2018.3.19⇨2020.5.3更新
前回
歌詞については掲載しておりませんので
https://www.uta-net.com/artist/2750/
こちら等にて確認ください。
Age of our innocence
Aメロの部分で、
B |B |F# |C# |
B |B |F# |C# |
となりBメロで
G# |% |C# |% |
となっていますが、キーをC#と考えると、メジャーコードだけで、
VIIb |% |IV |I |
VIIb |% |IV |I |
となっており、Bメロは、
Vm |% |I |% |
となります。VmとIの連鎖は、ダイナミックな進行です。
例;C |Gm |C |
弾いてみてください。映画音楽などでよく使われるので壮大な印象とか、風景感が湧いてきませんか(クオリア)?
哀しみを下さい
この民族的な響きと、乱高下するようなメロディラインが、心の浮き沈みと、乱れる心と、霊的な畏怖を感じます。
愛のブルドーザーのような表現力笑。
「哀しみを下さい」っていうのも、やはり「叱って」系ですかね。ユーミンの思考の感覚になんとなく触れるキーとなる発想だと思います。
110°F
また自殺の歌。しかも南国での死。またテンポ感がいい。
「いつか二人でみた」というフレーズが昨今のアルバムでは目立つように感じます。
これも「思い出の死」のような象徴かもしれませんね。起きてしまった思い出は変わらないけど、未来という安住の地から見ると、美しく見える。
本人が体験できるのは、この思い出を見つめる、という行為しかないわけで、これは死という現象の疑似体験みたいなものかもしれません。
この曲は
Am7 |% |D7 |% |
というドリアンのI-IV進行的に豊かな螺旋状に下っていくメロディが乗っています。
まるで深い海に沈むことを象徴するようなメロディで、こういうのは潜在意識に訴えてきます。
中間部に不定調性進行があります。
「いつか二人で~」のところです。1:49ー
F#m7(b5) |F7 E7 |EbM7 |Cm7 |
Bb7(#11) |A7 Ab7 |CM7/G |% |~II-Vへ
こういう倦怠感を与えるラインも、この曲の象徴的な意味合いになっていると思います。
こうした進行は「劇薬」でもあるので、使用するためには何らかの免許が必要、な感じもありますね。どんな免許か知りません。
不定調性的進行はかっこいいし、刺激的だけど一歩間違うと曲が死にます、みたいなところがあると思いません?
適切なところで適切なコード進行を選ぶ、っていう難問がたくさん曲を作った先に待っているですから、勉強をそこそこに早くたくさん曲を作ったほうがいいと思います!!
リアリティ
Aメロ(アルバム収録タイム 0:52-)
Cm7 |Cm7/F Gm7 | Cm7 |Cm7/F Gm7 |
Cm D7 |Gm7 C7 |Cm7 |E♭m7 Dm7 |繰り返し
このアルバムはブラスアンサンブルがフューチャーされている印象です。時代の流れでしょうか。
キーCmでE♭m7が、ふっと爽やかな逸脱感を与えてます。ユーミン楽曲らしいバント・エンド・ランみたいなコード。
このコードも「ひこうき雲」短三度コードのような使用感があります。
平行長調E♭メジャーの同主短調への転調コードですが、この響きは、私にはVI♭M7への飛躍と似たようなサブドミナントマイナー感を覚えます。
Cメロ(アルバム収録タイム 1:57-)
G |B♭ |Am7 |A♭7 |
G |B♭ |Am7 |A♭7 G7|
このアルバムではこの曲でのCメロのような半音隣接音ラインが何曲か現れます(『110°F』とか)。このアルバムが初出ではないですが、以前のような自然さからさらに意図的に少し難解な響きとなり、さらに実験するつもりか!!なんて感じました。
たとえば、G→B♭という移動は、話をぐんと別な方向に展開させるような印象。
この二つのコードを連鎖しながら、何かメロディを作ってみてください。
たとえばd音だけで歌ってもいいです。
「普通はこれこれこうなんだけど」とGコードが印象付け、そのままB♭に飛躍すると、「でもこういう見方もできないかしら?」という印象を持たせます。
それから半音下降していくことで、なんとなく説得されたような気分になってきます。
このCメロ部分の歌詞は、
「腕の痺れを感じて目覚めてく Morning light、おこったような寝顔とカーテンをながめてる」
です。恋人の頭が腕の上にあったのでしょうか。夢の中から少しずつ少しずつ、「あなたがいるリアリティ」に目覚めていく。これは100%ハッピーではないが、これ以上のハッピーは今の自分には望めないのではないか、と自分に言い聞かせるように"日常に説得されている"などと印象を持つことがこれらの進行によって可能です。
そこまで読み解けよ、と言われているよう。
acacia (アカシア)
アカシアの木を想わせる空気感と浮遊感が印象的です。
時折唸るようなコードが入っています。
特にsus4の使い方ですね。0:52ぐらいからの部分で、
C Dsus4 Em |C Dsus4 |C Dsus4 Em |C Dsus4 |
こういうコード当ては、まずメロディを作り、一旦ベースとなるコードを当てながら、手直ししていく、という方法が一般的で、料理でいえば、ひと手間もふた手間もかかる料理に似ています。当ブログではS.ワンダーが例の曲で平気な顔してやっていますね。
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