的である旨が語られていますね。
 
もともとアートの表現に学校的答えなど存在しないので、本当は「知らん。」の四文字で終えていい話なのですが、表現手法として新しいお題がここに含まれていて、一般に賛否両論を巻き起こしたことで、「不協和音」教育=違和感が引き起こす感覚の活用が確立されていくだろうと思いますので書きます。
 
ご本人の言葉を良い意味で無視して、考えてみましょう。批判はありません。
 
0:12ですね。最初に聞いたときは確かに一瞬違和感でした。
でも「あ、このレベルでの違和感をドラマの曲で出せるような時代になったんだ」と感じました。最近でいえばback numberの歌なんかにも同じ違和感をかんじました。新しい感覚です。
 
「違和感」とは義務教育で慣らされた協和音教育の洗脳の賜物かも、です。
相対するものへの反応です。
でも何度も聞くうちに、これがないと只の普通の名曲で終わり、になっていることがわかります。
 
この音は「曲の雰囲気との不協和」ともいえる音ですから、これはこのアーティストがずっとやってきたことです。
その違和感に社会が若干ついていけていません。
なかなか分かりづらい感覚ですから、ご当人のあのような回答が出くるのは、なんとなくうなずけます。
でも古くからのファン的には、いまさら何言ってんの?って言う話です。
そしてこの違和感が今では当たり前になったように、"Lemonのふぇ"も常識になり、当たり前になります。自己の非常識を世間に認めさせたければ思い切り晒すことで大衆に慣れて貰えばいいのです。
 
 
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たとえば作曲しているとき、この「ふぇ」音が偶然入ってしまった、
「お、いいねえ」
なんておもわず「押す鍵盤間違った」と言ってすぐ削除してしまって曲の雰囲気に合う音にしてしまうでしょう。FX系の音は鍵盤にランダムに並んでいるので、作業のミスでそうした音が入ってしまう時があります。
 
EDMなどでも変わった音をアクセントで入れるのは昨今の習慣です。
 
いいメロディできたし!!こんな声ネタ要らねーし!
 
なんて思ってしまうのがフツーです。
 
この違和感て、結婚式と同時に葬式やってるようなもんだぞ・・
さすがに、一生に一度の結婚式と同時に親戚の葬式やっちゃダメだろ・・・
でもひょっとすると故人は喜んでるかもしれないじゃん。
我々の世代は、霊柩車が通ると親指を隠す、みたいなことを教えてくれたご老体がいた時代です。でも現代では、ひょっとするとあの人の孫が自分の曲聞いてくれてるかもしれないよな、って思うこともあり、死すら忌避すべきものではなく、全て繋がってる感。インターネットの力か。
 
 
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このような自分の作曲時の予期せぬ音(この音は意図的です)がもしあなたの楽曲制作時に生まれたら、立ち止まって聴いてみることをお勧めします。そういう時でしか、過去の自分を越えられないからです。
 
偶然に起きた事が人生にもたらす意味を探求する素養について、です。
でも、あなたのパートナーとの出会いは、偶然と言えませんか?
人生の意味のある出来事のなかに偶然はいくつありますか?
 
でもそうした偶然も潜在意識がどこかで求めていれば、そうなる、という風にもう人類はすでに知ってるんです。
 
「求めよ、さらば与えられん」
 
ていう言葉は、何を求めていいか分からなくても、ちゃんと何らかの結果を求めていれば、その過程で必要なことに気がつく、ということを示しています。この言葉、紀元前ぐらいの話です。既に潜在意識がもたらす力について知られていたわけです。
 
音楽は、国家の教育体系を越えて存在する知恵の宝庫だと思います。だから楽しいし、自由だし、面白いし、やりがいがあるんです。偉そうなこと言ってすみません。
  
 

でもこの音が入ることで、どんよりとしそうな音空間がドライになります。グーッと曲に入り込みそうな感情を少し冷まして、冷静になれます。感動的な曲になってしまいすぎるのを押さえてくれます。違和感による調和が保たれています。

でも、hiphopはそういう雰囲気を作ることが上手ですよね。

クラスの中に変な子がいたら、受け入れて新しいクラスの調和を作ろうとする感性がどんどん育つといいですね。

それ、どうやったらいい??

 

動画では葬式の時に鳴った指笛の話がされていますが、そういうことを美しい、と捉えられる感性があることに注目しましょう。違和感の中に潜んでいる意味を読み解く感性を持つアーティストだってことですよね。

 

たぶん一般的な違和感の意見としては、

「もっと他の声ネタ・入れるべき音、があったんじゃねーの?」

って言うことだと思います。以下はその点も考慮して書いています。

(注;ちなみに声ネタ、というのはヒップホップでは「サンプリング」という手法で様々なレコードから短く切り取られた声ネタが使われてきた歴史があります。歌の一節、マーティン・ルーサーキングの言葉、叫び、話し言葉、なんでもありです。そういうサンプル集も売られていますし、打ち込み用のドラムセットのプリセットの中に一つそういったエフェクト音が一つ配置さえている場合もあります。

そこでそれらをあまりにそのまま使うのは芸がないので、楽曲のキーやテンポに合わせて加工したりして使います。だからこの「ふぇ」も元はもっと低い音だったかもしれませんし、別の言葉を切り取ったものかもしれませんし、わざと機種がわかるように、そのまんま使ったりしている場合もあります。)

 

 

 

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スタンダードジャズを全部三和音で弾いたら、どうなるか知ってますか? 

ダサいです(当社比)。

ジャズっていうスタイルからだけで言うとですよ?

 

話逸れますが、

このジャズを三和音にして"良い"って思える音楽が"フォーク"です。

フォークはカッコいいでしょ? 日本人の血がたぎる。 

"ジャズの違和感"がフォークを作ったんですかね、、、。なんて思います。

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ジャズっていうスタイルの中だけで言うと、四和音にして、更にテンションを添えることで、クラシック音楽にはない調性音楽が生まれます。そして全曲Swingしているのも徹底的な違和感の調和を作り上げています。

 

「元曲がバラードなのに、テンポ300で「枯葉」やってどうすんだよ」

 て今思う人はいません。ジャズが開発した、違和感をアートに仕上げる歴史がここにあります。そう思えない人はポップスやってるはずです。

で、テンポ300の「枯葉」も違和感が無くなって、フリージャズが生まれ、ある程度体制が破壊されたところで、ロックが出てきて、プログレッシブが出来て、EDMが出てきて、リズムも音も混沌としても音楽表現が成り立つ、ということが理解されてきました。アマチュア集団が作るアイドルミュージックなんかの良い意味での簡素さも、そこに違和感が創り出す世界観が確かにあります。そうした風潮への同意とも取れる今回の「ふぇ」への理解。

不定調性論でも言っていますが「不協和音を感じようと思えば、そこに絵が浮かぶ」人は沢山いると思います。

だから、あなた自身が何かをやろうと思う時、表現しようと思う時、自分が作ったものを世間の標準的価値観で判断するのではなく、あなたが持って生まれた感性で捉えられたら、それが答えになる、という発想を持って頂きたいです。

ROUGE COCO LIP BLUSH - YouTube

これはシャネルのCM。BGMが最新のトレンドなのでいつも見ているのですが、皆さんはこの画と音楽、合ってると思いますか?

「シャネルが選んだんだ、ケチはつけないよ」

っておもうのか

「好かん」「別に何でもいいんじゃない?」「口紅がいい」

と思うか、ここに「感じる自由」があることは分かりますよね。で、その先に行って、じゃあ、あなたが音を付けるならどうするか、を明言できるかがやっぱり洗脳が解かれた独創性だと思います。

「自分なんかがやるのは恐れ多い」なんて思う必要はないと思います。

 

米津玄師 MV「メトロノーム」 - YouTube

綺麗な曲。非の打ち所がない、って感じると思います。

でも一歩斜めに行って

「ちょっとバスドラ重くない?」

って仮に誰かが言ったら・・・(言ってる人なんていませんが)

これも「自由に思うこと」ができます。

 

で、そこからその先に行って、

 

このバスドラの重さが「安定」とか「お腹の底のほうの鈍い傷み」「悩みが心の奥に沈んではねかえって戻ってきた残響音」みたいにかんじる、ことができれば別に批判する要素は無くなります。そう聞いて、ああいい曲だな、歌詞の言う通りだよな、って感じて今日一日あなたの人生を頑張ればいいだけの事です。それが

「理解する」ということだと思います。対立とか、批判ではなく、理解してあげられるかどうか。

 

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この「ふぇ」は一発だけでなく、その後どんどん出てきます。

これ。冒頭の一発だけだったら、もっとすごい批判になっていたと思いません?笑。

 

 

Stwo - Neither Do I feat. Jeremih (Official Video) [Ultra Music] - YouTube

この曲のレコードノイズのリズム、カッコよくないですか?

これを「曲に合わない」っていう人もいると思いますが。こういう風潮になってるんです。この首絞められる感じの音。焦燥を感じます。そして焦燥を感じる画。良いなぁ、って思う。

 

不協和音と不協和音

違和感と違和感

を結び付けた時に生まれる、未知のクオリアを理解できるトレーニングをしましょう。

 

あなたが思ったこと、それが言葉になるならないに関係なく、答えそのもの。

 

この記事内容も、皆さん自身で考えて自由に解釈してください。

あなたの嗜好についての悩みなどが少し軽減されたら嬉しいな、と思います。

 

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